レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々 -814ページ目

さらば青春

カーラジオから懐かしい曲が流れていた。

高校時代のクラブハウスでよく流れていた。

今とは時代が違うという事もあるけど、

僕の通った高校は、ざっくりとしたものだった。

よく言えばおおらか、悪く言えばいい加減。

一応制服はあったけど、クラブ活動をしている者は、

校内では終日ジャージを着ていた。

夏は、みんなこぞって、ビーサンか、つっかけみたいなものを履いていた。

恐らく、しっかり授業をきいている連中は数える程だったと思う。

ただ、誰も騒がなかった。自分の趣味に没頭しているか、寝ていた。

先生も、まあ好きにやんなさい、という感じ。

新任の先生が

「この学校の生徒は遊びやクラブの為に、わざわざ通っているのですか!信じられん」

と憤慨していたのを覚えている。

今、思い起こしても個性的な生徒が多く、爆笑するような事件も頻発していた。

新任の先生が、憤慨するのもちょっと頷ける。

そんな思い出と共に、その時代に出会った本や歌は、今も心に残っている。

今日、カーラジオから流れていた曲は、小椋佳「さらば青春」という曲。

これを聴くとなぜか、北杜夫作品を思い出す。

父は斎藤茂吉、兄は斉藤茂太。

最初に読んだ作品は「どくとるマンボウ航海記」だった。

この面白さにつられて「幽霊」を読んだ。

これがいけなかった。

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幽霊―或る幼年と青春の物語 (新潮文庫)/北 杜夫

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この2作品が同一人物の作品とは思えず、

「幽霊」という作品には得もいえぬ衝撃を受けた記憶がある。

別に幽霊がでてくる訳でもなく、おどろおどろしい事件が起こる訳でもない。

心の奥深くで眠っている陰鬱な部分を揺り起こされるようで、怖かった。

なぜそう感じたのかは分からない。

お気楽的生き方の高校坊主が手を出すような作品ではなかった。

結局、読破できなかった。

氏が躁鬱病と知ったのは、随分あとになってからだった。

その後も、北杜夫氏の多くの作品を読んだが

「幽霊」はまだ、読みきれずに書棚の奥にある。

今でも果たして読むことができるのだろうか?という不安がある。

反面、そんな自分への懐かしさもある。

人の心とは不思議なものだ。