奈良「梅乃宿 アンフェインドサケ・ウォーム 純米」シロップを思わせる甘旨味がリラックスして舞う | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

自宅の晩酌に奈良県葛城市の梅乃宿酒造さんが醸しているお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

3本目はこれです。

梅乃宿(うめのやど)アンフェインドサケ・ウォーム 純米」。

 

梅乃宿酒造が2022年夏に全く新しい蔵を新設し、組織の見直しと共に“家業”から“企業”への変身を目指し、蔵元社長の吉田佳代さんが奮闘している様をSAKEStreetに記事を書きました。是非、お読みください。

 

ここではそこに書き切れなかったことなどをご紹介します。

 

2013年に社長に就任する以前から、吉田佳代さんは、社内の仕事に違和感があれば、どんどん指摘して変えていきました。

変革のスピードは他の酒蔵よりも早く、そのフットワークの良さに空太郎は以前から感心していましたが、そのことについて、佳代さんは次のように話しています。

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酒蔵に帰ってからは、業界他社とも交流を深めていき、同世代の酒蔵後継者とも語らうことが増えました。

その大半は男性なのですが、彼らは父親の存在を強く意識していました。

「父親がすごすぎて追い越すことができない」とか「父親のやり方は時代に合わないが、なかなか反対の声を上げられない」と言って、変革をためらっているんです。

それが不思議でした。

 

別に父親と真っ向からやり合わなくても、父が得意としていないことも会社の業務には一杯あるのだから、そうした所に目を向けて、まずはそこから変革すればいいんじゃないか、と思ったのです。

しかも、幸いに、蔵には私と同世代の若い人が多かったので、彼らと、

「働きやすい環境ってなんだろう」と議論し、チームとして組織としての梅乃宿酒造を活性化するためにプラスになることをどんどん取り入れていきました。

そうして積み上げた実績があったから、若くして社長を譲ってくれたのだと思っています。

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さて、3本目です。

梅乃宿のUnシリーズは昔からある「梅乃宿」のラベルから来る古くさい印象を払拭するためにリリースされ、現在はこちらがメインの商品群になっています。

 

裏ラベルでは、それぞれのネーミングについて、梅乃宿日本酒辞典からの出典という格好で説明していますので、そのままご紹介します。

 

アンフェインドサケ 純米

un・feigned 形容詞=心からの、真実の

Warm 動詞=・・・を温める、【人・心を】優しい気持ちにする

「梅乃宿Unシリーズ」の季節限定純米。奈良県産米を100%使用。季節が移ろうほど香りが深まり、トロリとした旨みは大きく体を包み込む。温めるとなおよし。

▼用例=体を温めたい時、又はほのぼのとした時間を過ごす際に

▼用法=常温又は燗

 

70%精米の純米、火入れです。

上立ち香は気持ち濃い目の酒エキスの香り。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に適度なとろみ層を乗せて、リラックスした雰囲気で忍び入ってきます。

 

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散しながら適度な湿り気を帯びた粒々を次々と射掛けてきます。

粒から現出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はややどろりとした水飴の印象、旨味はシンプルで弾力性のあるタイプで、両者はやや弛緩したムードの舞いを披露します。

 

流れてくる含み香は酒エキスの香りに薬っぽい香りがミックスされて、甘旨味を遠目に囃すのです。

後から酸味がやや多め、渋味が少量現れて、おっとりとした雰囲気の甘旨味にわずかなアクセントを付与。

味わいは終盤までスローペースで踊りが続くのでした。

それでは梅乃宿酒造のお酒、4本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(23年43銘柄目)

銘柄名「梅乃宿(うめのやど)アンフェインドサケ・ウォーム 純米 2022BY」

酒蔵「梅乃宿酒造(奈良県葛城市)」

分類「純米酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「70%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=2750円」

評価「★★★★(96点)」