silent5話~やっぱり、ただ、ただ、語る ”silent4話” | 好きで、好きで、好き!

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冒頭で、仲良くビブスを干してる二人。

え?別れ話したよね??どういうこと?って思った。

 

想から借りたCDに入ってた紬のメッセージ。

8年たっても空で言えるほど、

紬のことは何でも覚えているんだよね・・・。

 

「この3年、ずっと考えてた。正直、不安だった。」

って言う湊斗は、紬を見ない。

 

2人の再会が「弱みに付け込んだ。」「紬も優しくしてくれれば、誰でもいい。」

という状況でたとえあったとしても、

いくらでも次の物語を紡いでいける。

 

はずだったのに、そのあと、紡いできた物語は

湊斗にはいつも何かにおびえなきゃいけない3年間だったことを次に続く言葉が知らせてくる。

 

ようやく、紬を見た湊斗から出た言葉は

もう、無理、俺が無理。という、ひどい拒絶。

嫌われたくない、って言うんなら、

なぜ、近づいたんだろう。

 

なんとなく、ずるずると・・・って言うんなら、

どうしてそこで、もっときちんと

自分と向き合わなかったんだろう。

 

それは、優しさなんかじゃない。

 

何も言わずに湊斗をビブスでたたき続ける紬は、

こんなに近くにいるのに、

気持ちが遠く離れてしまっていることに気が付いている。

戻らないのはわかっていて…でも、叩くのを止められない。

 

1話では、想とのあんな別れのあと、

それでも一緒に起き上がってくれる湊斗がいたけど、

今は、一人。

 

二度、傷つけられても、朝は来る。

一人で起きて、一人で食べる。

「ちゃんと寝て、ちゃんと食べてるか」って湊斗が心配した

あの8年前とは違う。

 

強くなったね・・・。

それはきっと、湊斗が寄り添ってくれてたから。

 

湊斗の部屋に、紬は自分の荷物を取りに行く。

そこでも、湊斗がきっちり、紬のことを覚えていることに

触れる。

部屋に来るのを断られて、

「戸川君て、そういう人だなあって。」

 

そっか。湊斗はきちんと線を引いてたんだ。

「その時に好きになったの?遅・・。」

って湊斗は笑うけど、

こうなるかも、ってずっと、葛藤してたんだね…。

 

ギリ付き合ってるかどうか、とか、ギリ別れてる、とか、

そんな、本当にまどろっこしい、

ほんとはこんな会話をしたいわけじゃないのに、

っていう紬の気持ちが、

ふとした瞬間に現れる。

こんな顔を見せるのも、湊斗との生活があったからなのに。

こんな顔を見せたら、今まで湊斗なら

何も言わずに抱き寄せてたでしょう?

 

もう、本当に思い切ろうとしているの?って思ってたら…。

 

帰り際、紬の荷物をアパートまで運ぼうとする湊斗。

別れを切り出したのに、こんないつもと変わらない行為は、

やっぱり、気持ちが切れてない証。

あれだけ、拒絶されてたのに、こんな不意打ち、

びっくりするよね…。

「女の子にはね、ちょっとくらい優しくない方がモテるよ。」

って言っておきながら、次の人の時に気をつける、

って言われて、

やっぱりもう戻れないってわかる瞬間が哀しいね・・・。

 

 

練習のための拒絶の言葉に、笑い合う二人。

 

紬の持ってるバッグに書いてある

「The story makes me happy」

今、お別れのための切ない時間。

確かに湊斗との物語はいったんここで終わり、だけど、

湊斗との時間は、紬を十分幸せにしてくれただろうし、

お別れは切なかったり、苦しかったりするだろうけど、

きっと、愛されて幸せだっと思える時間が来る、

そう告げているかのよう。

 

そして、この物語は最後には紬だけじゃなく、

みんなが幸せになれる。

だから観ている私たちも幸せにしてくれる。

そう告げていますように…。

 

 

「一人で全部持てる?」

と、湊斗が聞いたのは、

きっとこれからの紬の人生すべてのこと。

 

片思い、楽しいのに、

まあ、紬にはわかんないかって言った湊斗に

 

「いま、片思い、全然楽しくない、絶望、目が合っても絶望」

って紬に言われても、

その時には「あっそ。」

ってかわした湊斗が、本当はわかってて、

 

そして、一人で立ち直れるか、ってこと。

 

 

紬の「うん。」という返事を聞いて、

手を離したのは湊斗。

 

「何でもいいよ。」「紬の好きなもので。」

ってずっと紬の意思を尊重してきた湊斗が、

それが、きっと湊斗にとっても、とても幸せ、

だったはずなのに、

ようやく、湊斗が自分の意思で動き始めたのが、

本心じゃないところみたいに思えるのも哀しい。

 

 

「無意識に名前が出ちゃうくらい、ほんとに好きなんですね。」

って言われて、

こんな、わずかにしか接していない人でさえ

わかってくれるのに、

どうして湊斗はわかってくれないんだろう。

言葉にはしないけど、そんな思いが伝わってくる。

 

声で話せるけど、言葉で伝わらないものがある。

まるで主題歌の

「言葉は雪の結晶 

 君にプレゼントしたくても 

 夢中になればなるほどに

 形は崩れ落ちて溶けていって 消えてしまうけど」

のよう・・・・。

 

 

紬の親友に、3年間、紬が幸せそうだったこと、

女の子をぽわぽわさせるのも一つの才能、

「戸川君、やればできるじゃん。」

って言われて、ふっと笑う湊斗。

おそらく、不安と葛藤だらけだった3年間が

ようやく報われた瞬間・・。

 

 

 

湊斗と紬のことを心配して、lineを送るけど、

返事がなくて職場に来た想。

誰にも会いたくなくて拒絶した8年前、

そして、再会の時、と真逆の行動。

 

それだけ、想が変わったこと、

そして、それは返信さえも忘れてて、

さらに顔を見て話すのは辛い、とまで言っちゃう紬も同じ。

再会の時に追いかけたのは、紬だったのに・・・。

 

「ちゃんと寝て、ちゃんと食べてるか」

を気にしていた湊斗の言葉。

それは8年前は紬がそれをできなくて、

そして、同窓会で再会した時にも

できてなかったことを意味する。

 

だから、紬がちゃんと寝て、

ちゃんと食べている描写があるのは、

彼女が立ち直る力を身に付けたということ。

 

それはおそらく、何かがあれば、癒し動画を見て、とか、

コンポタを飲んで、とかで支えてきた湊斗が

もういない、という事実を紬が受け入れ始めているから。

 

 

 

2人の思い出のハンバーグを作っている最中に

かかってくる電話。

かけ直す、って言う紬にスピーカーにしちゃう弟君は、

やっぱり、元に戻ってほしいんだよね。

さらにこの後も、終わりそうになった電話を繋げるために、

ゆっくり話せるよう椅子を用意する。

少しでも長く紬と湊斗が話してほしい。

その願いのこもった、椅子。

 

 

湊斗が、忘れ物、と言ってるのは、

パンダ好きな紬が選びそうな、

ふわふわの飾りのついた髪留め。

とっても可愛いけど、100均の髪留めだから、

捨てていいよ、って言っちゃう。

 

 

そして、湊斗との日々がとても穏やかで、

湊斗がコンプレックスに思ってることがすべて、

自分をぽわぽわさせて、安心させてもらえてたことを、

紬は告げる。

 

 

「この3年間、ずっと、一番好きだった人だよ。」

 

 

「知らなかったでしょ。」

 

 

「もう、片思いでも、両想いでもないけどね。」

 

そう言い終わって、本当にこれで終わった…

そう思える紬の

この表情。

言葉と裏腹な想いに溢れてる…。

 

そんな紬に、この髪留めが100均だってわかってたことを

告げる湊斗。

「わかってんだろうなあって、わかってたよ。」

って言う紬に思わず

「ごめん、ちょっと話したかっただけ。」

 

 

この言葉に、許す、って答える紬。それを聞いた湊斗は

最後になるかもしれない、荷物を取りに行ったあの日、

ずっと拒絶してたことも、そして

自分から別れを切り出したことも、

許してもらえた、って思えたかもしれない。

「電話でよかった。顔見たら、泣いてた。」

って、強がりを言う。でも、そんな強がりも、紬にはばれてる。だけど、二人は進むしかない。

そう、決めたから。

 

潔いな、って思う。

そして、互いに想い合ってて、

好き、が一緒にいる理由にならないことも

ここで見せつけられる。

 

 

想がポニーテールを好き、って話題。

まさに

「しょうもなっ。」

なんだけど、湿っぽく終わらないためには、

これほど強いワードはない。

 

 

 

脚本がすごい、ってずっと言われているけれど、

例えば、紬が荷物を取りに言った場面のやり取りや、

このやり取りの、最後にやってくる

「湊斗、自分から切らないから。」 

「相手が切るの、待ってるの。」

とか、

本当に些細なことなんだけど、

なんでもない日常の一コマ、なんだけど、

別れを惜しむ二人の様子が細かすぎて、震える。

そして、それを切り取る監督の手腕。

 

自分のことをここまでわかってくれていた紬の言葉の余韻を、

湊斗が味わっているのがわかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに・・・・。

 

 

 

「寝起きでいきなり目、あった。びっくり。」

そういう紬に、湊斗は、

俺もびっくりした、って言うけど、きっと、同じ意味じゃない。

それがわかるのは、なに?って聞かれて、

青羽が横で寝てたから、って答える湊斗に、

「青羽?」って問い返す。

「あ、紬。」

って、嬉しそうに言い直す。

 

昨日の記憶はないの?って聞かれて、

俺じゃないと思ってた、ここにいるの。

って戸惑いを隠せない湊斗に

「戸川君、いつから私のこと、好きなの?」

って聞き返す紬のこの表情は、湊斗が与えたもの。

でも、湊斗は気づいてない。

 

それよりも

戸川君、という言い方に「戸川君はねえ・・。」と、

さっきの紬へのお返しをする。

 

 

 

「呼び方、何でもいいよ。」って答える湊斗に、

紬は、「ううん、大丈夫、がんばる。」と答える。

 

下の名前を呼ぶ、呼び捨てる、ことは

それだけでぐっと距離が近づく。

親密な関係のしるし。

 

想、との間ではたった1回しかできなかった。

むしろ、その時も「くんづけ」だったし、

想に言われて呼んだ名前。

 

屈託なく付き合う、男子同士のような遠慮のない関係ではなく、距離が少し、近づいただけ。

だから、今度こそ、もっと距離を近づけて‥‥。という、

ある意味、一般的な距離感のことだと思っていた。

 

 

でも、紬は1話で、

名前を呼びたくなる、ってずっと言ってた。

 

 

名前。

 

一般的には、名前、というのはフルネームを思い起こさせる。

 

でも、このこだわり方、から、

紬の「名前」という概念は、

下の、名前を指すことに気が付いた。

 

本当は、ずっと「佐倉くん」じゃなくて

「想」って呼びたかったことに、ここで気づかされた。

 

ずっと、想と仲良しのみんなが呼んでいたはずの

「想!」という呼び方。

呼ぶと、必ず笑顔で振り向いてくれる、下の名前。

それは、心の距離でもある。

 

湊斗はおそらく、それを知らない。

一般的な、親密さを表す呼び捨て、

くらいの感覚だったんじゃあ??

 

でも、紬の「がんばる」って言う言葉に

自分も「がんばる」って答える。

それは、自分じゃないと思ってたこの横にいるということをずっと続けるためのがんばり、でもあるはずだから。

 

そして、電話の最後に湊が言った「がんばって」

は、これから、想のことを

「想」って呼び捨てにできる時間が来るように頑張って、

と言ったのかもしれない。

 

湊斗自身が、ずっと

「ここにいるのは自分じゃないって思っちゃってたけど、

でも今はこうしてここに居るんだから、がんばろう」

って思って過ごした時間が紬に

「この3年間、ずっと、一番好きだった人だよ。」

という瞬間をくれたように

今度こそ、紬が「想」と呼べる時間を歩んでほしい、

という願いを込めて。

 

 

 

100均で買った、

でもパンダ好きの紬が絶対大切にしてたはずのヘアピン。

だって、初めてのお泊りでもここにある、ということは

常に持ち歩いてる、ってことだから。

「かわいい。」

って褒められて。

とても幸せだったはず。

 

 

もう、そんな時が戻らないことを、

 

食べきれないかも、と言ってたハンバーグを

「食べちゃおう、お腹減った。」

と言った紬と、

「お腹減った。」と立ち上がった湊斗のあとに映る、

このヘアピンが物語る。

 

 

 

 

想、との待ち合わせ場所に、

最初はポニーテールで行こうとした紬がそれをやめたのは、

もう、どんなことをしても戻らないことがわかってるから。

 

「大丈夫、もう、顔、見れるようになった。」

って言う紬、本当に強い。

 

二人が別れたの、俺のせいだと思って。

再会しなければよかったと思った。ごめん。

 

って、想は謝るけど、

 

でも、青羽が手話で話してくれることも、

湊斗たちとまたサッカーできたことも、うれしかった。

 

青羽と湊斗には悪いけど、

やっぱり、再会できてよかったと思う。

 

 

8年分の思ってたこと 今 伝えたいこと 

これからは全部言葉にしようと思ってる

 

 

 

青羽が俺のこと見てくれるなら ちゃんと言葉にしたい

 

と告げてくる。

 

わかった、

と答えてもらって、

二人の時間が動き出す。

 

ご飯を食べに行く店を、

想が見つける姿を嬉しそうに眺めている紬。 

 

何でもいい、って言ったけど、やっぱり、

ハンバーグ以外にして、って言い切る紬。 

 

 

 

 

今度こそ、新しい、幸せな時間が過ぎていきますように…。