福岡「若波 純米吟醸 FY2」桃のような甘旨味に良質な酸味が多彩な飾りつけをする | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

 自宅の晩酌にお酒を選びました。
 これです。

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 「若波(わかなみ)純米吟醸 FY2」。
 福岡県大川市の若波酒造さんが醸しているお酒です。
 蔵元令嬢の今村友香さんが蔵に戻って酒造りに参加。
 平成18BYからは杜氏になっており、直近の造りで8造り目になります。
 当初はいろいろ試行錯誤もあったようですが、4年ほど前から方向性が明確になり、ラベルのデザインも一新し、蔵人の若返りも進んで、福岡県では最も注目される酒蔵ではないかと思います。
 九州で唯一の女性杜氏ということもあり、マスコミへの登場も増えています。

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 そして、最近、若波の酒質をわかりやすく説明するキャッチフレーズとして、「味の押し波、余韻の引き波」という名文句を作りだしています。
 新しい酒質への挑戦も増えており、今夜いただくのも、福岡県が開発したふくおか夢酵母2号を使った甘酸っぱいお酒です。
 ふくおか夢酵母は1号から4号まであるのですが、2号を使っているのは若波のみ。
 我が道を行くお酒を造ろうとしているようで、一年目の24BYは60%精米で挑戦しましたが、25BYは55%精米に格上げしています。
 一回火入れです。
 いただきます。

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 上立ち香からして甘酸っぱい香りがそよいで。
 玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、表面をサラサラな場所とザラザラな場所をないまぜにしながら、低い姿勢でまっしぐらに駆け込んできます。
 受け止めて保持すると、促されるままに軽快に膨らみ、拡散しながら、清澄な粒粒を四散させてくるのです。
 粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。
 甘味は熟した桃の甘味を連想するもので、弾力性のあるゴムまりのような旨味を従えて、華やかに健やかに舞うのです。
 そこに、すかさず、リンゴ酸由来の酸味が大きなうねりとなって現れ、一気に甘旨味を包み込んで、味わいを毛羽立たせて、そこかしこで甘酸っぱい間欠泉が吹き上がるのです。
 甘味もこれに反攻するようにして、押し返しながら、味わいは複雑に。
 含み香も酸含みの甘い香りで、全体をさらに彩り鮮やかなものに変質。終盤になると両者は同じテンポでくたびれて、仲良く足並みをそろえて縮退し、余韻は浜辺に打ち寄せる波が引くかのようでした。

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 このFY2は若波の定番品にしてください。

★お酒の情報(14年258銘柄目)
銘柄名「若波(わかなみ)純米吟醸 FY2 25BY」
酒蔵「若波酒造(福岡県大川市)」
分類「純米吟醸酒」「一回火入れ酒」
原料米「不明」
使用酵母「ふくおか夢酵母2号」
精米歩合「55%」
アルコール度数「15度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度「△」
標準小売価格(税抜)「1800ml=2700円」
評価「★★★★★(4.2点)」