自宅の晩酌に奈良県葛城市の梅乃宿酒造さんが醸しているお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。
4本目はこれです。
「梅乃宿(うめのやど)アンフェインドサケ・ハーベスト 純米」。
梅乃宿酒造が2022年夏に全く新しい蔵を新設し、組織の見直しと共に“家業”から“企業”への変身を目指し、蔵元社長の吉田佳代さんが奮闘している様をSAKEStreetに記事を書きました。
是非、お読みください。
ここではそこに書き切れなかったことなどをご紹介します。
2013年に社長に就任した吉田佳代さんは、蔵の目指す目標を「新しい酒文化を創造する蔵」としました。
その趣旨について、佳代さんは次のように話しています。
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明治以前の日本酒はすべて木製の樽(桶)で酒を造っていたので、かすかにしろ木の香りがしたはずです。
だから、日本酒は木の香りがするアルコールだったのです。
それが、その後、ホーロータンクが一気に普及。
当初はきっと、「木の香りがしない。これは日本酒ではない」とか言われたはずです。
でも、それが当たり前になると、現在は木の香りがする酒は「なんだ樽酒か、ちゃんとした日本酒がほしい」といった声になる。
つまり当たり前は変わるのです。
2002年にうちが日本酒ベースの梅酒を造った時も、「技術のいらない梅酒を日本酒蔵が造るなんて信じられない」と他の同業他社から白い目で見られました。
それが、うちを含めた先行蔵が成功すると数年後には雪崩を打つようにしてほとんどの酒蔵が参入してきて、いまや当たり前ですよね。
だからこれからも、タブーを意識せず、新しい酒文化に貢献する商品を造っていきたい。
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さて、4本目です。
梅乃宿のUnシリーズは昔からある「梅乃宿」のラベルから来る古くさい印象を払拭するためにリリースされ、現在はこちらがメインの商品群になっています。
裏ラベルでは、それぞれのネーミングについて、梅乃宿日本酒辞典からの出典という格好で説明していますので、そのままご紹介します。
アンフェインドサケ 純米
Harvest 名詞=収穫、産物
「梅乃宿Unシリーズ」の季節限定純米。一夏を越え、香りは穏やかで落ち着いた酸、そして、芳醇な旨みを纏った風格あるお酒に生まれ変わった。
▼用例=旬の味覚に心躍らせたい時、又は祭りをする歳に
▼用法=常温又はぬる燗
これも70%精米の純米、火入れです。
上立ち香はこれも濃い目の酒エキスの香りが。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に適度なとろみ層を乗せて、円熟味を増した雰囲気で忍び入ってきます。
受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散しながら適度な大きさのウエットな粒々を次々と射掛けてきます。
粒から現出してくるのは甘味7割、旨味3割。
甘味は明快で濃厚なタイプ、旨味は複数のコクが折り重なった印象で、両者は端から艶をたっぷり放ちながら、ヘビーな世界を描くのです。
流れてくる含み香は重厚な酒エキスの香りが厚めの飾り付けを付与。
後からクエン酸系の酸味がやや多めに現れて、甘旨味と共にカラフルな世界にいざないます。
最後に渋味が少量現れると、全体は反転縮退して喉の奥へと吸い込まれて行きました。
それでは梅乃宿酒造のお酒、5本目をいただくことにします。
お酒の情報(23年44銘柄目)
銘柄名「梅乃宿(うめのやど)アンフェインドサケ・ハーベスト 純米 2022BY」
酒蔵「梅乃宿酒造(奈良県葛城市)」
分類「純米酒」
原料米「不明」
使用酵母「不明」
精米歩合「70%」
アルコール度数「16度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「1800ml=3080円」
評価「★★★★★(97点)」