広島「亀齢 純米 六拾八」多彩な甘味と複数の旨味が熱帯雨林の世界を描く | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

酔い人「空太郎」の日本酒探検

意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

大阪の銘酒居酒屋で食事をしました。いただいたお酒のうち、いくつかを紹介したいと思います。

2本目はこれです。

 

 

「亀齢(きれい)純米 六拾八」。

広島県東広島市の亀齢酒造さんが醸しているお酒です。

 

亀齢酒造は冬場に但馬杜氏に来てもらう“出稼ぎ”型で酒造りをしています。

杜氏は西垣昌弘さん、62歳。

父親の西垣信通さんが亀齢酒造の杜氏だったことから、39歳で蔵人として加わり、45歳の時に父上から杜氏のバトンを引き継いでいます。

 

冬場は亀齢酒造で酒造りをしていますが、酒造りが終わると地元の兵庫県新温泉町に戻り、地元の特産品である「はたがなる大根」を栽培しています。

但馬杜氏も数が随分と減ってきていますが、西垣さんは「長年培ってきた但馬杜氏の技を後輩にも伝えていきたい」と意欲を見せています。

 

 

さて、そんな亀齢酒造の酒造りの特徴は、なるべく米を磨かずに低精白の“黒い米”で純米酒を造ることです。

定番は80%精米の「八拾」ですが、今夜は68%精米の純米酒、火入れとなります。いただきます。

 

 

上立ち香は酒エキスの濃醇な香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にとろみ層をたっぷりと乗せて、前後左右に揺れながら滑り込んできます。

 

受け止めて保持すると、促される前に自律的に膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのウエットな粒粒を次々と射掛けてきます。

粒から現出してくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味はザラメ糖を溶かして煮詰めたような印象、旨味も複数のタイプのコクが複雑に織り上がった感じで、両者は色香を放ちながら、濃厚な舞いを展開します。

 

流れてくる含み香も熱帯雨林に咲く花の蜜の香りでデコレート。

後から酸味と渋味は少量現れるものの、甘旨味の太めの迫力の陰に沈み、終盤まで熱帯のような派手な雰囲気を演じ続けるのでした。

 

 

でも、雑味はなく、飲み下した後の余韻は意外にも短いものでした。

 

*一升2500円の純米旨酒に登録します。

 

お酒の情報(20年24銘柄目)

銘柄名「亀齢(きれい)純米 六拾八 2018BY」

酒蔵「亀齢酒造(広島県東広島市)」

分類「純米酒」

原料米「こいもみじ」

使用酵母「不明」

精米歩合「68%」

アルコール度数「17度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「○」

標準小売価格(税抜)「1800ml=2250円」

評価「★★★★★(4.3点)」