埼玉「五十嵐 山廃純米 無濾過生原酒」多彩な甘旨味がカラフルでモダンな世界を描く | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
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自宅の晩酌に埼玉県飯能市の五十嵐酒造さんのお酒を2本いただきました。

2本目はこれです。

五十嵐(いがらし)山廃純米 無濾過生原酒」。

 

ご存知の方も多いかと思いますが、五十嵐酒造の五十嵐智勇社長の長男の五十嵐正則さんが、蔵を切り盛りしている一方で、次男の五十嵐昭洋さんは2007年に復活した小江戸鏡山酒造の専務なのです。

どちらの会社も智勇さんが社長ですが、80歳近いので、息子達がそれぞれ実質的な蔵元です。

小江戸鏡山酒造は復活の経緯から五十嵐酒造が親会社で、しかも、小江戸鏡山酒造が敷地に制約があるため、搾ったお酒はタンクに詰めて、五十嵐酒造まで運んで瓶詰めをしています。

それぐらい、両社は密な関係にあるのですが、醸造面でも営業面でも両社はまったく連携していません。

なにか少し、惜しい気がします。

 

さて、2本目は65%精米の純米酒、直汲み、無濾過生原酒です。

上立ち香はフレッシュな麹バナに酸の香りが混じって漂ってきます。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にわずかに微細な気泡を包含したとろみ層を乗せて、まっしぐらに滑り込んできます。

受け止めて保持すると、気泡のわずかな破裂を背後に聞きながら、テンポよく膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス球様の粒々を速射してきます。

粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系ながらもタイプの異なる甘さが多彩に、旨味もいろいろなアミノ酸が現れて、両者は元気にせめぎ合いながら、せっせと色々な原色系の世界を放ってきます。

流れてくる含み香も複雑な香りがミックスされて派手めにデコレート。

後から酸味が適量、渋味が少量現れて、明快なメリハリを付与します。

多彩な味わいの世界が続き、終盤になっても粘り強く亜熱帯のモダンな世界を描き切るのでした。

ユニークで個性的な山廃酒でした。

 

お酒の情報(24年34銘柄目)

銘柄名「五十嵐(いがらし)山廃純米 無濾過生原酒 2023BY」

酒蔵「五十嵐酒造(埼玉県飯能市)」

分類「純米酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」「直汲み酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「65%」

アルコール度数「17度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「720ml=1650円」

評価「★★★★★(7.5点)」