「私本太平記」を読み終わったらブログで
教えてもらった高師直が主人公の作品を
読むつもりだったのですが、
徳川の世の草創を描いた「覇王の家」から
の流れでこちらを先に。
会津、桑名、尾張、一橋とそれぞれの当主と
なり難しい局面に立たされた高須四兄弟のお話。
もちろん皆家康さんの子孫になる訳です。
260年を経て葵=覇王の家の”残葉”と表現される
に至る、感慨深いです。
主軸は長兄の慶勝公。
御三家筆頭尾張徳川家当主でありながら、
第一次長州征伐の総督~初期新政府の重職。
自藩のこと徳川家のこと国のこと。
その苦悩よく分かりました。
鳥羽伏見直後、三河武士発祥の地~縁の深い
東海道諸藩を新政府側にまとめ上げ、
平和裏に新政府軍を江戸まで行かしめた功績は
もっと評価されるべきですね。
青松葉事件や勤王の藩訓の背景も良く分かりました。
水戸系が濃かったのですね。
維新後、名古屋城をくまなく写真に収めるところや
金鯱を献上するところは、痛々しくもありましたが
情景がありありと目に浮かんで面白かったです。
シャチホコのない天守を見ておいて良かった
次の軸が桑名藩主定敬公。
飛び地の越後柏崎から東北を転戦し函館まで
行ったとのことで詳しく知りたかったのです。
何とその後は上海まで行ったり、西南戦争に旧家臣を
率いて参戦したり!
翻弄されたと言うより、行動力がすごい方だったのかと。
4人そろった写真からもうかがえる彼の明るさが
救いでもありました。
奥山景布子さん、初読みでした。
津島生まれの名古屋育ちなんですね。
名古屋愛を感じました。
そして、最初の一文から優しさが伝わってくるような
読みやすさで、ほぼ一気読みでした。
他の作品も読まねばです