レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々 -228ページ目

二男、修復に挑戦す!

思いの外、用事が早く片付いたので、二男とリユースショップに寄った。
 
このショップは結構な物量があり、時折、思わぬ品が出ていたりする。
 
ふらりふらりと吸い寄せられるように売り場のどん突きに行くと、何点か面白い品が見つかった。
 
その中で、一点だけ驚く程安価な花瓶があった。
 
パッと見、アンティーク品に見えるか・・・いや、見えんな。
 
高さ70㎝程のエンジェルモチーフの花瓶なのだが、エンジェルのつま先が欠けている。
 
 
 
 

 
 
取り敢えず購入するか、と考えている所に、思いもよらない姿を目にした。
 
誰もが素通りするような、古臭い置物がごちゃごちゃしている売り場を丹念に物色している人物。
 
間違いなく知人だ。
 
その人物は僕たちの気配を感じて顔を上げ、一瞬目を大きく見開いた。
 
少し間があり「なんと!」と驚いた。
 
「お宝物探しですか」と僕は笑った。
 
知人は「お久しぶりです。こんな所で会うなんてびっくりしました。
 
いや、一度入ってみたいと思っていたのですが、ちょうど仕事でこの近くに来たものでね。
 
なかなか面白い店ですね」と。

 
ここで、知人の仕事について少し触れねばなるまい。
 
知人の仕事は特異といえば特異なもので、アンティーク品の修復工房をなさっている。
 
それも、博物館から依頼が入るほどの技術の持ち主。
 
国内外から途切れることなく依頼がある。
 
兎に角、忙しい方だ。
 

知人が花瓶のエンジェルのつま先を指差して「あらら」と。
 
「そうなんです。なおるものでしょうか」と、二男が言った。
 
知人が「その花瓶を持って、うちの工房においでよ。修復を教えてあげるよ」と二男に言った。
 
二男は飛び上がらんばかりに喜んだ。
 
二男は前々から、アンティーク品の修復に興味を持っていたので、これはまたとないチャンスだ。
 
来週にでも、二男を伺わせますという約束を取りつけ、僕たちはリユースショップを後にした。

いやいや、面白い事になってきた。
 
大体、アンティーク品の修復師なんてそうそういないだろうし、その技術を外に出す事もない。
 
ほんの触りだが、それを二男は教われるのだ。
 
もう10年、いや20年若ければ、僕もその世界を垣間見たかっただろう。
 
子供達には、どんどん自分を試して欲しいと思う。
 
何をやっても無駄なんていう事はない。
 
急峻な坂道を直線で駆け上がろうとすると、ずるずると滑り落ちる。
 
スイッチバックのように上ってもいい訳だ。
 
そんな風に逞しく生きる知恵を身につけていって欲しい。