自宅の晩酌にお酒を選びました。これです。
「鷹来屋五代目(たかきや・ごだいめ)特別純米」。
大分県豊後大野市の浜嶋酒造さんが醸しているお酒です。
浜嶋酒造は1979年に一旦、自醸を止めて、他蔵から桶買いしていましたが、蔵元五代目になる浜嶋弘文さんがもう一度、自分の蔵で酒造りをしようと準備をし、1997年、33歳の時に復興を果たしています。
20年以上細々と存続していただけに販路は少なく、こうした台所事情もあって、復興に合わせて、蔵に直売所を設けるとともに、お酒やコーヒーなどを出す「茶房ささら」を開いて、来蔵者を増やす努力をしてきました。
鷹来屋の酒質向上と相まって評判を呼び、さらには大分と熊本を結ぶ観光ルートにあることから、蔵での日本酒の売り上げは年々伸びてきました。
又聞きですが蔵の売り上げの過半が直売所のものだそうです。
観光バスを招き入れる大きな駐車場を供えた“観光蔵”でもないのに、それだけの売り上げを誇っているのには驚きます。
特約店限定流通に縛られない、ユニークな試みだと思います。
さて、今夜いただくのは、地元産の酒米(銘柄不明)55%精米の特別純米酒、火入れです。いただきます。
上立ち香は酒エキスのやや重い香りがほんのりと。
口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にとろみ層を乗せて、ゆるゆるとしたスピードで忍び入ってきます。
受け止めて舌の上で転がすと、促されるままにのんびりとした仕草でゆっくり膨らみ、拡散しながら、適度な大きさの弾力性のある粒々を次々と射掛けてきます。
粒から現出してくるのは甘味7割、旨味3割。
甘味はとんかつソースのような濃くてどろりとした印象、旨味はいくつかのコクが混ざり合ったタイプで、両者は朴訥でまったりとした雰囲気を作りながら踊るのです。
流れてくる含み香は酒エキスの香りに気持ち火冷め臭が混じります。
後から酸味や渋味は現れず、甘旨味のスローテンポの踊りが終盤まで続き、飲み下した後の余韻もいささか重いものでした。
鷹来屋を飲むのは久しぶりでしたが、いささか物足りなさを感じました。
お酒の情報(20年188銘柄目)
銘柄名「鷹来屋五代目(たかきや・ごだいめ)特別純米 2019BY」
酒蔵「浜嶋酒造(大分県豊後大野市)」
分類「特別純米酒」
原料米「不明」
使用酵母「不明」
精米歩合「55%」
アルコール度数「15度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税抜)「1800ml=2600円」
評価「★★★★(4.2点)」