有川ひろさんの最新刊。
と言っても、1年前に教えてもらってたのですが、なんやかんやで後回しになってました
が、それがちょうど良い巡り合わせになりました
ドラマや映画といった映像作品を制作(製作とはまた違うことも知りました)する人たちのお仕事小説。
いっぱい刺さるものがありましたので、一章ずつ行きます
1.『天翔ける広報室』
劇中劇が「空飛ぶ広報室」のセルフパロディ
大好きなドラマ「空飛ぶ広報室」で実際にあったことがベースになっているのだと思います。
裏側&後日譚が見られる日が来るとは
柴田恭兵さんが演じた方の打ち上げでのスピーチ
航空自衛隊にとって、百年の財産になる作品
ラストが原作から変わって東日本大震災後の松島基地・ブルーインパルスとなったいきさつ
等々、沁みました。
新垣結衣さんの素も垣間見させてくれました!このタイミングで
そして、しっかり男心をくすぐってくれます。
デビルイヤーは地獄耳
デビルマンを持って来るセンスに参ってしまいます
2.『罪に罰』
タイトルを見た時は、『私の天敵(?)の「罪と罰」がモチーフか!?』と身構えてしまいましたが、私の大好きな分野で締められました
パワハラ、我儘監督での現場。理不尽な状況の中でも育って行く
薄々気付いてましたが、登場人物の名前の秘密がここで明らかになります。
良井(井伊)、佐々、今川、亘理・・・戦国武将でした。
しかし、伊達ではなく亘理を持って来るとは、ニクイです。
私は仕事で行く機会があったから辛うじて知っている程度です。
松島基地の近くなので、有川さん「空飛ぶ」の時行かれたのでしょうか
で、ここで登場するのが島津さん。来ましたビッグネームです。
登場した時に気付くべきでした。この名前でチョイ役のはずが・・・ですよね
さて、劇中劇は「君の膵臓を食べたい」に似せていると思ったのですがどうでしょうか?有川さんの作品にあるのかな
3.『美人女将、美人の湯にて ~刑事真藤真・湯けむり紀行シリーズ』
はい、見ての通り2時間サスペンスです
侮るなかれですよね。
観始めると最後まで観てしまうので、うっかり観ないように気を付けているぐらいです。
時間、予算等の制約がある中であのクオリティを保っているのは、こういう人たちの頑張りもあっての事と良く分かりました。
で、この武将たちを束ねる殿浦さんの夢が「島津斉彬」の製作。
これはリアルに実現して欲しいです。
「青天を衝け」で新納さんが演じて喜んでましたが、その1回だけの登場で終わってしまい残念に思っている所でした。
4.『みちくさ日記』
劇中劇は有川さんの作品「植物図鑑」が元になっているようです。
小説も映画も未なもので
もう一つのテーマが「原作愛」。
「植物図鑑」が映画化された時の実話が盛り込まれているのでしょうか?
実は「旅猫リポート」を某配信で観たので、この「植物図鑑」がおすすめとして挙がって来ていたのです。
サブタイトルで敬遠しまっていたのですが、これは観ないといけません。
それに!元になった人物として挙がって来る牧野富太郎
自分で「植物図鑑」とまで書いておいてすっかり忘れてました。
その時は三浦しをんさんの作品を引き合いに出しましたが、有川さんがしっかり作品にしていたとは
昭和天皇までがその言葉を引用したと言う
雑草という草はない。草にはすべて名前がある
この章だけでなくこの作品全体、更には有川作品のテーマが表れているのだと思いました。
5.『TOKYOの一番長い日』
「日本のいちばん長い日」とは全然違うので元ネタは何でしょうか
多分見当違いですが、近々観ようと思って楽しみにしている「サイレントトーキョー」を何となくイメージしながら読みました。
大作映画に携わりながら成長していく皆、
近づく良井(井伊)と島津
(この字面だけでゾクゾクします。関ケ原であんなことがあって、幕末にはこんなことがあってですからね)
佐々さんのその後も気になるし、有川さんが脚本まで関わった「旅猫リポート」は出てこなかったしで、続編に大期待