長野「今錦 年輪 純米大吟醸」高純度の甘旨味が華やかな香りを纏って、可憐に舞う | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
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長野県中川村で美酒を醸している米澤酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

最後の5本目はこれです。

今錦(いまにしき)年輪(ねんりん)純米大吟醸」。

 

このお酒は昨年(2023)4月16~18日に長野県軽井沢町で開かれたG7外相会合の二日目のディナーの日本酒に選ばれました。

この時の乾杯酒は「獺祭 磨きその先へ」でした。

あと、一日目のワーキングディナーに提供された日本酒は大信州酒造の「香月」でしたので、このイベントの“主演”はこの3銘柄であったわけです。

ところで、この期間中、ランチ&ディナー以外の時間帯に提供された軽食や飲料は多岐に渡っていますが、日本酒は31銘柄が並びました。

もちろん、地元の長野のお酒が圧倒的に多かったわけですが、その中になぜか、山口県産のお酒が5銘柄も入っていたのです。

 

「獺祭 磨きその先へ」は乾杯酒だったのでよしとして、ほかに「東洋美人」「貴」「五橋」「山猿」が入っておりました。

長野県以外では山口県のお酒だけなのです。

非常に違和感がありました。

いまなお、前首相の影響が消えていないのでしょうか?。

ちなみにメインのG7広島サミットで供された日本酒で広島県以外は岩手、宮城、福島、山梨と一応、変な偏りはありませんでした。

「年輪」に戻ります。

米澤酒造が伊那食品工業の傘下に入ってまもなく、「ラインナップにハイエンド商品を加えよう」との趣旨から2015年に誕生したお酒です。

山田錦39%精米の純米大吟醸、火入れです。

上立ち香は魅惑的な甘い香りが鼻腔を撫で回します。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、磨き込んで鏡面のようになった表面に油膜をはって、ツルツルの感触をアピールしながら、ワルツを舞うようにして滑り込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままに流麗に膨らみ、拡散して、適度な大きさのクリスタル様の粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味は99.99%純度の品格のあるタイプ、旨味はシンプルでシルキータッチの印象で、両者は足並みを揃えて、見事な舞いを披露します。

流れてくる含み香も色気を含んだ可憐な甘い香りでデコレート。

後から酸味はなく、渋味が極少現れて、わずかに隠し味役を担います。

甘旨味は終盤まで隙のない舞いを踊りきるのでした。

お手本のような純米大吟醸でした。

 

お酒の情報(24年21銘柄目)

銘柄名「今錦(いまにしき)年輪(ねんりん)純米大吟醸 2022BY」

酒蔵「米澤酒造(長野県中川村)」

分類「純米大吟醸酒」

原料米「山田錦」

使用酵母「協会1901号」

精米歩合「39%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「720ml=3150円」

評価「★★★★★(8.0点)」