サイケデリック漂流記 -14ページ目

Auroraから8月発売予定のCD

Hammer
Hammer
Hammer

Hammerはサンフランシスコをベースに活動した5人組(リリースノートによると結成はNY)。Bill Grahamに気に入られ、彼のSan Franciscoレーベル(Atlantic傘下)から、唯一のアルバムである本作を1970年にリリースしています(プロデュースはMoby Grapeなどを手がけたDavid Rubinson。未発表に終わった幻の2ndがあるらしい)。

バンドの演奏はギターもキーボードもリズム隊もバカウマで、ボーカルを含めメジャー感あふれるもの。東西のFillmoreでFleetwood Mac, Procol Harum, Trafficなどの大物のオープニングを務めたというライブアクトは、主役を食うようなこともあったんじゃないかと想像されます。

楽曲のスタイルは、ハードロックからジャズ(フュージョン)ロック、AOR、プログレ、スワンプロックなど幅広く、アルバムは「才能がありすぎて方向性が定まらなかった」作品の典型みたいな感じになっています。

1. Something Easy
2. Hot & Cold
3. Tuane
4. You May Never Wake Up (Apologies to Auden & Frost)
5. Hangover Horns
6. Charity Taylor
7. Sad Song, Happy Song
8. Sweet Sunday Morning
9. Pains & Tears
10. Death To A King



Charlee
Charlee
Charlee

イタリア移民のカナダ人ギタリスト、Walter Rossi率いるパワートリオ、Charleeが1972年にカナダのRCA Victorからリリースした唯一のアルバム。こちらはわかりやすい、ジミヘン・フォロワーなヘヴィロック作品です。

同郷のMahogany RushのFrank Marinoは、このWalter Rossiから刺激を受けていたのではないかと思われます(ボーカルスタイルやエフェクトなどにも共通するものあり)。ちなみに、上のジャケはカナダ盤オリジナルLPのものです(1976年の別ジャケ米国盤LPあり)。

1. Wizzard
2. Lord Knows I've Won
3. Just You & Me
4. A Way To Die
5. Let's Keep Silent (Part 1)
6. Wheel Of Fortune
7. It Isn't The First Time
8. Let's Keep Silent (Part 2)






Moby Grape, Hot Tuna他のアーカイブライブ発売

Keyholeから、Moby Grape (10/22/1968)、Hot Tuna (7/3/1971)、Cold Blood (6/30/1971)、Iron Butterfly (7/4?/1967)、Mothers of Invention (8/3/1968)のアーカイブライブCDが発売されます(Hot Tunaのみ2枚組)。

Live at Stony Brook University Ny October 22nd
Moby Grape
Live at Stony Brook University Ny October 22nd

Live at the Fillmore West 3rd July 1971
Hot Tuna
Live at the Fillmore West 3rd July 1971

Live at the Fillmore West 30th June 1971
Cold Blood
Live at the Fillmore West 30th June 1971

Live at the Galaxy La July 1967
Iron Butterfly
Live at the Galaxy La July 1967

Wollman Rink Central Park Ny August 3rd 1968
Mothers of Invention
Wollman Rink Central Park Ny August 3rd 1968

Haystacks Balboa 再発

Haystacks Balboa
Haystacks Balboa
Haystacks Balboa

Haystacks Balboaは、ヘヴィサイケ・コンピの"Up All Night"に、"The Children of Heaven"が収録されていたNYの5人組。よく、Leslie Westの弟のLarry Westが在籍していたバンドと紹介されていますが、リーダーのMark Harrison Mayo (ギター)によると、Larryは結成前のセッションにベースプレーヤーとして参加し、アルバムに収録された数曲のソングライティングにかかわっているものの、バンドのメンバーとしては活動していない(レコーディングにも参加していない)、とのことです。

本作は1970年にPolydorからリリースされた唯一のアルバム(未発表の2ndあり)で、プロデュースはVanilla Fudgeなどの仕事で知られるShadow Morton。内容は、気持ち良く歪んだギターと、ジョン・ロード(ときにはキース・エマーソン)ばりの活躍をみせるハモンドオルガンをフィーチャーした、かっこいいヘヴィロック。プログレみたいな展開をみせる曲とか、アコースティックチューンとかが出てきて、アルバム作品としてのまとまりはイマイチな感じなんですが、そのあたりも含めて、マイナーハードロックファンには美味しい一枚となっています。

ちなみに、以前ガスマスクのジャケで再発(非正規)されていますが、今回のジャケットがオリジナルです。




Shadoksから8月発売予定のCD

La Onda Pesada Mexico 1971
Ernan Roch
La Onda Pesada Mexico 1971

オリジナルは激レア盤として知られる"La Onda Pesada"(1971)は、メキシコのErnan Rochによる唯一のアルバム。"Song of a Gypsy"のDamonを思わせるようなヘヴィサイケ風味のフォークロック(下の動画)で幕を開ける本作は、全編にちりばめられたファズギターを売り文句にされることが多いですが、むしろ印象的なのは、中盤に展開される繊細なメロウチューンだったりします。全編英語で歌われるナイーブ系のボーカル、ドノバンをもっとアーシーにしたみたいな、黒っぽい感じのサイケフォークロックチューンなんかも素晴らしい。

バッキングはエレキギター、ベース、ドラムが基本で、それに時折アコギや生ピアノが加わる程度の、風通しの良い音。この基本パートは、同郷のヘヴィサイケトリオのEl Amorが演奏しているらしい。売り物のファズギターを含むバンドサウンドはEl Amorによるもので、アコースティックな部分はErnanが弾いているのではないか?と想像されます。4曲のボーナストラックと12ページのブックレット付属。



Musiikkia Elokuvasta Julisteiden Liimaajat
Charlies
Musiikkia Elokuvasta Julisteiden Liimaajat

ヘヴィサイケファンには1970年のアルバム、"Buttocks"で知られるフィンランドのCharliesが、同年にアングラ映画(フィンランド映画史上最も客が入らなかった作品らしい)のサントラとしてごく少数リリースしたのが、この"Musiikkia Elokuvasta Julisteiden Liimaajat"。発表はこちらの方が先だったようで、本作が実質的なデビュー作となります。

このアルバムには、"Buttocks"(の変態さ)を特徴づけていたフルートやサックスが入ってなくて、現地語で歌われている曲があったり、ディストーションしてないペナペナなギターが目立ったりと、アルバムの印象はけっこう違います。でも、ExperienceやらCreamやらZepやらジャズロックやらが混じり合っていて、その根ざすルーツがよくわからないという、独特のグサグサ感は通底していて、約19分の(ドラムソロ入り)長尺ジャム曲"Sunshine Supergirl"など、ヒッピーサイケ~アンダーグラウンドサイケ感では本作の方が勝っています。6曲のボーナストラックと20ページのブックレット付属。






7月発売予定のCD

Winterland November 1968
Quicksilver Messenger Service
Winterland November 1968

これは以前、"Voodoo Perfume"や"Smokin' Sound"といったタイトルのブートレッグで出回っていたQuicksilver Messenger Serviceのアーカイブ・ライブ。これまでのリリース同様、今回もWinterland公演ということになっていますが、正しくは、1968年11月7日~10日にGrateful DeadやLinn Countyらとともに出演したFillmore West公演と思われます(そのときのFillmoreポスターはこちら)。FM放送用に録音されたようで、音質は良いです(Track 6は同年8月?のスタジオ録音)。

1. Mona (18:25)
2. Smokestack Lightning (15:01)
3. Who Do You Love? (27:07)
4. Susie Q (04:44)
5. I Get In Trouble (02:06)
6. Stand By Me (04:18) (Studio Recording for 45rpm)

Musicians:
Gary Duncan - guitar, vocals
John Cipollina - guitar
David Freiberg - bass, vocals
Greg Elmore - drums



Don't Call Me Mama Anymore Plus Rarities-Her Final Recordings
Cass Elliot
Don't Call Me Mama Anymore Plus Rarities-Her Final Recordings

今年はキャス・エリオットが亡くなってからちょうど40年(サンドイッチをのどに詰まらせたというのはデマで、死因は心筋梗塞)。これは遺作となった"Don't Call Me Mama Anymore"(1973)に未発表トラックを含むボーナス5曲を追加したコンピレーションです。

本編は、米CBSのTV番組のパイロット(試し録り)としてシカゴのナイトクラブで実況録音されたもので、グッドタイミーなキャバレーショーのような雰囲気の異色作。Margo Guryan, Roger Nichols, Paul McCartneyらの曲やブロードウェーミュージカルなどを伸び伸びと歌っています。

1. Introduction: Dream A Little Dream Of Me/Extraordinary
2. I Think A Lot About You
3. Audience Rap
4. Don't Call Me Mama Anymore
5. My Love
6. I'm Coming To The Best Part Of My Life
7. Torch Song Medley: I Came Here To Sing A Torch Song/I Gotta Right To Sing The Blues/I Got It Bad And That Ain't Good/Mean To Me/Why Was I Born/I Came Here To Sing A Torch Song (Reprise)
8. Audience Rap
9. The Night Before
10. I Like What I Like
11. I'll Be Seeing You
12. Closing: Don't Call Me Mama Anymore (Reprise)
Bonus Tracks:
13. Give A Little Laughter
14. Theme From L'Amour
15. Listen To The World
16. I Think A Lot About You (single version)
17. Medley: Make Your Own Kind Of Music/New World Coming/Dream A Little Dream Of



How To Stuff A Wild Bikini: Original Stereo Soundtrack
VA
How To Stuff A Wild Bikini: Original Stereo Soundtrack

こちらは、AIPの"Beach Party"シリーズの映画、"How to Stuff a Wild Bikini"(1965)のサウンドトラック。オリジナルはレア盤といわれるステレオバージョンでの初CD化です。映画にも出演しているKingsmenのほか、Annette Funicello, Mickey Rooneyらのパフォーマンスが収録されています。

1. How to Stuff a Wild Bikini (The Beach Gang)
2. What's What I Call a Healthy Girl (The Beach Gang)
3. If It's Gonna Happen (Lu Ann Simms)
4. How About Us (Mickey Rooney and the Beach Girls)
5. The Boy Door (Eric Von Zipper with the Ratz and Mice)
6. After the Party (The Beach Gang)
7. Better Be Ready (Annette Funicello)
8. Follow Your Leader (Eric Von Zipper with the Ratz and Mice)
9. The Perfect Boy (Annette Funicello)
10. Madison Avenue (Mickey Rooney, Brian Donlevy and the Ad Men)
11. Give Her Lovin' (The Kingsmen)
12. How to Stuff a Wild Bikini ? Reprise (The Kingsmen)

「カッコーの巣の上で」が新書判で発売

カッコーの巣の上で (白水Uブックス192/海外小説 永遠の本棚)
ケン・キージー
カッコーの巣の上で (白水Uブックス192/海外小説 永遠の本棚)

ケン・キージーの小説「カッコーの巣の上で」(1962)が、新書サイズの白水Uブックス(「海外小説 永遠の本棚」シリーズ)から7月に刊行されます。翻訳は新訳ではなく、岩元巌訳のままのようです。新書版になって少し手軽な価格になるかと思いきや、単行本並なのがちょっと残念。でも、文庫で出たとしたら上下2巻本になるだろうから、このくらいの値段は仕方ないかもしれません。

「サイケデリックの酋長」ことケン・キージーは、ビートジェネレーションとヒッピー(フラワー)ジェネレーションの橋渡しとなった作家。彼は50年代末に病院の夜勤看護助手として働いていたときに、政府(CIA)による軍事プロジェクトの一環として行われた、LSDなどの「サイケデリックドラッグ」を用いた人体実験プログラムに参加。そのときの経験が「カッコーの巣の上で」の執筆や、のちのサイケデリックな活動に大きな影響を与えます。

1964年には、メリー・プランクスターズと呼ばれたヒッピー集団を率いて、サイケにペイントされたスクールバス("Furthur"号)で大陸を横断する「マジック・トリップ」に出発。そのバスを運転していたのが、ジャック・ケルアックのビート小説「路上」(1957、「オン・ザ・ロード」のタイトルで新訳文庫が出ている)のディーン・モリアーティのモデルとなったニール・キャサディでした。これらの詳細は、その後の「アシッド・テスト」の開催やグレイトフル・デッドらとの交流、ドラッグ所持による逮捕、自殺したと見せかけてメキシコへ逃亡・・・などの破天荒なエピソードとともに、トム・ウルフの名著「クール・クールLSD交感テスト」に描かれています。

「カッコーの巣の上で」といえば、アカデミー賞を総なめにしたジャック・ニコルソン主演の映画(1975)も有名ですが、原作は、「いつわりの聾唖者」でネイティブアメリカンの「チーフ」による一人称で語られるところが、映画とは大きく異なっています。

The Seeds: Pushin' Too Hard

Pushin' Too Hard

所属レーベルであるGNP Crescendoによる、Seedsのドキュメンタリーフィルムの予告編がYouTubeにアップされています。Alec Palao制作、Neil Norman監督で、アメリカでは8月に劇場公開予定。レアな映像や未発表の貴重な写真などが多数使用されている模様です。プロデューサーのKim FowleyやStrawberry Alarm ClockのMark Weitz、LoveのJohnny Echols、故Sky Saxonの近親などのインタビューも収録されています。


Robbie Bashoの"Zarthus"再発

Zarthus
Robbie Basho
Zarthus

60年代は主にJohn FaheyのTakomaレーベルからレコードをリリースしていたRobbie Bashoが、1972年の"The Voice of the Eagle"に続いてVanguardから出したアルバム、"Zarthus"(1974)がCD再発されます(6月6日発売予定)。

Robbie BashoはタイプとしてはJohn Fahey, Davy Graham, Sandy Bull, Peter Walkerらと同系列のアーティストで、フィンガーピッキングによるアコギ一本のインストというのが(60年代の)基本スタイル。松尾芭蕉にちなんだ芸名(本名はDaniel R. Robinson Jr.)からも推測されるように、彼も東洋やネイティブアメリカンの音楽・哲学から大きな影響を受けていているんですが、前述の同系アーティストよりも、天然自然に備わったヒッピー~サイケ感覚が強いように思います。

そのサイケ感をいっそう高めているのが、70年代のVanguardからの2作を特徴づけていた彼の歌声。そう、この2枚ではRobbieは歌いまくっているんです。全曲歌入りだった前作とくらべると、"Zarthus"にはインストナンバーもありますが、そのかわり、ピアノの弾き語りが2曲入っているのが本作の最大の特徴。特に、LPでいうB面を占める約20分におよぶ組曲"Rhapsody in Druz"は、「ピアノの弾き語り」というイメージを超越した、壮大な「アシッド狂詩曲」をつむぎあげています。

Track Listing:
Zarthus
Khoda E Gul E Abe (The Lord Of The Blue Rose)
Mehera
Khalil Gibran
Bride Divine
Rhapsody In Druz (Main Theme / Wine Section / Flower Of The Heart / The Flight / Nightingale / Darshan / Ocean Section / Allah Meher / Ships / Baba's Mountain / Look Into Your Heart / March / Rolling Home)






Iron Butterflyの初期ライブ発売

Live at the Galaxy 1967
Iron Butterfly
Live at the Galaxy 1967 (アナログLPはこちら

Iron Butterflyがまだ"In-A-Gadda-Da-Vida"のヒットを飛ばす前の1967年、デビュー作の"Heavy"を録音したときの初期メンバーによる、LAのGalaxy Club公演を収録したライブアルバムがリリースされます(Cleopatraから5月27日発売予定)。

この音源はライブアーカイブやブートレッグでは以前から知られていたものですが、レアなトラックや、のちに3rdの"Ball"(1969)に収録される"Real Fright"と"Filled with Fear"の初期バージョンなど、聴きどころの多いファン必携アイテムとなっています。

1. Real Fright
2. Possession
3. Filled With Fear
4. Fields Of Sun
5. It's Up To You
6. Gloomy Day To Remember
7. Evil Temptation
8. So-Lo
9. Gentle As It My Seem
10. Lonely Boy
11. Iron Butterfly Theme
12. You Can't Win

Musicians:
Darryl DeLoach - Vocals
Danny Weis - Guitar
Jerry Penrod - Bass
Doug Ingle - Keyboards, Vocals
Ron Bushy - Drums



Elevators 伝説のライブが完全盤で発売

Live Evolution Lost
13th Floor Elevators
Live Evolution Lost (アナログLPはこちら

13th Floor Elevatorsが1967年2月18日にHouston Music Theatreで繰り広げた伝説のギグを初めて完全収録したライブアルバムが、英Charlyからリリースされます(CDは2枚組で6月17日、LPは3枚組で7月8日発売予定)。

以前は"(Live at) La Maison 1967"と誤ったタイトルで、ブートレッグやCollectablesのコンピなどで流布していたこのライブ音源。公式には2009年の10枚組ボックスでJamパートを含んだダイジェストバージョン(ディスク10の前半)がリリースされていますが、今回、満を持してそのコンプリート盤の登場です。

Disc 1:
1. (I've Got) Levitation (03:31)
2. Rolle Coaster (05:34)
3. Fire Engine (03:31)
4. Reverberation (Doubt) (04:06)
5. Don't Fall Down (03:38)
6. Tried To Hide (04:13)
7. Splash 1 (04:32)
8. You're Gonna Miss Me (04:27)
9. Monkey Island (03:47)
10. Kingdom Of Heaven (04:17)
11. She Lives (In A Time Of Her Own) (03:26)

Disc 2:
1. Jam Intro (01:22)
2. Jam 1 - Roll Over Blue Suede Blues Jam (07:08)
3. Jam 2 - Backwards Evolution Jam (04:47)
4. Jam 3 - Ed's Esoteric Jazz Jam (11:20)
5. Jam 4 - (It's All Over Now) Baby Blue Jam (06:42)
6. Jam 5 - She Lives Jam (05:28)
7. Jam 6 - Hamburgers & Acid (04:14)