岐阜「千古乃岩 純米大吟醸」どんよりと垂れ込めた雲の下で中庸な甘旨味が沈黙の舞いを見せる | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

日本酒に興味を持った若い世代に、手軽に日本酒を買ってもらおうと、日本酒を小口化して販売する動きが広がっています。

容器は瓶だけでなく、缶やパウチまであります。

それらを順番に取り寄せて、実際のお酒の状態を見ていきたいと思っています。

 

今回は小口化瓶を展開する「SYURIP(シュリップ)」です。

いろいろなセットの組み合わせで販売しているシリーズの中から、山形と岐阜の酒蔵のお酒を取り寄せて、飲み比べました。

最後の5本目はこれです。

千古乃岩(ちごのいわ)純米大吟醸」。

岐阜県土岐市の千古乃岩酒造さんが醸しているお酒です。

 

千古乃岩酒造は近年、輸出に力を入れてきており、コロナ禍直前には約5割が海外へと輸出されてきました。

蔵元の中島さんは輸出に力を入れ、国内向けは馬なりでやってきたのです。

このため、コロナ禍は国内向けの出荷に大打撃を受けてしまいます。

 

蔵での直売への依存度が高い格好になっており、オンライン販売の必要性を感じながらも力を入れてこなかったようです。

これではいかんと、今後EC販売のテコ入れに動き出しています。

そこで、最も重要視しているのがLINE公式アカウントを使った日本酒販売だそうです。

調べてみると、山口県の中島屋酒造場、大分県の八鹿酒造などが始めているそうです。成果があるといいですね。

 

さて、いただくお酒は50%精米の純米大吟醸、火入れです。

上立ち香は極細の薄甘い香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触をアピールしながら、淡々としたペースで滑り込んできます。

受け止めて保持すると、自律的に膨らみ、拡散して、適度な大きさの硬めの粒々を速射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系の乾いたタイプ、旨味はシンプル無垢でなだらかな印象で、両社は足並みを揃えて穏やかに踊ります。

流れてくる含み香もわずかに華やかさはあるものの地味な香り。

後から酸味と渋味はほんのわずかに現れて、隠し味役を担います。

味わいには華やかさはなく、どんよりと垂れ込めた雲の下、彩りのない世界がフィナーレまで続くのでした。

純米吟醸との違いがほとんどない印象でした。

没個性の味わいからの脱却が課題とお見受けしました(すみません)。

SYURIPもさらに魅力的な蔵との取引が必要でしょう。

 

お酒の情報(24年39銘柄目)

銘柄名「千古乃岩(ちごのいわ)純米大吟醸 2022BY」

酒蔵「千古乃岩酒造(岐阜県土岐市)」

販売者「カルモア(東京都中央区)

分類「純米大吟醸酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「50%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「単品不明」

評価「★★★★(7.0点)」