長野「彗 DONATI 初汲み 純米吟醸」ごくごくオーソドックスな甘旨味をキュートな香りが飾る | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

旧聞に属するお話になりますが、長野県の日本酒とワインが一堂に会する「信州のIPPON」というイベントに行きました。

その時飲んだお酒を10本ほど紹介したいと思います。

 

最後の9本目はこれです。

彗(しゃあ)DONATI 初汲み 純米吟醸」。

長野県須坂市の遠藤酒造場さんが醸しているお酒です。

 

遠藤酒造場は1990年代半ばは数百石の蔵でしたが、年々売り上げを伸ばして2020年には5500石と、長野県の酒蔵としては大手の一角に食い込んでいます。

一定レベル以上の酒を造ってはいるのですが、成長の要因は商品戦略と拡販にあると空太郎は思っています。

蔵元の6代目、遠藤秀三郎さんは蔵がやるべきことについて、あるメディアに次の様に語っています。

「営業しないと売れない酒は造らない。企画物の商品を増やしてブランドを確立する。今の世の中にぴったりのことをしていては遅く、次のチャネル開拓、矢継ぎ早に企画作りを進める」。

 

この方針から、当初は「渓流」1本で展開していた商品戦略を「彗」「直虎」「遠藤」とラインナップをどんどん増やしています。

 

今日、いただくのは美山錦59%精米の純米吟醸、火入れです。

上立ち香はフローラルな甘い香りが仄かに。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、ツルツルの感触をアピールしながら、ワルツを踊るようにして忍び入ってきます。

受け止めて保持すると、促されるままに流れるように膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス球様の粒々を連射してきます。

粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系の乾いたタイプ、旨味はシンプル無垢で滑らかな印象で、両者は足並を揃えて、流麗なハーモニーを奏でます。

流れてくる含み香は典型的なフルーティーな香りでデコレート。

後から酸味と渋味が適度に現れて、効果的にアクセントを付与。

甘旨味は終盤まで乱れることなく舞い続け、飲み下した後の余韻はフローラルなものでした。

ごくごくオーソドックスな純米吟醸酒でした。

 

お酒の情報(24年14銘柄目)

銘柄名「彗(しゃあ)DONATI 初汲み 純米吟醸 2022BY」

酒蔵「遠藤酒造場(長野県須坂市)」

分類「純米吟醸酒」

原料米「美山錦」

使用酵母「協会1801号」

精米歩合「59%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「±0」

酸度「1.5」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=3630円」

評価「★★★★★(7.4点)」