格差と戦争にNO! -129ページ目

【声明】成田空港B滑走路の延伸の中止を求めます

声明――成田空港B滑走路の延伸の中止を求めます


 成田空港では、B滑走路(暫定平行滑走路、2180メートル)を北に延ばして2500メートルにする計画が進められ、成田国際空港会社は今年10月22日に供用を開始すると発表しました。


B滑走路が2500メートルに延伸されれば、大型のジャンボ機が発着することになり、空港会社は年間の発着回数を2本の滑走路を合わせて現在の20万回から最終的には30万回に増やすと言っています。B滑走路の南端には農を営む人びとが暮らしており、いっそうすさまじい騒音と排気ガスが、そしてさまざまの事故の危険性がその人びとを襲うことになります。これは、現地で生活する人びとに対するあからさまな人権や生存権の侵害です。


空港公団を引き継いだ空港会社は、公団が現地や周辺の住民、反対同盟と取り交

わした約束や協定を誠実に守らなければならない立場にありながら、そうした約束を反故にしてB滑走路の延伸を強行し、また全国の一坪共有者に権利返上を求める動きを強めています。


さらに、今年3月にA滑走路で米フェデックス貨物機が炎上し初めての死者を出す事故が起きましたが、空港会社は、この事故を理由にして大型機が飛べるようにB滑走路の延伸を早めたと言っています。本来ならば、この事故を教訓にして、開港前から問題視されていた空港立地の地理・気象条件そのものを根本的に再検討しなければならないはずです。しかし、こうしたことをまったく顧みず滑走路の延伸と発着回数の増大だけを追求するのは、安全性無視もはなはだしい態度です。


いま地球温暖化をはじめ地球環境問題が重要な課題になっているとき、石油燃料を大量消費してCO2を排出し排気ガスを撒き散らす航空機をどんどん増やしてよいのでしょうか。しかも、航空会社は増便すればするほど赤字が増えるという状況に陥り、航空政策そのものの迷走ぶりが大きな問題になっています。こうした視点からも、空港の拡張・新設や滑走路の増設・延伸が問い直されるべきです


私たちは、人権・生存権、安全性、環境の観点から成田空港のB滑走路の延伸に対して重大な疑問を表明します。そして、国土交通省と成田空港会社が10月に供用を開始することを中止し、現地で暮らす住民をはじめとする当事者の意向を聞き、延伸計画そのものを再検討することを求めます。


「いま成田空港で何が起きているのかプロジェクト」(成田プロジェクト)

【紹介】グローカル 736号

グローカル 736号  (2009年07月01日発行)
http://www2s.biglobe.ne.jp/~mmr/glocal/index.htm


■09年夏季一時金カンパの訴え
■「低炭素革命」ではなく脱成長社会を、低すぎる麻生のCO2削減中期目標8%
■「敵基地攻撃」論は日本のイスラエル化
■海賊派兵法の再議決を糾弾する、「警察活動」で武力行使を正当化
■生きる権利に国境はない!排外主義右翼のデモに対決
■欧州議会選挙―社民大敗と問われるオルタナティブ
■「ガザ侵攻」を問いシンポ、イスラエルを変えるために
■10.22 北進滑走路前倒し供用反対
■成田プロジェクト学習会―元運航乗務員からみたフェデックス事故
■成田プロジェクトよびかけ
■「ミサイル防衛反対ソウル国際会議」に参加して(下)―杉原浩司
■連載「ポストモダンの思想の功罪と「正義=公共性」の再構築―第6回(本葉一成)


【声明】10.22成田空港平行滑走路供用をやめろ!

10.22成田空港平行滑走路供用をやめろ! 10.18東峰現地行動に集まろう

三里塚・暫定滑走路に反対する連絡会

            2009年6月22日


 国交省と空港会社は、5月、成田空港暫定滑走路北伸工事を10月までに完成させ、2010年3月供用を半年前倒しして10月22日に供用を強行することを明らかにしました。私たちは、東峰住民の意志を無視した、強引な前倒し供用強行に反対します。三里塚農民の生存権・環境権・人権破壊を許すことはできません。10月18日(日)東峰現地行動を設定し、平行滑走路供用強行に抗議していきます。
 成田国際空港会社は、フェデックス機大事故(3月23日)によって、各国の航空機170便が欠航、他空港に行き先変更となってしまい膨大な損失となったから、ジャンボ機も離発着できる暫定滑走路を北伸早期完成・供用すると主張しています。また、現在の暫定滑走路を2500mにし、さらに南側に延長して、3500m級の滑走路にすることも明言しています。これは東峰地区住民の頭上にジャンボ機を飛ばし、今以上の騒音と排気ガスを撒き散らしながら、住民追い出しをねらった暴挙です。
 さらに現在年間20万回の発着回数を30万回に増やす計画も打ち出していますが、地球温暖化にブレーキをかけていくことが国際的な流れになっているにもかかわらず、航空機からの二酸化炭素(CO2)の排出量増加へと直結する欠陥政策です。公害を野放しし、環境破壊の拡大につながる空港はいらないのです。


■事故多発時代に暴走する「航空ビックバン」


 森中空港会社社長は、「暫定滑走路2500メートル化が実現すれば安全性が高まり、アジアの空港間競争が激化する中、質の高い安全な空港としてアピールしていく」などと発言しています。平山常務も「地元住民に対する説明によって、『ほぼ理解が得られた』との感触を持っている」などと身勝手に判断し、反対派住民の存在を無視し続けていく姿勢を前面に押し出してきました。フェデックス機大事故の事故調査委員会の報告も出ておらず、ましてや具体的な安全対策を提示することもせず、ひたすらアジアにおける国際空港競争からの遅れを取り戻すことを優先させています。
 この間、世界的金融危機と新型インフルエンザの影響などで航空業界の経営は悪化しています。国際航空運送協会(IATA)は2009年の世界の航空会社の最終赤字が90億ドル(九千億円)に達し、アジアの赤字が33億ドル(三千三百億円)に達することを明らかにしました(6月9日)。日本も例外ではありません。日本航空は夏ダイヤの変更計画を発表し、成田空港と関西空港などから発着する国際線8つの路線で減便を行うと発表しています。全日空も減便を検討中です。国内赤字路線は撤退方針を選択しています。つまり航空業界にとって利益が出る航空路線を維持強化していくということですから、羽田空港新滑走路供用と合わせた2010年「航空ビックバン」と称する過密運航化によって、これまでよりも安全軽視、事故多発が必至な時代に突入してしまうのです。このような無謀な過密運航計画を、ただちに中止にすべきです。


■ムダで人権・破壊の空港はいらない! 軍事利用NO!


 私たちは、新石垣空港、新福岡空港、神戸空港、関西新空港、中部国際空港、静岡空港、羽田空港に対して粘り強く反対運動を取り組む仲間たちが参加する反空港全国連絡会をはじめ関心を持つ住民とともに空港そのものが税金のムダ遣いであり、人権・環境破壊を作り出す元凶であると厳しく批判してきました。
 また、有事法制─国民保護法下による空港の軍事利用に反対し、戦争ができる国づくりのための空港は必要ないと訴えてきました。来年三月に茨城空港が開港予定ですが、航空自衛隊百里基地と民間共用化の空港です。空港の軍事利用の拡大を止めていきましょう。民衆に敵対する航空行政─空港を監視し続け、反空港運動を強化していきます。


■利益優先主義の空港会社を許さない


 B滑走路前倒し供用強行に先行して空港会社は、08年12月、空港内に存在する一坪共有地を買収しようと、全国の共有者約千人に売却を迫る手紙を送付し、09年2月にも手紙を再送しました。手紙は、空港問題の歴史的経緯に触れず、反省もなく、「売れ」と言うのみです。利益優先主義が空港会社の一貫した姿勢であり、東峰住民への追い出し強化とともに絶対に許すことはできません。
 三里塚農民と連帯し、成田空港平行滑走路供用強行に断固反対するとともにその危険な性格を社会的に明らかにし空港廃港を訴え続けていきます。