近年、飲み放題設定のある銘酒居酒屋で飲める日本酒のレベルが急ピッチで上昇しています。
どのぐらい飲み放題ができるお酒の質が上がっているかを、いろいろな店を巡り、散発的にご報告していきます。
第52弾は三越前「おてんとさん」さんです。
「おてんとさん」は料理8品に、店が用意した20種類ほどの日本酒を2時間半飲み放題(オーダーストップは2時間)で税込み6000円です。
三越前駅から徒歩1,2分で地下道に面しているので、雨の日でも傘なしで入れます。
オフィス街にある珍しい居酒屋で、この日も繁盛していて、お酒を頼む際に「瓶も持ってきて下さい」と念押ししないと、徳利だけがやってくるので要注意です。
20種類の飲み放題のラインナップを見ると、今人気の酒は半分ぐらいで、残りはちょっと地味なお酒でした。
1本目にいただいたのはこれです。
「山本(やまもと)ど辛 純米」。
秋田県八峰町の山本酒造さんが醸しているお酒です。
甘味を切った表示通りの“辛口酒”ですが、しっかりとした旨味がクリアさを強調しており、最初の刺身にはぴったりでした。7.5点。
2本目にいただいたのはこれです。
「三千盛(みちさかり)銘醸」。
岐阜県多治見市の三千盛さんが醸しているお酒です。
醸造アルコールをたっぷり入れた普通酒なので、全体的に水っぽく、かつ、後半になるとアルコールが浮くような薄い味わいでした。
とにかく酔いたい人向けと感じました。7.1点。
3本目にいただいたのはこれです。
「播州一献(ばんしゅういっこん)超辛 純米」。
兵庫県宍粟市の山陽盃酒造さんが醸しているお酒です。
超辛口といいながらも、旨味はしっかりあって、酢酸イソアミルの香りに囃されて、切れよく踊るお酒で好感が持てました。7.6点。
4本目にいただいたのはこれです。
「千代の光(ちよのひかり)本醸造」。
新潟県妙高市の千代の光酒造さんが醸しているお酒です。
バランスの良い細身の甘旨味が大人しく舞い、後半には辛さがやってきて、最後はエッジを効かせて昇華して行きました。7.5点。
5本目にいただいたのはこれです。
「信濃鶴(しなのつる)田皐(でんこう)純米吟醸60」。
長野県駒ヶ根市の長生社さんが醸しているお酒です。
ボリューム感のある甘旨味が馥郁とした含み香とバランスのよい舞いを披露し、最後まで飽きさせませんでした。
今夜で一番の7.8点でした。
6本目にいただいたのはこれです。
「雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ)山廃純米」。
秋田県由利本荘市の斎彌酒造店さんが醸しているお酒です。
良質の甘旨味とナチュラルな酸渋が美しいハーモニーを奏で、山廃とは無縁のフィニッシュでした。7.7点。
7本目にいただいたのはこれです。
「黄金澤(こがねさわ)山廃純米」。
宮城県美里町の川敬商店さんが醸しているお酒です。
太めの甘旨味に乳酸ニュアンスの酸味が鋭角的に絡み、やや落ち着かない舞いを披露しました。7.4点。
最後の8本目にいただいたのはこれです。
「不動(ふどう)山廃純米」。
千葉県神崎町の鍋店(神崎酒造蔵)さんがが醸しているお酒です。
太めの甘旨味にカラフルな酸渋が絡んで、賑やかなカーニバルを披露していました。7.5点。
料理はごくごくオーソドックスな物で、酒肴としては問題がありませんでした。
お酒のラインナップに銘柄しかなく、スペックがわからず、結果として普通酒や本醸造酒にも遭遇するなど、酒選びに難がありました。
値段が2.5時間飲み放題で6000円とコスパがよいので、あまり文句は言えませんが、採点は4.3点(★★★)としました。
リピートするかどうかは微妙でした。
総合評価が4.8点以上の秀逸飲み放題居酒屋は以下の通りです。
居酒屋純ちゃん(荒木町)、つくしのこ(池尻大橋)、常笑(中野)、サケラボトーキョー(十条)、鳥酎はなれ(飯田橋)、ナイン(船橋)、GASHUE(仲御徒町)、日がさ雨がさ(四谷三丁目)、MrHappy(神保町)、オールザットジャズ(荒木町)、まき野(高田馬場)