三重「作 IMPRESSION-H 純米原酒」微細な気泡の破裂を背景に甘旨味が完璧なハーモニーを | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

日本を代表する銘酒「作」をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

5本目はこれです。

「作(ざく)IMPRESSION-H 純米原酒」。

三重県鈴鹿市の清水清三郎商店さんが醸しているお酒です。

 

新社屋建設に合わせて、商品のデザインのリニューアルにも踏み切っています。

デザインについては、10年前からデザイナーの上村泰氏が担当しており、今回のデザイン見直しについて、次のように話しています。

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「作」と「鈴鹿川」のデザインのベースに使用しているのは、これまでと同様に鈴鹿の伝統産業「鈴鹿墨」と「伊勢型紙」です。

墨の持つ荘厳なイメージは、「作」の真摯な酒造りへの取り組みにしっくりとくるし、「鈴鹿川」が掲げる日本酒の裾野を広げるというビジョンには「伊勢型紙」の華やかさや多様性がよく合う。

一つの地域に魅力的な2つの伝統産業があるのは、ありがたいばかりでなく、それが商品のイメージと合致するとは、なんて奇跡的なことだろうと思っています。

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そして、今回は新たに会社のシンボルマークを作ることになり、これも上村氏が担当して、次のように話しています。

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シンボルマークのデザインソースはずばり水です。

酒造りに大切な要素が水で、清水清三郎商店が伊勢湾の海岸沿いにあって、社名の漢字にさんずいや水などが繰り返し現れることもこれ以上ない理由です。

繰り返す水の流れは岩をも砕く力を秘めており、波のような形状から「揺り水・菱(ゆりみう・ひし)」と名付けました。

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さて、5本目は「IMPRESSION(インプレッション)シリーズ」の2本目です。

穂の智をベースにした直汲みということで、「H」です。

上立ち香は初々しいイソアミルの香りがほんのりと。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡を適度に纏って、軽快なテンポで忍び入ってきます。

 

受け止めて保持すると、気泡のマイルドな破裂をBGMにして、テンポ良く膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス球様の粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系の奥行きのあるタイプ、旨味は無垢で素朴な印象で、両者は足並みを揃えて、気泡の破裂と共にGよりもやや厚めのハーモニーを奏でるのです。

 

流れてくる含み香はイソアミルのフレッシュな香りでデコレート。

後から酸味と渋味は僅少現れて、メリハリを付与し、甘旨味は終盤まで繊細でラブリーな世界を描き切るのでした。

四合瓶2000円以下の日本酒としては、おそらく最高峰のレベルの仕上がりです。

それでは続いて最後、6本目の「作」をいただくことにします。

 

お酒の情報(22年247銘柄目)

銘柄名「作(ざく)IMPRESSION-H 純米原酒 2021BY」

酒蔵「清水清三郎商店(三重県鈴鹿市)」

分類「純米酒」「無濾過酒」「原酒」「直汲み酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「750ml=1760円」

評価「★★★★★(99点!)」