長野「NEW ENGI 純米 金紋錦」凡庸でやや肥えた甘旨味がのろのろと徘徊する | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

旧聞に属するお話になりますが、長野県の日本酒とワインが一堂に会する「信州のIPPON」というイベントに行きました。

その時飲んだお酒を10本ほど紹介したいと思います。

 

3本目はこれです。

NEW ENGI(ニュー・エンギ)純米 金紋錦」。

長野県山ノ内町の玉村本店さんが醸しているお酒です。

 

玉村本店は蔵人のほぼ全員が冬場は酒造り、春から秋にかけては農業に従事するという“半醸半農”のスタイルを堅持しています。

それは日本酒に使う米だけでなく、2004年から始めたクラフトビールの原料となるホップや麦なども栽培しており、結構な忙しさなのです。

ビールの仕込みの際に出る麦芽粕を酒米栽培の肥料に活用するなどの資源リサイクルにも適しているようで、「日本酒を造る蔵がビールを造るメリット」を最大限に生かしています。

そして、こうして出来上がった酒造好適米で造ったお酒を従来の銘柄名である「縁喜」ではなく、「NEW ENGI」と表記し始めているというわけです。

 

いただくのは金紋錦55%精米の純米酒、火入れです。

上立ち香は中庸な酒エキスの香りが仄かに。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑な表面にとろみ層を乗せて、ゆらゆらと揺れながら、忍び入ってきます。

受け止めて舌の上で転がすと、ややだるそうにしながら、ノロノロと膨らみ、拡散して、粘り気の強い粒々を次々と射掛けてきます。

 

粒から現出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系のややコクのあるタイプ、旨味はシンプル朴訥な印象で、両者はやや疲労感を漂わせながら、狭い範囲をノロノロと巡ります。

 

流れてくる含み香は酒エキスの香りに、なぜかカビ臭い匂いも混じっています。

後から酸味や渋味は現れず、刺激を受けずに甘旨味は最後まで覚醒することなく、眠たそうな徘徊を続け、最後もノロノロと喉の奥へと吸い込まれて行きました。

香りに難がありました。

それでは長野のお酒、4本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年8銘柄目)

銘柄名「NEW ENGI(ニュー・エンギ)純米 金紋錦 2022BY」

酒蔵「玉村本店(長野県山ノ内町)」

分類「純米酒」

原料米「金紋錦」

使用酵母「不明」

精米歩合「55%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「+5」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「720ml=1870円」

評価「★★★(5.5点)」