春告鳥
ウグイスの鳴き声で目が覚めた。
一昔前までは、春になると自宅裏の森からウグイスの鳴き声がしたものだ。
その森も住宅地に形を変えて久しい。
一体、どこから聞こえてくるのか?
暫く耳を澄ませていたが、全然鳴かない。
僕は夢を見ていたのだろうか?
ところで、4/1は二男の入学式だった。
のぞきに行ってみようかとも思ったが、
例年通りだと、出席者は1万5千人程になるという。
それだけの人数が一つの駅を通過点として、大学を目指す訳だ。
考えただけでもゾッとする。
という事で、僕も家内も大人しく店で仕事をする事にした。
入学式は昼頃に終わり、昼食のあと、早速英語のテストを受けたらしい。
二男は、入学式だのテストだの、決まった時間、何らかの枠に放り込まれるのが大嫌い。
「社会には窮屈かつ退屈なこともあるのだよ」・・・とは言えない。
僕も少年時代から行事があると、何とか抜け出せないものかと、足掻いたものだ。・・・今に至る・・・
それは兎も角、入学式は意に反して退屈しなかったという。
なかなか、趣向を凝らしたものらしい。
ある新聞社は号外を発行している。
二男から、滞りなく入学式とテストの洗礼は終わったと連絡が入り、
「○△新聞の号外をもらった。今日の入学式の事が書いてあるで」と。
「ふむふむ」と、僕は言った。
「僕、インタビューされてんな」
「ほぅ、インタビュー?」
「そう」
「なんでまた」
「分からん。新聞社の人が、目の前に立っててんな」
「まあ、気を付けてお帰り」と、電話を切った。
僕は「4月1日だもんな」と呟きながらも、
一応ネットで、○□大学入学式と検索してみた。
すると、いきなり社会ニュース欄に○△新聞〈号外〉と出てきた。
それをクリックすると、号外の内容が書かれており、
次に、それを受け取った新一年生女子が紹介されていた。
彼女のコメントを読むと、さぞかし優秀なお嬢さんなのだろうと察せられる。
二人目の名前をみて、僕は口に含んでいた珈琲を吹き出しそうになった。
それは、紛れもなく二男の名前だった。
在住地も書いてあるので、間違いない。
そして、そこにはこじんまりとまとまった無難なコメントが載っていた。
多分、二男にそんな器用なコメントは出来ない。
そんな事ではない。本当に、入学式ごときで、新聞社は号外を作るのか。
いやいや、驚いた。
僕は、二男に電話を入れ、「あれは本当だったのかえ?」と言った。
「なんで?」と、素の二男。
「だって、今日は4月1日やで」
「あ、あ、あ、おとーさん、エイプリルフールなんて流行らんで」
「それもそうか。ネット、検索してみ。名前が出てるで」と、僕は笑いながら言った。
ちょうど、パソコンをさわっていたらしく、少し間があり
「うわっ、僕の名前が出てるやん。
えっ、僕、そんな事言うてないんやけどな。無難に変えるねんな新聞社って」と。
やはり、そうか。二男らしくないと思った。
それ以上に驚いたのは、入試倍率だ。
二男の大学は、ごく平均的なレベルの大学だが、競争率だけを聞くと臆してしまう。
二男は、指定校推薦という非常に生温い中で合格通知を受け取っている。
この先、その倍率をくぐり抜けて来た生徒さん達と、
肩を並べてやっていけるのだろうか?
親としては、いきなり心配の種が出来てしまった。
店は店で、工作室を作るべく、大工をしている知人に相談をしているが、結構面倒な工事になる。
知人からは知恵を借りるが、造作は自分でしたいのだ。
自分で出来そうな事には、とことん挑戦する。
それが成穂堂的生き方だ。
そんなこんなで、今、僕は希望と不安の入り交じった、春独特の匂いを感じている。
一昔前までは、春になると自宅裏の森からウグイスの鳴き声がしたものだ。
その森も住宅地に形を変えて久しい。
一体、どこから聞こえてくるのか?
暫く耳を澄ませていたが、全然鳴かない。
僕は夢を見ていたのだろうか?
ところで、4/1は二男の入学式だった。
のぞきに行ってみようかとも思ったが、
例年通りだと、出席者は1万5千人程になるという。
それだけの人数が一つの駅を通過点として、大学を目指す訳だ。
考えただけでもゾッとする。
という事で、僕も家内も大人しく店で仕事をする事にした。
入学式は昼頃に終わり、昼食のあと、早速英語のテストを受けたらしい。
二男は、入学式だのテストだの、決まった時間、何らかの枠に放り込まれるのが大嫌い。
「社会には窮屈かつ退屈なこともあるのだよ」・・・とは言えない。
僕も少年時代から行事があると、何とか抜け出せないものかと、足掻いたものだ。・・・今に至る・・・
それは兎も角、入学式は意に反して退屈しなかったという。
なかなか、趣向を凝らしたものらしい。
ある新聞社は号外を発行している。
二男から、滞りなく入学式とテストの洗礼は終わったと連絡が入り、
「○△新聞の号外をもらった。今日の入学式の事が書いてあるで」と。
「ふむふむ」と、僕は言った。
「僕、インタビューされてんな」
「ほぅ、インタビュー?」
「そう」
「なんでまた」
「分からん。新聞社の人が、目の前に立っててんな」
「まあ、気を付けてお帰り」と、電話を切った。
僕は「4月1日だもんな」と呟きながらも、
一応ネットで、○□大学入学式と検索してみた。
すると、いきなり社会ニュース欄に○△新聞〈号外〉と出てきた。
それをクリックすると、号外の内容が書かれており、
次に、それを受け取った新一年生女子が紹介されていた。
彼女のコメントを読むと、さぞかし優秀なお嬢さんなのだろうと察せられる。
二人目の名前をみて、僕は口に含んでいた珈琲を吹き出しそうになった。
それは、紛れもなく二男の名前だった。
在住地も書いてあるので、間違いない。
そして、そこにはこじんまりとまとまった無難なコメントが載っていた。
多分、二男にそんな器用なコメントは出来ない。
そんな事ではない。本当に、入学式ごときで、新聞社は号外を作るのか。
いやいや、驚いた。
僕は、二男に電話を入れ、「あれは本当だったのかえ?」と言った。
「なんで?」と、素の二男。
「だって、今日は4月1日やで」
「あ、あ、あ、おとーさん、エイプリルフールなんて流行らんで」
「それもそうか。ネット、検索してみ。名前が出てるで」と、僕は笑いながら言った。
ちょうど、パソコンをさわっていたらしく、少し間があり
「うわっ、僕の名前が出てるやん。
えっ、僕、そんな事言うてないんやけどな。無難に変えるねんな新聞社って」と。
やはり、そうか。二男らしくないと思った。
それ以上に驚いたのは、入試倍率だ。
二男の大学は、ごく平均的なレベルの大学だが、競争率だけを聞くと臆してしまう。
二男は、指定校推薦という非常に生温い中で合格通知を受け取っている。
この先、その倍率をくぐり抜けて来た生徒さん達と、
肩を並べてやっていけるのだろうか?
親としては、いきなり心配の種が出来てしまった。
店は店で、工作室を作るべく、大工をしている知人に相談をしているが、結構面倒な工事になる。
知人からは知恵を借りるが、造作は自分でしたいのだ。
自分で出来そうな事には、とことん挑戦する。
それが成穂堂的生き方だ。
そんなこんなで、今、僕は希望と不安の入り交じった、春独特の匂いを感じている。