元夫が再婚することになった話の続きです。

 

 

 

 

最初聞いた時は正直、淋しさを感じたけど、

2分で事実が頭の中をぐるっと1周して

冷静に「全体最適解」について考え、

「これはみんなにとっていい話だ」と思い至りました。

 

問題は息子の気持ちだと思ったんです。

別居・離婚によって父子の関係は修復され、

息子は父親のことを上から目線で弱者としてみなして優しく接し、

いろいろ面倒をみてやっている様子。

1、2カ月に1回のペースで父親の住む町に出かけ、

家まで行って暮らしぶりを観察したり外食したりしています。

 

再婚すると言ったら傷つかないだろうか、

会うのが嫌になったりしないか、と気になりました。

特段会ってほしいってことでもないけど、せっかくいい関係ができているから。

 

いろいろ考えた結果、息子には私たちが同じ感情を分かち合っていることを伝えるために

「正直言うと、お母さんも結構淋しいんだ。

でもこれは仕方がないことだし、おやじのことを思えば

喜んであげることだと思うよ」と言いました。

 

息子からすぐには言葉が出てきませんでした。

それから、何とも形容しがたい笑い…皮肉ぽさを感じさせる薄い笑みを浮かべ

「よかったじゃん。1番いいことだと思うよ」と言ったんです。

 

「どう考えてもおやじには誰か一緒にいてあげる方がいい。

でも僕にはそれはできない。

ずっと一緒にいたいとは思わないから。

だったら、誰かと結婚して一生守ってもらうのが一番だよね。

ちょっとは寿命が延びるだろうし、そしたら僕はうれしい」

 

無理してる様子は全くなく、

私とぴったり重なるような気持ちを言葉にしてくれました。

念押しして聞いたけど、心からそう思ってるとのこと。

そして、父親とはこれからも普通に会う、と。

両親の悲しい関係が息子を必要以上に大人にしちゃったかなぁ。

 

この会話を交わしてからもう2週間以上たちますが、

私と息子は何も変わることなく、穏やかな日々を送っています。

元夫・父親の話題を避けることもなく、

かといってずっとその話をするわけでもなく。

週末には息子は父親に会いに行きます。

 

元夫が倒れた時、息子は小5でした。

私は会社から病院に駆け付けた後、息子を学校に迎えに行きました。

ショックを与えないよう、努めて明るく落ち着いて

「トトがちょっと病気になっちゃったから、病院に会いに行こう」と言ったんだけど、

息子は途中から泣きだし、

「やだ、どうして? トト死なない?」と言いました。

 

その後、受験塾通いで忙しい合間を縫って見舞いに通い、

食事の世話をしたり車椅子を押したり、談話室で将棋をさしたりー。

 

離婚話が出て最初の別居が決まり、

父親が住むところを探すため隣町の不動産屋に行った時には

こっそり後をつけ、

不動産屋で「父は今どの家を見学に行ってるんですか」と聞いたらしい。

 

10か月間の別居を経て同居を再開した後、

自分も巻き込まれたり、私をかばったりしながら繰り返し修羅場を見てきた。

それでも離婚で父親が再び家を出た直後は、

半ば私を責めるように「おやじと一緒に暮らしていられさえすれば、

何でも我慢できたのに」と言ったこともあります。

2人で泣きました。

 

そんないろんなことを経て、今では父親の再婚を「よかった」と言う息子。

倒れてから5年半。

長い道のりだったけど、ここまで来るのに時間をかけたのは無駄じゃなかった。

「トト、死なないよね?」と泣いた小5の幼さで、

両親の離婚や、父親が別の女性と一緒に暮らすことなど受け止められるはずがなかった。

今はむしろ私を支えてくれてる16歳。

 

そんな息子を誇りに思う一方で

申し訳ないなあという気持ちをいつも抱いています。

いっぱい辛い思いをした分、人の痛みや悲しみがわかる大人になり

幸せに生きてほしいと思っています。