栃木「北冠 蔵の街 純米吟醸」とろとろの甘味とつるつるの旨味がフエキのりの世界を描く | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
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自宅の晩酌にお酒を選びました。これです。

北冠(ほっかん)蔵の街 純米吟醸」。

栃木県栃木市の北関酒造さんが醸しているお酒です。

 

北関酒造は栃木県で醸造量がナンバーワンの大手です。

小田垣酒造(旧壬生町)と鈴木酒造(旧藤岡町)が合併して1973年に誕生した北関酒造は、その後も設備を増強して醸造量を伸ばし、1990年代末には3万石に達しました。

 

しかし、それ以降は頭打ちになってきたことから、主戦場を輸出にシフトし、攻勢をかけてきました。

その結果、韓国の日本酒市場ではトップブランドになっていますし、売り上げの3割が輸出です。

醸造量が多い割に国内であまり見かけないのには、そういう理由があったのですね。

 

お酒は58%精米の純米吟醸、火入れです。いただきます。

上立ち香は酒エキスの香りがかすかに漂います。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が平滑になった表面にとろみ層をたっぷりと乗せて、周囲にペタペタとくっつきながら、ゆっくりとしたペースで転がり込んできます。

 

受け止めて保持すると、促されるままにスローなテンポで膨らみ、拡散しながら適度な大きさの粘り気のある粒々を次々と射掛けてきます。

粒から現出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はとろとろの水飴のよう、旨味も粘り気の強いコクが複数重なり合ったタイプで、両者は一緒に蕩けるようにして踊ります。

 

流れてくる含み香は気持ち過熟した酒エキスの香り。

後から酸味と渋味は全く現れず、甘旨味は誰にも邪魔されずに省エネペースで巡回しながら、最後はフエキのりの世界を描ききるのでした。

お土産で遭遇する無難な純米吟醸酒でした。

 

お酒の情報(21年66銘柄目)

銘柄名「北冠(ほっかん)蔵の街 純米吟醸 2019BY」

酒蔵「北関酒造(栃木県栃木市)」

分類「純米吟醸酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「58%」

アルコール度数「14~15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「×」

標準小売価格(税込)「1800ml=2420円」

評価「★★★★(4.1点=83点)」