秋田「山本 天杉 山廃純米 生原酒」甘旨味と乳酸が溶け合わずに拮抗して凜々しい世界を描く | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
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自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

山本 天杉 山廃純米 生原酒」。

秋田県八峰町の山本酒造店さんが醸しているお酒です。

 

すでに何度も紹介しているように、山本酒造店は蔵の敷地内に超小型の醸造所を併設したカフェ、「LABO and CAFE YAMAMOTO」を4月下旬に無事オープンの運びとなりました。

開業が当初計画よりも半年近く遅れたこともあり、待ちわびた山本ファンが、県外からも続々とやってきて、週末などは入店待ちができるほどの盛況になっています。

この混雑は本格的な冬の到来まで続くものと思われます。

店は順調なスタートを切りましたが、一方のミニラボでの日本酒造りは「1本目の酒はうまく仕上がらなかった」(山本友文蔵元のSNS)ようです。多分、ご愛敬といったところで、それ以降は山本さんのつぶやきもなく、順調に“クラフト日本酒”ができているのだと思われます。

いずれ必ず、行ってみたいと思います。

 

さて、いただくお酒は、秋田県産の杉で作った木桶で醸した70%精米の山廃純米、生原酒です。

上立ち香は薄らと甘さと酸味がミックスした香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に薄らととろみ層を乗せて、色っぽいムードを放ちながら忍び入ってきます。

 

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス球様の粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系の適度に奥行きを感じるタイプ、旨味はたくさんのコクが複層化した印象で、両者は足並みを揃えて、エネルギッシュな舞いを披露します。

 

流れてくる含み香は甘酸っぱい香りで薄化粧を付与。

後から酸味と渋味が適量現れるのですが、乳酸主体の酸味は甘旨味に溶け込まず、むしろ対抗するようにして存在感を主張。

味わいは終盤まで緊張感が保たれ、甘旨味と酸味が交互に主張する世界が続くのでした。

飲み下した後の余韻もキリリとした凜々しさでした。

いつものハイレベルな山本でした。

 

お酒の情報(23年244銘柄目)

銘柄名「山本(やまもと)天杉(てんすぎ)山廃純米 生原酒 2022BY」

酒蔵「山本酒造店(秋田県八峰町)」

分類「純米酒」「生酒」「原酒」「山廃酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「70%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=3000円」

評価「★★★★★(97点)」