鎌倉幕府滅亡となる第五巻。
太平記前半のクライマックス!と大河ドラマの時も同じことを書いたなぁと思ううちに、大河ドラマの方もまた観てしまいました
そしたら・・・大河ドラマの方はまた次にするとして、熱い第五巻をまず
冒頭、不破(関ヶ原)無事通過し京へ向かう足利軍が琵琶湖東岸の野洲に差し掛かった所から始まります。
高氏「・・・するとここらは天智天皇が御猟のあとか」
に対し、今川範国が額田王の”あかねさす・・・”の歌を高吟
高い教養&オシャレな今川氏でした
篠村八幡からの六波羅攻め。
敗走側の北条仲時の描写に作者・吉川英治の力が入ってました。じっくりと蓮華寺でのその最期まで描かれ、その後作者感想。長いけど一節全部引用します。
むざんである。過去の歴史とはみても、胸がいたむ。何とかして生きようもあったろうにと、その一途な集団死を、理性で問うのは、後世の、そして平和の、幸福なるあげつらいというものであろう。乱世下に掻き立てられる生命の灯とは、自分自身ですら、戦(そよ)ぎの中のまたたきを、こんなにもふと断ちやすく、持ちきれなくするものであった。わけて、もののふという者のあわれは、そこに死すことを死に花とすらしようとする。
一方の鎌倉攻め。
押し寄せる新田軍を武蔵で迎え撃った大将が北条泰家でした。
「逃げ上手の若君」のお陰で、本音が顔に出るあの人のイメージでしかなくなってます
そう、ここから「逃げ上手の若君」と重なって来ます。
後の時行始め、五大院宗繫もチラッと登場。
時行を鎌倉から逃がしたのは諏訪三郎盛高。
ということで、ここで「逃若」1巻も読み直し
諏訪頼重と同一人物ともいわれている諏訪盛高ですが、逃若では別人物(頼重の一族で解説役)として登場してました。
と、多面的な楽しみ方も
もとい、
それにしてもこの京-鎌倉同時攻撃の大戦略。見事過ぎです。
日本史上最高と言っても良いのでは誰が描いたのでしょうか?
さて、第五巻終盤は早くも、宮方-武家、足利-新田の対立に、赤松氏など恩賞への不満が渦巻き始め。これからは暗澹たる思いで読み進めることになります
巻末は紀行に代わって専門家による史実との比較
登場人物の家格や年齢の違い
そして、尊氏祖父の置き文は、今川了俊の「難太平記」にあり事実だけど、高氏・直義兄弟が見たのはずっとあとの後醍醐天皇に反して後とのこと
ますます足利高氏叛乱の動機が分からない