山口「日下無双 純米60」疲労感たっぷりの甘旨味がノロノロと徘徊する | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

自宅の晩酌に山口県岩国市の村重酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて飲み比べをしました。

2本目はこれです。

 

 

「日下無双(ひのしたむそう)純米60」。

今回、初めて蔵を訪れたのですが、敷地内に入って真っ先に目に入ってきたのが巨大な杉玉でした。

その大きさは半端なく、直径5m、重さ約3トンもあります。

 

杉の木だけで3トンあるのではなく、球体にくみ上げた鉄骨の表皮に杉を埋め込んで作ってあるのです。きっかけは「金冠黒松」の誕生50周年にあたる2009年に何か記念になることをやろうと、「日本一大きな杉玉を作る」ことになりました。

村重酒造が調べた範囲では、2006年に福岡の喜多屋が直径4メートルの杉玉を作って、「日本一」と表明していることがわかり、それを超えるものをということで直径5mと決めました。

 

 

そして、市内の工場に依頼して、直径2センチ、長さ5.5メートルの鉄パイプを50本使って、球形の骨組みを完成。

その表面に金網をかぶせ、そこに杉の枝を刺すことで杉玉にしようと企画したのです。

 

山奥の杉の伐採現場などから杉の枝を分けてもらい、トラックで10台分、約3トンの杉の枝を使い、

2ヶ月かけて杉玉に仕上げました。

そして、別途、高さ9メートル、幅6メートルのやぐらを建てて、吊るしました。

まさにギネス級です(村重酒造としては申請していないそうです)。

 

 

通常、酒蔵の玄関に吊るす杉玉は毎年初冬に新しくしますが、さすがに毎年では“重労働”なので、掛け替えは4年後の2013年に一度目、6年後の2019年に二度目を実施しています。

地元で話題になったこともあり、作業は一般の人も参加できるそうで、空太郎も次回は是非、と考えています。

さて、2本目は、60%精米の純米酒、火入れです。いただきます。

 

 

上立ち香は酒エキスのとろりとした濃い香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、表面にたっぷりととろみ層を乗せて、表面を波立たせながら、ゆったりと忍び入ってきます。

 

受け止めて保持すると、促されるままにノロノロと膨らみ、拡散しながら、やや大きめの粘りの強い粒粒を次々と射掛けてきます。

粒から現出してくるのは甘味と旨味が等量。

両者はどちらも濃醇で重々しく、スローモーションのように動き回るのです。

 

流れてくる含み香は濃い酒エキスの香りに火冷め臭が加わって、甘旨味の足元に絡むのです。

後から酸味や渋味は現れず、終盤まで甘旨味の疲労感を滲ませた徘徊が続くのでした。

 

 

それでは村重酒造のお酒、最後の3本目に参ります。

 

お酒の情報(20年83銘柄目)

銘柄名「日下無双(ひのしたむそう)純米60 2018BY」

酒蔵「村重酒造(山口県岩国市)」

分類「純米酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税抜)「720ml=失念」

評価「★★★(3.9点)」