VISITORS / 佐野元春
VISITORS / 佐野元春
①コンプリケイション・シェイクダウン
②トゥナイト
③ワイルド・オン・ザ・ストリート
④ブルーな日曜の朝
⑤訪問者たち
⑥君を汚したのは誰
⑦カム シャイニング
⑧ニューエイジ
本日紹介するのは、1984年の佐野元春のアルバム「VISITORS」です。
高校生だった当時、佐野元春はオレの好きなアーティストの一人でした。
都会的でロマンティックな歌詞をメロディに詰め込んで歌われる彼の曲は、とてもかっちょよかったのです。
ですが、このアルバムを最初に聴いた時は、びっくりしました。
のっけからメロディがないのです。
もうね、何これ?でした。
( ・_ゝ・)ツマンネ
でした。
オレの周りでも不評で、このアルバムは失敗作、というのがオレたちの感想でした。
ですが、何度も聴いてるうちに、なんかカッチョエエな、と思うようになっていったのです。
今となっては、ヒップホップやラップに影響された作品、と簡単に言えますが、当時このアルバムは本当に衝撃的だったのです。
ヒップホップ色の強い①③⑤⑦は、このアルバムの象徴的な曲で、今聴いてもカッコイイです。
メロディアスでポップな②④なども、歌詞にニューヨークを感じさせるものが出てきてます。
訪問者たち
輝きが消えるまで切なく燃えてるチャイナタウン
街の詩人たちは憂鬱な恋を競う
安物のパヒュームに汚れたミンクのコート
月の雫浴びて夜に舞い上がる君
夜が終わるまで誰かを抱きしめていたい
少しずつ心に哀しみの雪が積もる
クロスワードパズル解きながら
今夜もストレンジャー
これは君のことを言ってるんだ
キャトル / トマ・フェルセン
QUATRE / THOMAS FERSEN
①IRENE イレーヌ
②LES MALHEURS DU LION 不幸なライオン
③DUGENOU 膝小僧
④ELISABETH エリザベス
⑤MONSIEUR ムッシュー
⑥MARIE-DES-GUERITES 哨舎のマリー
⑦LA CHAUVE-SOURIS コウモリ
⑧LA MOUCHERON 羽虫
⑨CHEZ TOI 君の家
⑩LA CHANDELLE ろうそく
本日紹介するのは、1999年のトマ・ファルセンのアルバム「キャトル」です。
トマ・フェルセンはフランスのシンガー・ソング・ライターです。
有能なソング・ライターのようで、「フランスのトム・ウェイツ」などと言われてるらしいのですが、残念ながらオレが持ってるのは輸入盤で、しかもオレはフランス語がわからないので詩の世界は何ともいえませんが、しゃがれた歌声と、独特の音楽は、トム・ウェイツに通ずるものがあります。
このアルバムはとある大型輸入CD店で試聴して一発で気に入って買いました。
ふざけたようなジャケもGOODです。
この音楽はなんというか、ちょっと説明するのは難しいです。
切ない短編映画のBGM、とでもいうようなノスタルジックな雰囲気なのですが、サーカス小屋に迷いこんだような曲もあれば、バロック調の優雅さを感じさせるものもあり、それらは時代性やジャンルを超えています。
また、ドラムやエレキ・ギターは使われておらず、アコーディオンやチェンバロ、マンドリンなどちょっと珍しい楽器が使われていて、何とも新鮮です。
ロックやポップスに聴き飽きた時、このアルバムを聴くと心が落ち着きます。
アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ / プリンス&ザ・レヴォリューション
AROUND THE WORLD IN A DAY / PRINCE & THE REVOLUTION
①AROUND THE WORLD IN DAY アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ
②PAISLEY PARK ペイズリー・パーク
③CONDITION OF THE HEART コンディション・オブ・ザ・ハート
④RASPBERRY BERET ラズベリー・ベレー
⑤TAMBORINE タンバリン
⑥AMERICA アメリカ
⑦POP LIFE ポップ・ライフ
⑧THE LADDER ザ・ラダー
⑨TEMPTATION テンプテーション
本日紹介するのは、プリンス&ザ・レヴォューションのアルバム「アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ」です。
大ヒットした前作「パープル・レイン 」から僅か1年足らずでリリースされたこのアルバムは、前作とは全く趣が異なる、サイケデリックで異質なサウンドでした。
これほど肩透かしをくらったアルバムは他にはありません。
それほど前作と差のある、とらえどころのない奇妙なアルバムだったのです。
このアルバムは、「80年代のサージェント・ペパー 」と、例えられることがありますが、それは、サイケで難解なサウンドと歌詞、そしてカラフルなジャケットにあると思います。
また、アルバム発売にあたっての、アルバムからの先行シングルがリリースされなかったのです(アルバム発売後にシングルはリリースされましたが)。
これは当時の商業化したロック/ポップ・シーンでは考えられないことでした。
そして、アルバムに対応したコンサート・ツアーも行わなかったのです。
そうした「反商業的な」やり方は、名作であることを運命づけられているように思えます。
難解なアルバムに出会うと、リスナーは「サージェント・ペパーズ」に例えたがるのですw
このアルバムを初めて聴いた時の衝撃は今でも忘れられません。
これほど前作と差のあるアルバムを、短期間で作れるものなのか?と。
ホンマにプリンスが作ったんか?と。
もしかしてプリンスは二人いるのか?と。
当時「パープル・レイン」でプリンスのファンになって、このアルバムを買って聴いた人は、おそらくみんなオレと同じような反応だったのではないでしょうか。
アルバムは、タイトル曲で幕を開けます。
のっけから奇妙な中近東風の笛のイントロで始まり、それに続いてプリンスの「ゥゥゥウウウアアアア!!」という咆哮w
もう最高です。
タイトルは50年代の映画「80日間世界旅行 Around the world in 80 days」から来ているのでしょうか。
「心の中の二つの世界へ君をエスコートするよ ひとつは赤と白と青の世界、もうひとつは紫の世界」
と歌われます。
紫はプリンスのイメージ・カラーですからいいとして、赤と白と青の世界ってフランス?トリコロールか?w
②はプリンスの描く理想郷です。
「ペイズリー・パークは君の心の中にある」
とプリンスは歌います。
また、
「象はラバよりも強いだなんて誰が断言できるだろうか」
というフレーズがあります。
これはどういう意味でしょう。
象は共和党のシンボルです。一方で民主党のシンボルはロバです。
では、ロバと馬の子であるラバは何なんでしょう?
このアルバムにはこうした意味深なフレーズがあちこちに散りばめられています。
含蓄があるのか、単なる言葉遊びなのかよくわかりません。
その他、ピアノで弾き語られるジャジーな③や、シングルカットされたポップでキャッチーな④⑦などがありますが、このアルバムの中のほとんどの曲が、ブラック・ミュージックの匂いを感じさせません。
アルバム最後の2曲は極めて示唆的です。
⑧は、「パープル・レイン」のようなスローな演奏をバックに、努力することを梯子を昇ることに例え、
「梯子を一段昇ることはたやすいことではないが、それだけに報いも大きい」
と歌い、
⑨は、ハードなギターがブルースをかき鳴らし、
「愛はセックスよりも大切だ」
と語ります。
このアルバムでは、プリンスにしては珍しく心情を吐露するような描写が多く見られます。
非常に抽象的なアルバムだと思いますが、なぜか妙にクセになってしまうような何かがあり、聴き手を捕らえて離しません。
ペイズリー・パーク
シーソーの上で女の子が笑っている
この公園が醸し出す雰囲気は愛そのもの
入場許可を得るのは簡単
疑いなどなにひとつ抱かず
自分の心の中のこの場所まで来たと
言いさえすればいい
ペイズリー・パークは君の心の中にある