Love, Peace & Poetry Vol.9

Various Artists
Love Peace and Poetry: Turkish Psychedelic Music
独QDK Mediaの60~70sサイケコンピシリーズ、"Love, Peace & Poetry"の第9弾が出ていました(2005年11月)。今回は待望のトルコ編で、Erkin KorayとかUc Hurelとか大好きなので、これも絶対ハマるだろうなと期待大です。
このシリーズ、ジャケはなんだかイージーリスニングのコンピみたいですが、内容はハイレベルで、選曲なんかも通好みっぽい感じです。これまで「1.アメリカ編」「2.ラテンアメリカ編」「3.アジア編」「4.日本編」「5.英国編」「6.ブラジル編」「7.メキシコ編」「8.アフリカ編」と出ていますが、どれもハズレなしで、私にとって安心して買えるブランドとなっています。
Live MCMXCIII DVD発売

Velvet Redux: Live Mcmxciii
Velvet Undergroundのオリジナルメンバー(Lou Reed, John Cale, Sterling Morrison, Moe Tucker)による1993年のリユニオン・ヨーロッパツアーの模様を収めたDVD(海外盤)が、明日(1月24日)発売されます。
この1993年の公演は直後にCD2枚組のライブ盤とビデオが出ていますが、DVD(本編)の内容は以前に出ていたVHSと同じものと思われます。VUの(正規版の)DVDというのはほとんど出てないと思うので、これを機に、英国のテレビ・ドキュメンタリーで、日本でのみVHS(とレーザーディスク)化された"Curious - The Velvet Underground Live in Euprope"(*1)や、60sの"Factory"時代の映像とかも、どんどんDVD化してほしいものです。
トラックリスト等は、発売元のRhinoのページで。
(追記: 日本盤DVDが発売されました。)

"Curious"(日本版)より。1993年のライブの映像。

The Velvet Underground
Live MCMXCIII [2CD]
ちなみに、VU関係者では、Lou Reed, John Cale, Nicoと、その後ソロで活動をしていますが、(特に日本で)John Caleのことが話題になることが少ないように思うのは私だけでしょうか・・・。70年代前半の作品群はサイケデリック的にも興味深いものなので、機会があれば御一聴を。下はIsland時代の名作"Fear"(1974), "Slow Dazzle"(1975), "Helen of Troy"(1975)の三作にボーナストラックを加えた2枚組コンピレーションです。

John Cale
The Island Years
*1
1993年のライブ映像自体は少なく、リハーサルの模様と"All tomorrows Parties"の演奏くらい。あとは4人のメンバーのインタビューと過去(60年代)映像などで構成されていますが、ルーの"Heroin"の弾き語りや、チェコのハベル大統領との交流(1968年の「プラハの春」の頃、若きハベルがアメリカから密かに持ち込んだVUのWhite Light/White Heatが、のちの民主化のきっかけ・象徴となる)など、なかなか充実した内容のドキュメンタリーです。
MFSL盤Mr. Tambourine Man発売

Byrds
Mr Tambourine Man (Hybr)
バーズの「タンバリンマン」ですが、MFSL(Mobile Fidelity Sound Lab)から、1965年のモノマスターを使用した、オリジナル・モノラル・バージョンのCDが2月7日に発売されます。(ハイブリッドSACD仕様で、通常のプレーヤーでも再生可能。) ボーナストラックも6曲収録されています。
私はバーズのCDは、前半を中心に半ダースくらいのタイトルは、最初期のバージョンのものと、リマスタ+ボーナストラック入りのバージョンと2種類ダブって持ってるのですが、これもまた買ってしまいそうです・・・。
以下はトラックリスト
Original 1965 Mono mixes
1. Mr. Tambourine Man
2. I'll Feel A Whole Lot Better
3. Spanish Harlem Incident
4. You Won't Have To Cry
5. Here Without You
6. The Bells of Rhymney
7. All I Really Want To Do
8. I Knew I'd Want You
9. It's No Use
10. Don't Doubt Yourself, Babe
11. Chimes of Freedom
12. We'll Meet Again
Bonus Tracks - Stereo (1996 remixes)
13. She Has A Way
14. I'll Feel A Whole Lot Better (alternate version)
15. It's No Use (alternate version)
16. You Won't Have To Cry (alternate version)
17. All I really Want To Do (single version)
18. You and Me (instrumental)
ちなみにSundazedからは、こちらもモノマスター使用のモノラル・アナログ盤が1月24日に発売されます。リリースタイトルは1stから"Notorious Byrd Brothers"までの5枚。
Chet Helms Tribal Stomp

昨年の6月25日に亡くなったチェット・ヘルムズ(過去記事はこちら)の追悼フリーコンサート(Chet Helms Tribal Stomp)が、去る10月30日にシスコのゴールデンゲート・パークで開催されましたが、その時の音源(オーディエンス録音。CD5枚組)を入手しました。ひととおり聴くのに三日くらいかかってしまいましたが・・・。
この音源はネットからダウンロードすることが出来ますが、Live Music Archive(archive.org)からのGrateful Deadの音源削除騒動などもあり、これらのネット上でのライブ音源の交換はかなりグレーな雰囲気になってきているので、詳細は控えます。
音楽ビジネスがデジタル・ダウンロードにシフトしつつある現状では仕方がないことかもしれませんが、デッドからジャムバンド系へと受け継がれてきたライブ録音のシェアというのは、60年代的な精神が息づくひとつの文化だっただけに、その本家のデッド側がお金のためにその文化を壊してしまうというのは哀しすぎる話です。ただ、昨年末からずっとダウン状態で、ここも(圧力がかかって)閉鎖されたのか?と思われていたGD Liveは、幸いなことに復活していました。
さて、追悼コンサートですが、午前9時からのオープニングセレモニーに続いて、午前10時から午後6時までの8時間にわたって、約20組のアーティストによる演奏が繰り広げられました。以下、主な出演者と演奏曲です。
Jeff Blackburn
"Stranger in a Strange Land"で有名な60sデュオ、Blackburn & SnowのJeff Blackburn。残念ながら、この音源には未収録。
Charlatans
Dan Hicks, George Hunter, Mike Wilhelm, Richie Olsenらによるリユニオン。"Alabama Bound"などを演奏。年取ってもやっぱりカッコイイ(上の写真)。Dan HicksはCharlatansの前にHot Licksとしても登場。
Country Joe & Friends
Woodstockを思わせる"F-U-C-K Cheer"や"I Feel Like I'm Fixin' to Die Rag"を披露。
Sons of the Highway
Sons of Champlinの変名ユニット。69年の"Sons"収録の"It's Time"等を演奏。
Blue Cheer
Dickie Peterson, Leigh Stephensら。もちろんトリは"Summertime Blues"。
Paul Kantner & Friends
"Friends"はDavid Freiberg, Pete Sears, Vince Welnickなど。女性ボーカル(不明)入。Jefferson Airplaneの役で、Volunteers > Other Side of This Life > White Rabbit > Get Together > Who Do You Love? > Somebody to Love > Volunteers というお馴染みの曲のメドレーで盛り上がる。
Jerry Miller
Moby Grapeの人。Mobyの"Hey Grandma"などを演奏。
David & Linda LaFlamme, etc.
It's a Beautiful Dayです。
必殺の、Hot Summer Day > Don & Dewey > White Bird
Quicksilver Gold
Quicksilver Messenger Serviceの変名。
これも定番の、Fresh Air > Pride of Man > Get Together > Dino's Song
Canned Heat
"On the Road Again", "Goin' Up the Country", "Let's Work Together"など。
Squid B. Viscous
Carlos Santanaの弟のJorge Santana(ex Malo)、Frumious Bandersnatch~Steve Miller BandのDavid Denny(ギター)、Sly & Family StoneのGreg Errico(ドラム)、その他クレジットでは、Canned Heatにも在籍し、
その他、Ramblin' Jack Elliot、Barry Melton、Nick Gravenites、Lydia Pense(Cold Blood)、最後に登場してジミヘン・メドレーで締めくくったNarada Michael Waldenなど、錚々たる顔ぶれでした。
でも、なにか足りないな・・・と思ったら、Grateful Dead関係のメンバー/曲がひとつもなかったのでした。このようなシスコのイベントにデッド関係者が参加していないのはやはり寂しい気がします。
なお、このコンサートを収めたDVDが4月にリリースされるとのことです。オフィシャルサイトはこちら。
こちらにもフォトギャラリーがあります。
Association, We Fiveの3タイトル再発
Collectors' ChoiceからAssociationとWe Fiveの3作品がCDリイシューされました。(amazon.co.jpでの発売は5~6月頃。)

Association
& Then Along Comes the Association
数年前に同レーベルからAssociationのCDが再発された際には、なぜかこの記念すべきデビュー作("And THEN...ALONG Comes The Association"、1966)がカタログに入っていなかったのですが、今回、もうひとつ漏れていた"Goodbye, Columbus"(映画サントラ、1969)とともにCD化されました。

Association
Goodbye Columbus
1stは日本でCD化されていましたが、長らく廃盤状態だったので、リイシューを待っておられた方も多いのではないかと思います。ただし、今回の再発盤には日本盤に収められていたボーナストラック(アルバム未収録曲を含むシングル5曲)は収録されていないようです。ともかく、カート・ベッチャーのプロデュースによる本作は、ソフトサイケファン必聴の名作ですね。
ちなみに、日本盤は「世界初CD化」と謳われて1999年に出されましたが、実はそれより10年くらい前にWarnerの"2 on 1"シリーズで、"Songs That Made Them Famous"と題されて、1stと3rdがカップリングされたCDが出ています。いまではかなりレア・アイテムではないかと思いますが・・・。

We Five
Catch the Wind
これは1970年にVaultレーベルから出たWe Fiveの4作目。1~2枚目のアルバム(CDでは2on1)で歌っていたBeverly Bivensはいなくて、かわりにメンバーのJerry Burganの奥さんのDebbie Burganがボーカルとしてクレジットされています。We Fiveの過去記事はこちら。

Association
& Then Along Comes the Association
数年前に同レーベルからAssociationのCDが再発された際には、なぜかこの記念すべきデビュー作("And THEN...ALONG Comes The Association"、1966)がカタログに入っていなかったのですが、今回、もうひとつ漏れていた"Goodbye, Columbus"(映画サントラ、1969)とともにCD化されました。

Association
Goodbye Columbus
1stは日本でCD化されていましたが、長らく廃盤状態だったので、リイシューを待っておられた方も多いのではないかと思います。ただし、今回の再発盤には日本盤に収められていたボーナストラック(アルバム未収録曲を含むシングル5曲)は収録されていないようです。ともかく、カート・ベッチャーのプロデュースによる本作は、ソフトサイケファン必聴の名作ですね。
ちなみに、日本盤は「世界初CD化」と謳われて1999年に出されましたが、実はそれより10年くらい前にWarnerの"2 on 1"シリーズで、"Songs That Made Them Famous"と題されて、1stと3rdがカップリングされたCDが出ています。いまではかなりレア・アイテムではないかと思いますが・・・。

We Five
Catch the Wind
これは1970年にVaultレーベルから出たWe Fiveの4作目。1~2枚目のアルバム(CDでは2on1)で歌っていたBeverly Bivensはいなくて、かわりにメンバーのJerry Burganの奥さんのDebbie Burganがボーカルとしてクレジットされています。We Fiveの過去記事はこちら。
リイシューCD雑記 その5

Peanut Butter Conspiracy
Spreading From the Ashes
これは去年の春ごろに英国Big Beatから新たにリリースされたコンピレーションです。Peanut Butter Conspiracy(以下PBC )関連の1965年から67年までの初期音源から、レアな未発表曲、デモ、ライブ等がたっぷり収められています。(全26曲中19曲がPreviously Unissuedで、全長約72分。)
なかでも、PBCの前身であるThe Ashes(故Spencer DrydenがJefferson Airplane参加前に一時在籍)のテイクが7曲収められていて、そのうちの2曲は1965年にThe Young Swingers名義で出されたシングルからのものです。Ashes/PBCのレア音源といえば、"West Coast Love-In"(1967)というコンピレーション(たぶん未CD化)が有名ですが、それに収録されていた8曲のうち7曲が、今回のコンピで聴くことができます。
Ashes名義の曲は(音質は万全とはいえませんが)ドリーミーでピュア&イノセントなフォークロックで、どれも素晴らしい。PBCで再録("Is Spreading"に収録)された"Dark On You Now"などはテンポもゆっくりで、まったりとした素朴な美しさが、PBCとはまた一味違う魅力を伝えてくれます。
初期音源が中心ということで、(PBCのイメージの)Mamas & PapasプラスJefferson Airplaneというより、初期Byrds的原初フォークロック色が勝っているような印象ですが、やはりこのバンド(特にBarbara "Sandi" Robisonのボーカル!)は良いです。ジャケ同様やや地味なイメージですが、好きな者には堪らない内容のコンピになってます。ただし、PBCが未聴なら、1stと2ndをカップリングしたCDの方をお先にどうぞ。関連記事はこちら。

Vashti Bunyan
Lookaftering
こちらはリイシューではなくて、なんと、"Just Another Diamond Day"(1970)から35年ぶりの新譜が昨年10月にリリースされました。Vashti Bunyanに関しては、厳密にはサイケデリックではないだろうし、検索で多くの記事が読めるので詳細は省きますが、サイケファンでLinda PerhacsとかJudee Sill(そういえば彼女のCDも再発されてたみたいですが)とかが好きな方は、きっとハマると思います。
新作はどんな風に変わってるのかと期待半分・不安半分でしたが、必要最小限のバッキングに浮世離れした囁くような歌、ほとんどまったくといっていいほど35年前の名作のイメージと変わらぬ「ヴァシュティ・ワールド」が展開されていました。さすがに声の艶には若干の衰えがみられるものの、前作のマザーグース的な牧歌性みたいな要素が、より成熟したジプシー的な宇宙観・宗教観に昇華したような感じで、「アシッドフォーク感」はむしろ高くなっているようにも思います。
とにかく、どちらの作品も俗世間から遠く離れたような音世界で、日常の暮らしで見失っていたような、純粋さ・不思議さ・自然への畏怖といったヴィジョン/イメージを取り戻させてくれます。フラワー度高し!

Vashti Bunyan
Just Another Diamond Day
あと、ヘヴィサイケや南米サイケ関係のリイシューCDもありましたが、それらは近く予定している特集で触れることにします。
リイシューCD雑記 その3
今回は、わりと最近ドイツのShadoksからCDが出たunreleased物で、昨年末に聴いたばかりの新譜を二題。(いずれも、amazon.co.jpでの発売は今月30日の予定です。)

Time
Before There Was... Time
T.I.M.E. (Trust In Men Everywhere)とは別のグループ。Think Dog(未聴)の前身だそうです。1968年にカナダのトロントで録音されたものの、当時アルバムは発表されませんでした。アナログ盤LPは少し前(2004年?)にリリースされていたものがCD化されました。
メンバーのLynn David NewtonはSpoils of WarのJim Cuomoとイリノイ時代にクラスメートだったとか。その関係からか、電子楽器を使ったミニマル・ループみたいな実験的な曲も見受けられます。また、Red Crayolaを思わせるようなフリークアウトしたアバンギャルド・トラッドみたいな曲もあります。しかし、それらの実験的な要素は決してメインイベントではなくて、あくまでもバックアップ。アルバムの主流は、メロディアスでメランコリックでちょっと東洋がかったダウナー系のアシッドフォーク/トラッド曲(その手の英国サイケからの影響も見られる)という印象です。
ということで、アバンギャルド/フリークアウト系が好きな人はしだいに盛り下がり、ダウナー脱力まったり系が好きな人(私です)は盛り上がってくるという感じです。確かに、実験的な音の装飾/コラージュとメロディアスでわかりやすいサイケさが同居しているという意味では、Spoils Of WarやUnited States Of America, Fifty Foot Hoseといったバンドと共通項があるので、これらのバンドが好きな方は要チェックでしょう。(女性ボーカルこそ入ってませんが、曲・演奏・作品ともに高レベル。)

Born Again
Pagan
混同しそうですが、Born Againというのがバンド名でPagan(Born Again Pagan)というのがアルバムタイトル。69~70年の未発音源によるRockadelicからのアナログ盤(2002年発売)にボーナストラック7曲を追加してCD化されました。
基本はブルースを基調にしたヘヴィサイケですが、それだけにとどまらず、アコースティックなサイケチューンからアシッド感の高いインストナンバーまで、幅広い表現力を備えた豊かな才能を秘めたバンドだったことが窺えます(出身はカリフォルニアのマリン・カウンティ)。ボーカルとギター、そして曲そのものに艶と色気みたいなのがあって、メジャー級の風格が感じられます。特に、ポール・コゾフを上手くしたみたいなLarry Otisの表情豊かなギターワークが素晴らしい。

Time
Before There Was... Time
T.I.M.E. (Trust In Men Everywhere)とは別のグループ。Think Dog(未聴)の前身だそうです。1968年にカナダのトロントで録音されたものの、当時アルバムは発表されませんでした。アナログ盤LPは少し前(2004年?)にリリースされていたものがCD化されました。
メンバーのLynn David NewtonはSpoils of WarのJim Cuomoとイリノイ時代にクラスメートだったとか。その関係からか、電子楽器を使ったミニマル・ループみたいな実験的な曲も見受けられます。また、Red Crayolaを思わせるようなフリークアウトしたアバンギャルド・トラッドみたいな曲もあります。しかし、それらの実験的な要素は決してメインイベントではなくて、あくまでもバックアップ。アルバムの主流は、メロディアスでメランコリックでちょっと東洋がかったダウナー系のアシッドフォーク/トラッド曲(その手の英国サイケからの影響も見られる)という印象です。
ということで、アバンギャルド/フリークアウト系が好きな人はしだいに盛り下がり、ダウナー脱力まったり系が好きな人(私です)は盛り上がってくるという感じです。確かに、実験的な音の装飾/コラージュとメロディアスでわかりやすいサイケさが同居しているという意味では、Spoils Of WarやUnited States Of America, Fifty Foot Hoseといったバンドと共通項があるので、これらのバンドが好きな方は要チェックでしょう。(女性ボーカルこそ入ってませんが、曲・演奏・作品ともに高レベル。)

Born Again
Pagan
混同しそうですが、Born Againというのがバンド名でPagan(Born Again Pagan)というのがアルバムタイトル。69~70年の未発音源によるRockadelicからのアナログ盤(2002年発売)にボーナストラック7曲を追加してCD化されました。
基本はブルースを基調にしたヘヴィサイケですが、それだけにとどまらず、アコースティックなサイケチューンからアシッド感の高いインストナンバーまで、幅広い表現力を備えた豊かな才能を秘めたバンドだったことが窺えます(出身はカリフォルニアのマリン・カウンティ)。ボーカルとギター、そして曲そのものに艶と色気みたいなのがあって、メジャー級の風格が感じられます。特に、ポール・コゾフを上手くしたみたいなLarry Otisの表情豊かなギターワークが素晴らしい。
リイシューCD雑記 その2

Sweetwater
Sweetwater
男女・白黒混合の7~8人編成という大所帯のバンド。「Sweetwater?、どっかで聞いたことあるな・・・」とお思いの方もおられるかもしれません。彼らはWoodstockの初日、スケジュールでは一番最初に出演する予定だったのが、会場に着くのが遅れて、Richie Havensに続いて二番目に登場したという逸話のあるバンドです。
しかし、ウッドストックの映画にもサントラ("Woodstock Two"や"25th Anniversary Box"も含む)にもまったく収録されなかったり、69年末にリードボーカルのナンシーがひき逃げ事故に遭って重傷を負い、バンド活動が中断したりで、ロック史に名をとどめるものの、近年まで多くの人はその実体を知らなかったという、中途半端な存在に甘んじてきた不運なグループです。
それが、ウッドストック30周年の1999年に、"Sweetwater: True Rock Story"というフィルムがケーブルテレビ(VH1)の番組として制作され、突然この伝説のバンドに注目が集まることになりました。(未見ですが、「なぜWoodstockに出演したこのバンドが地上から消えてしまったのか?」をテーマにしたドラマ仕立てのドキュメンタリーだそうです。VHS化されています。)

Sweetwater: True Rock Story
番組の放映に続いて、Rhino Handmadeから数量限定盤の"Cycles: The Reprise Collection"というコンピCDも発売されました。これは3枚のオリジナルアルバムからの抜粋と、未発表曲、そして目玉として69年のウッドストックのライブ(10分強の"What's Wrong")が収められています。(このCDは現在Amazonのマーケットプレイスで¥14,932という恐ろしい値段がつけられていますが、おそらく他では聴けないこのWoodstock音源によるものでしょう。)
そして、リユニオン(再結成は1997年?)による公演のライブCD("Live at Last")も発売されました(2002年)。ところが、なぜかオリジナルアルバムはなかなかCD化されず、その間アナログ盤LPの値段が高騰したそうです。
というわけで、2005年にようやくCollectors' Choiceから、1969~1971年までの3枚のオリジナルアルバムのCDがリリースされた、という次第です。
バンドの出身はLAのサンフェルナンド・バレーですが、音はシスコサイケからの影響が色濃く見受けられます。トラッド、ジャズ、クラシック、ラテン、R&B、ポップスなど、さまざまなスタイルや、いろいろなバンドからの影響が渾然としているのですが、雰囲気だけでなくて、「あ、JAだ」とか「あ、It's a Beautiful Dayだ」とか、ほかにも5th DimensionやらDoorsやらHolding Companyやらを思わせる「どこかで聞いたことある」フレーズやアレンジがポンポン飛び出してくるところが面白い。
1stに関して言えば、ほんと「Jefferson AirplaneとIt's a Beautiful Dayを混ぜて5th Dimensionで割ったみたい」な感じです。あと、バイオリンではなくてチェロプレーヤーがいて、エレピ(ハープシコード)にフルートやチェロがからむバッキングが個性的です。カルメン・マキもカバーしてた先頭の
AMGの評では「曲も演奏もどう考えても平均的」みたいな悪口が書かれていますが、そんなことはない、少なくともこのデビュー作に関しては、60s好きならいろいろ楽しめる魅力が詰まった好盤だと思います。まあ、確かにフラワーな女性ボーカルが入ってるというだけで点が甘くなりがちですが・・・。
2ndの"Just for You"(1970)になると、ラテン色・R&B(スワンプ)色が強まり、5th Dimension風サンシャインポップ的な要素が弱まって、ますますシスコサウンドっぽくなります。「フィルモア最後の日」のサントラかMoby Grapeの"Wow"に挿入しても違和感がないような感じ。しかし、曲や演奏や作品の魅力は1stに比べると劣るような印象です。ラストナンバーの"Look Out"で、Trafficの"Heaven Is in Your Mind"そっくりなフレーズが出てきたりするところは相変わらずですが・・・。ちなみに3rdの"Melon"(1971)は"Cycles"収録の数曲以外は未聴なので評は控えます。
オフィシャルサイトはこちら↓
http://sweetwaterband.com/

Sweetwater
Just for You

Sweetwater
Melon

Sweetwater
Live at Last
こちらから全作試聴できます。
リイシューCD雑記 その1
昨年発売されたサイケ関係のリイシュー物で、(自分が聴いたもの限定ですが)いくつか紹介していなかったものがありました。ほんとは年末に載せるつもりだったのですが、都合で年を越してしまいました・・・。

The Creation of Sunlight
The Creation of Sunlight
これは最近ショップで「驚愕の世界初CD化!」などと謳われて、あちこちで絶賛されているようですが、実は以前(1997年)に一度CD化されています。これは正規盤ではない(?)ようなので、正確に言うと"The first official remastered CD reissue"ということでしょうか。
また、このバンドはSunlights Seven → Sunlight → Creation of Sunlightと名を変えたのですが、今回の再発で、英国のEl Records盤(ボーナストラックなし)ではCreation of Sunlight名義なのに、カナダのLion Production盤(ボーナストラック2曲入)では、Sunlight名義になってるようです。(ちなみにFuzz, Acid and FlowersではSunlightというバンド名でのエントリーはありません。)
いずれにせよ、内容は折り紙つきで、LAサンシャインポップ~ソフトサイケのファンはマストな一枚(1968年作)です。よく言及されるようにStrawberry Alarm Clockからの影響が窺えますが、ハモンド+管楽器のグルーヴが英国のモッズ~ジャズロックサウンドを連想させるような部分もあります。いつまでも耳に残るようなフックに富んだ楽曲の良さ、そして、ジャジーなハモンドオルガンにフルートやファズギターが絡むアレンジ、洗練されすぎない、ややイナタい感じのボーカルワークも素晴らしい。

Fun and Games
Elephant Candy
こちらのFun and Gamesも1968年に一作("Elephant Candy")のみを残したサンシャインポップ~ソフトサイケグループ(出身はテキサス)。このバンド/アルバムはソフトロック関係では昔から有名のようで、「ソフトロックAtoZ」の巻頭グラビアでも取り上げられています。ちなみに、こちらも過去に非正規盤(?)のCDが出たことがあるみたいです。プロデュースはYellow Balloonを手がけたGary Zekleyで、オリジナルアルバム収録の11曲中7曲のソングライティングも彼の手によるものです。
アルバム先頭の曲やタイトルトラックが、強烈なチープオルガンやファズの効いたコテコテのバブルガムポップ(個人的には好物)だったりするのですが、全体的にはYellow Balloonの晴れ渡った青空のような爽快感はあまりなく、ダウナー系のメランコリックな曲調が目立ちます。その特徴をよくあらわしているのがBeach Boysのカバーの"Don't Worry Baby"で、弾けそうで弾けないところが面白い。そのへんの個性が出た3曲目~7曲目あたりのしっとりとした流れが素晴らしい。
また、コーラスワークなんかが、まんまAssociationな曲があったりして、いろいろ楽しませてくれます。それにしても、さすがはゲイリー、どの曲もクオリティが高くて、安心して聴いていられます。ゲイリーはこのアルバム制作のあと、これまたバブルガムポップの名盤として有名なClique(R.E.M.がカバーした "Superman"はCliqueがオリジナル)を手がけることになるのですが、Yellow Balloon, Fun and Games, Cliqueと、それぞれかなり色合いが異なっていて個性的なので、三者を聴き比べてみるのも面白いのではないかと思います。

The Yellow Balloon
The Yellow Balloon

The Clique
The Clique

The Creation of Sunlight
The Creation of Sunlight
これは最近ショップで「驚愕の世界初CD化!」などと謳われて、あちこちで絶賛されているようですが、実は以前(1997年)に一度CD化されています。これは正規盤ではない(?)ようなので、正確に言うと"The first official remastered CD reissue"ということでしょうか。
また、このバンドはSunlights Seven → Sunlight → Creation of Sunlightと名を変えたのですが、今回の再発で、英国のEl Records盤(ボーナストラックなし)ではCreation of Sunlight名義なのに、カナダのLion Production盤(ボーナストラック2曲入)では、Sunlight名義になってるようです。(ちなみにFuzz, Acid and FlowersではSunlightというバンド名でのエントリーはありません。)
いずれにせよ、内容は折り紙つきで、LAサンシャインポップ~ソフトサイケのファンはマストな一枚(1968年作)です。よく言及されるようにStrawberry Alarm Clockからの影響が窺えますが、ハモンド+管楽器のグルーヴが英国のモッズ~ジャズロックサウンドを連想させるような部分もあります。いつまでも耳に残るようなフックに富んだ楽曲の良さ、そして、ジャジーなハモンドオルガンにフルートやファズギターが絡むアレンジ、洗練されすぎない、ややイナタい感じのボーカルワークも素晴らしい。

Fun and Games
Elephant Candy
こちらのFun and Gamesも1968年に一作("Elephant Candy")のみを残したサンシャインポップ~ソフトサイケグループ(出身はテキサス)。このバンド/アルバムはソフトロック関係では昔から有名のようで、「ソフトロックAtoZ」の巻頭グラビアでも取り上げられています。ちなみに、こちらも過去に非正規盤(?)のCDが出たことがあるみたいです。プロデュースはYellow Balloonを手がけたGary Zekleyで、オリジナルアルバム収録の11曲中7曲のソングライティングも彼の手によるものです。
アルバム先頭の曲やタイトルトラックが、強烈なチープオルガンやファズの効いたコテコテのバブルガムポップ(個人的には好物)だったりするのですが、全体的にはYellow Balloonの晴れ渡った青空のような爽快感はあまりなく、ダウナー系のメランコリックな曲調が目立ちます。その特徴をよくあらわしているのがBeach Boysのカバーの"Don't Worry Baby"で、弾けそうで弾けないところが面白い。そのへんの個性が出た3曲目~7曲目あたりのしっとりとした流れが素晴らしい。
また、コーラスワークなんかが、まんまAssociationな曲があったりして、いろいろ楽しませてくれます。それにしても、さすがはゲイリー、どの曲もクオリティが高くて、安心して聴いていられます。ゲイリーはこのアルバム制作のあと、これまたバブルガムポップの名盤として有名なClique(

The Yellow Balloon
The Yellow Balloon

The Clique
The Clique