日本を代表する銘酒「作」をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。
4本目はこれです。
「作(ざく)IMPRESSION-G 純米原酒」。
三重県鈴鹿市の清水清三郎商店さんが醸しているお酒です。
今回の蔵のリニューアルには2年余りがかかり、その間、騒音や多くのトラックが狭い道路を出入りし、蔵元の清水慎一郎さんは内心、「近所には迷惑をおかけしている」と思っていたそうです。
そんな彼の所に、蔵の周辺住民に貢献する話が持ち込まれたのです。
大地震による津波発生時の緊急避難場所として事務所棟の屋上を提供するというものでした。
蔵は伊勢湾の海から約150㍍で、ほぼ海面と同じ高さ。そこに大地震による想定される津波の高さは約1.5㍍。仮にそれよりも大きな津波だったとしても事務所棟の屋上の高さは約8.5㍍あります。
この地域の避難場所としては最も高いのです。
事務所棟の外階段の鍵を震度5以上を感知すると開放する仕組みとすることで、蔵の人間が不在でも屋上に避難できるというわけです。
収容人数は165人で蔵の近隣に住む人たちにとっては、いざというときの為の安心な施設になるということで、鈴鹿市と清水清三郎商店が協定を結びました。
とってもいい話でした。
さて、4本目からは空太郎が最も評価している、「IMPRESSION(インプレッション)シリーズ」です。
玄の智をベースにした直汲みということで、「G」がついています。
上立ち香は鮮度に優れたイソアミルの香りが仄かに。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡を適度に纏って、軽快なテンポで滑り込んできます。
受け止めて保持すると、気泡の麗らかな破裂をBGMにして、リズミカルに膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス球様の粒々を速射してきます。
粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。
甘味は上白糖系の乾いたさらりとしたタイプ、旨味は無垢で素朴な印象で、両者は足並みを揃えて、気泡の破裂と共に完璧なハーモニーを奏でるのです。
流れてくる含み香はイソアミルのフレッシュな香りでデコレート。
後から酸味と渋味は僅少現れて、薄氷の輪郭を付与し、甘旨味は終盤まで繊細でチャーミングな世界を描き切るのでした。
四合瓶2000円以下の日本酒としては、おそらく最高峰のレベルの仕上がりです。
それでは続いて5本目の「作」をいただくことにします。
お酒の情報(22年246銘柄目)
銘柄名「作(ざく)IMPRESSION-G 純米原酒 2021BY」
酒蔵「清水清三郎商店(三重県鈴鹿市)」
分類「純米酒」「無濾過酒」「原酒」「直汲み酒」
原料米「不明」
使用酵母「不明」
精米歩合「60%」
アルコール度数「16度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「750ml=1760円」
評価「★★★★★(99点!)」