兵庫「翔雲 純米吟醸 白鶴錦」高品位な甘旨味の舞いを渋味が効果的に縁取る | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
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自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

翔雲(しょううん)純米吟醸 白鶴錦」。

神戸市東灘区の白鶴酒造さんが醸しているお酒です。

 

このお酒に使われている「白鶴錦」は「山田錦に勝るとも劣らない酒米を生み出す」という目的で1995年から白鶴酒造が品種開発に着手。

山田錦の母である山田穂を母に、山田錦の父である短稈渡船と同系の渡船2号を父にして交配。選抜・栽培を繰り返して2003年に確定しています。

 

2007年2月に「白鶴錦」として品種登録し、当初は白鶴酒造だけが使っていましたが、2015年頃から関心を持つ酒蔵が白鶴錦を使えるよう、門戸を開きました。

現在では白鶴酒造を含め13蔵が使うまでになりました。

また、2018年からは白鶴錦を使っている酒蔵があつまって情報交換をする「白鶴錦蔵元の集い」という会も開いています。

白鶴酒造としては、いずれはもっとポピュラーな酒米になることを狙っているようです。

 

さて、いただくのは、そんな白鶴錦を使った55%精米の純米吟醸、火入れです。

上立ち香はフルーツミックスのような多彩な甘い香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、スベスベの感触を振りまきながら、優雅な雰囲気で滑り込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままに滑らかに膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス球様の澄み切った粒々を速射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系のさらりとしたタイプ、旨味はシンプル無垢で肌理の細かな印象で、両者は足並みを揃えて、高品位な舞いを披露します。

流れてくる含み香もミックスフルーツの甘い香りでデコレート。

後から酸味が僅少、渋味が適量現れて、雅な雰囲気の甘旨味の舞いに効果的な縁取りを施します。

終盤まで和やかなムードが続き、最後に飲み下した後の余韻もフローラルな優しい香りでした。

お米の名前に白鶴と付けたのが普及の妨げにならないとよいのですが。

 

お酒の情報(24年15銘柄目)

銘柄名「翔雲(しょううん)純米吟醸 白鶴錦 2022BY」

酒蔵「白鶴酒造(神戸市東灘区)」

分類「純米吟醸酒」

原料米「白鶴錦」

使用酵母「不明」

精米歩合「55%」

アルコール度数「15~16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「720ml=2354円」

評価「★★★★★(7.5点)」