まん延防止措置の最中に荒木町の居酒屋純ちゃんに伺いました。
その夜もしっかりと25銘柄の美酒を堪能しましたが、その中からいくつかのお酒を紹介します。
5本目はこれです。
宮城県大崎市の寒梅酒造さんが醸しているお酒です。
「吟のいろは」は余り聞かれない名前ですが、宮城県が新たに開発して、2019BYから酒蔵が使い始めた酒造好適米です。
宮城県の酒造好適米としては2000年に登録された「蔵の華」がありますが、心白が小さいため、吟醸造りには不適。
このため、県内の酒蔵からは「心白の大きな好適米がほしい」との声があり、宮城県が2007年から開発に着手しました。
「東北189号(のちのげんきまる)」を母に、山形県の酒造好適米の「出羽の里」を父にして交配を行い、2008年から2009年にかけてF2,F3世代の世代促進をさせ、2010年から選抜、固定を重ねて、「東北酒218号」が誕生しています。
蔵の華よりも粒が大きく、眼状心白が発現しやすいということで、デビューが決まりました。
吟醸酒に向くということと、伊達政宗の長女の五郎八姫(いろはひめ)からネーミングをしています。
2020年2月に1年目の酒を県内の酒蔵が一斉に発売したことから、お披露目会が計画され、空太郎も取材に向かう予定でしたが、コロナで残念ながら行けませんでした。
50%精米の純米大吟醸、火入れです。
上立ち香は芳醇でラブリーな香りが鼻腔を撫でます。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、スベスベの感触をアピールしながら、ふわふわと半ば浮き上がるようにして、忍び入ってきます。
受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス球様の粒々を連射してきます。
粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。
甘味は上白糖系のさらりとしたタイプ、旨味はシンプル無垢でつるりとした印象で、両者は足並みを揃えて、均整の取れた歯切れの良い舞いを披露します。
流れてくる含み香はキュートな甘い香りで薄化粧を付与。
後から酸味と渋味はわずかに現れて、遠目に甘旨味のナチュラルな踊りを囃し続けるのです。
飲み下した後は、適度でスッキリするものでした。
それでは純ちゃんでのお酒、6本目に参ります。
お酒の情報(22年83銘柄目)
銘柄名「宮寒梅(みやかんばい)純米大吟醸 吟のいろは 2021BY」
酒蔵「寒梅酒造(宮城県大崎市)」
分類「純米大吟醸酒」
原料米「宮城県産吟のいろは」
使用酵母「不明」
精米歩合「50%」
アルコール度数「16度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「1800ml=3190円」
評価「★★★★★(98点)」