アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ / プリンス&ザ・レヴォリューション | A DAY IN THE LIFE WITH MUSIC

アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ / プリンス&ザ・レヴォリューション

AROUND THE WORLD IN A DAY / PRINCE & THE REVOLUTION


around the world in a day



①AROUND THE WORLD IN DAY アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ

②PAISLEY PARK  ペイズリー・パーク

③CONDITION OF THE HEART  コンディション・オブ・ザ・ハート

④RASPBERRY BERET  ラズベリー・ベレー

⑤TAMBORINE  タンバリン

⑥AMERICA  アメリカ

⑦POP LIFE  ポップ・ライフ

⑧THE LADDER  ザ・ラダー

⑨TEMPTATION  テンプテーション



本日紹介するのは、プリンス&ザ・レヴォューションのアルバム「アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ」です。

大ヒットした前作「パープル・レイン 」から僅か1年足らずでリリースされたこのアルバムは、前作とは全く趣が異なる、サイケデリックで異質なサウンドでした。


これほど肩透かしをくらったアルバムは他にはありません。

それほど前作と差のある、とらえどころのない奇妙なアルバムだったのです。


このアルバムは、「80年代のサージェント・ペパー 」と、例えられることがありますが、それは、サイケで難解なサウンドと歌詞、そしてカラフルなジャケットにあると思います。


また、アルバム発売にあたっての、アルバムからの先行シングルがリリースされなかったのです(アルバム発売後にシングルはリリースされましたが)。

これは当時の商業化したロック/ポップ・シーンでは考えられないことでした。

そして、アルバムに対応したコンサート・ツアーも行わなかったのです。


そうした「反商業的な」やり方は、名作であることを運命づけられているように思えます。


難解なアルバムに出会うと、リスナーは「サージェント・ペパーズ」に例えたがるのですw



このアルバムを初めて聴いた時の衝撃は今でも忘れられません。

これほど前作と差のあるアルバムを、短期間で作れるものなのか?と。

ホンマにプリンスが作ったんか?と。

もしかしてプリンスは二人いるのか?と。

当時「パープル・レイン」でプリンスのファンになって、このアルバムを買って聴いた人は、おそらくみんなオレと同じような反応だったのではないでしょうか。




アルバムは、タイトル曲で幕を開けます。

のっけから奇妙な中近東風の笛のイントロで始まり、それに続いてプリンスの「ゥゥゥウウウアアアア!!」という咆哮w

もう最高です。

タイトルは50年代の映画「80日間世界旅行 Around the world in 80 days」から来ているのでしょうか。


「心の中の二つの世界へ君をエスコートするよ ひとつは赤と白と青の世界、もうひとつは紫の世界」


と歌われます。

紫はプリンスのイメージ・カラーですからいいとして、赤と白と青の世界ってフランス?トリコロールか?w



②はプリンスの描く理想郷です。


「ペイズリー・パークは君の心の中にある」


とプリンスは歌います。


また、


「象はラバよりも強いだなんて誰が断言できるだろうか」


というフレーズがあります。

これはどういう意味でしょう。

象は共和党のシンボルです。一方で民主党のシンボルはロバです。

では、ロバと馬の子であるラバは何なんでしょう?


このアルバムにはこうした意味深なフレーズがあちこちに散りばめられています。

含蓄があるのか、単なる言葉遊びなのかよくわかりません。



その他、ピアノで弾き語られるジャジーな③や、シングルカットされたポップでキャッチーな④⑦などがありますが、このアルバムの中のほとんどの曲が、ブラック・ミュージックの匂いを感じさせません。



アルバム最後の2曲は極めて示唆的です。


⑧は、「パープル・レイン」のようなスローな演奏をバックに、努力することを梯子を昇ることに例え、


「梯子を一段昇ることはたやすいことではないが、それだけに報いも大きい」


と歌い、


⑨は、ハードなギターがブルースをかき鳴らし、


「愛はセックスよりも大切だ」


と語ります。



このアルバムでは、プリンスにしては珍しく心情を吐露するような描写が多く見られます。


非常に抽象的なアルバムだと思いますが、なぜか妙にクセになってしまうような何かがあり、聴き手を捕らえて離しません。






ペイズリー・パーク




シーソーの上で女の子が笑っている

この公園が醸し出す雰囲気は愛そのもの

入場許可を得るのは簡単

疑いなどなにひとつ抱かず

自分の心の中のこの場所まで来たと

言いさえすればいい



ペイズリー・パークは君の心の中にある