6.おむつ交換(実践編)


実際のおむつ交換の方法。医療や介護の世界にプロがあまた存在し、もっと合理的なやり方をしているし、医療や介護の学校では別の方法を教えているとは思うが、ここには私のやり方を記す。使用するおむつは、4.おむつ交換(材料編)に紹介したものを使う。まず、部屋の環境を整える。夏期は換気を良くする。冬期は部屋の温度を薄着でも寒くない程度にまで上げる。在来工法の古い住宅に住んでいる場合は、開放式の石油ファンヒーターを用意しておくといい。常用する場合には換気が必要で、やや問題のある暖房器具だが、一気に部屋の温度を上げたい場合には有効で値段も安い。他に用意するものは新聞紙、おむつを包んで廃棄するのに使う。暇な時に1枚ずつたたんでおく。テッシュペーパー、おしり拭き、これは予備的に使うだけなので、質はどうでも良い。100円ショップにある100枚100円の大きくて安いものが良い。使い捨ての介護用手袋、これは重要。私はダイソーのLサイズ100枚630円のものを使っている。それと、微温湯を入れた霧吹き。私は、350mlのペットボトルにダイソーで売られているペットボトル用の霧吹きを取り付け、暖めた「お茶」を入れて使っている。まだ必要なものがある。おむつ専用のゴミ箱は用意した方がいい。おむつは可燃ゴミなので袋に合ったサイズの、蓋付足踏み式のゴミ箱をトイレの近くなどに設置する。さていよいよ実践。まず、微温湯を作る。私は冷蔵庫の中にお茶を2Lほど作り置きしている。これは水分補給で飲ませるためにも使うが、お茶には消臭作用や殺菌作用もあるので、おむつ交換の際の清浄水としても使える。200ml程度をマグカップに入れて電子レンジ30秒。人肌程度に暖めてペットボトル霧吹きに移す。この際、100円ショップにある安いジョウゴなども用意しておくと簡単。で、これまで紹介したものを持ってベットサイド行く。まず、ベットの高さを介護者の腰の位置くらいまでに上げる。こうすると介護者が体を前屈して作業せずに済むので、腰に負担がかからない。布団やベットサイドレールを外す。毛布は足元にたたむ程度で良いが、布団やレールは完全に外した方が作業がし易い。介護用手袋をして、ベットサイドに新聞紙を広げる。パジャマのズボンをおろし、外側おむつのテープを外す、この時点で大量の排泄物があることが察知できたら、ペットシーツを敷く。外側おむつの交換も予想される状態ならば、外側おむつの外側に。内側のフラットタイプおむつのみの交換で済みそうな場合は、ペットシーツを外側おむつの内側に敷く。敷き方はおむつと同じ。介護マニュアルに書かれているように、介護者の反対側になる部分を3分の1程度たたみ、要介護者の体を介護者の反対側に向くように横寝にさせ、ペットシーツのたたんだ側を体の下に滑り込ませるように敷く。今度は逆に要介護者の体を介護者の側に向くよう横寝に変え、ペットシーツのたたんだ部分を広げ、要介護者の体を上向き戻す。おむつの交換も同様だ。汚れたおむつの外側に同様の方法で敷き、敷き終わったら汚れたおむつを抜き取れば良い。実際の清拭方法は、まず大きな汚れを内側おむつの汚れていない部分で拭く。それで吹ききれないほど汚れている場合は、前出のようにペットシーツが敷かれていると思うので、内側おむつでの拭き取りが限界になったら汚れた部分を内側に丸め。要介護者の体を横にして、内側おむつを抜き取り、新聞紙の上に置く。外側おむつも汚れているような状態の時は、さらに外側おむつの汚れていない部分を利用して清拭する。おむつは清拭性能が良いので、ティッシュペーパーやお尻拭きなどよりずっと早く綺麗になる。外側にペットシーツが敷かれていれば、おむつの縁を動かしても安心。布団や毛布どころか防水シーツを汚す心配もない。必要に応じてペットボトル霧吹きのお茶を陰部にふりかけ、ペットシーツで拭いても良い。これならティッシュペーパーやお尻拭きは補助的に使う程度で済む。拭き方は上から下が基本。まず普通に足を開いた状態で拭き、次に体を横にして拭く。綺麗になったら、新しいおむつを、先程のペットシーツの敷き方同様に、介護者の反対側になる部分を3分の1程度たたみ、要介護者の体を介護者の反対側に向くように横寝にさせ、おむつをたたんだ側を体の下に滑り込ませるように敷く。次は逆に要介護者の体を介護者の側に向くよう横寝に変え、たたんだ部分を広げ、要介護者の体を上向き戻す。この繰り返しだ。さて、綺麗になったおむつを閉じる前にワンポイント。私は日に一度、ここで陰部にヘアドライヤーをあてている。やりすぎは禁物だが、日に一度程度、乾燥させるだけで、おむつカブレは出来ない。皮膚が赤くなり始めていた場合は、乾燥させた後、ワセリンやカブレ用の薬を塗っておけば数日で全快する。おむつを閉じてパジャマを履かせる。パジャマを着させる場合も、おむつ交換同様、要介護者の体を横転させながら行なうと簡単にできる。汚物はトイレに流し、おむつは新聞紙に包んで専用のゴミ箱に捨てる。その他も現状復帰させ、最後に自分の手を洗っておしまいだ。

5.おむつ交換(材料編)


介護初心者最大の難関、おむつ交換。元来、便は排泄行為以外に生物が他者を忌避したり自らの縄張りを示す行為として進化してきた。嫌悪を感じるのは当然。また、排泄中は生物的に最も防護力のない状態でもあることから、防護された場所で隠れてするのが基本。本能に反する作業なのだからストレスがあるのはあたりまえ。生理的にダメなものはどうしようもないが、作業を合理化することで少しは負担を軽減できる。まず、おむつの選び方。選ぶ基準は、少ない交換回数で、漏れや蒸れがないこと。真面目な医療施設では2時間に1回もおむつを交換するらしいが、在宅介護でそれをしたら費用はともかく介護者が倒れてしまう。そこで、寝たきりの介護を前提とした我家のやりかたを書く。交換は朝、昼、夕、夜、の1日4回。間隔は5~8時間。これは介護マニュアルからすると不合格だが、漏れもなければカブれもない。お尻は赤ちゃんのようにいつも綺麗。使っているおむつは、外側が「リフレ簡単テープ止めタイプ横モレ防止M30枚」。1枚あたり100円程度する高級品だが、週に2回程度しか交換しないので経済的な問題はない。おむつカバー的な目的で使っているので、吸収量よりも「通気性と使いまわしの耐久性」で選んでいる。締め付けずに漏れ防止ができるギャザーが良い。内側は「リフレフラットタイプNEWシート30枚」。尿とりパッドよりも大きいので8時間以上放置しても、外側のおむつが濡れることがない。構造が簡単なため安価で入手可能。1枚20~25円。尿とりパッドよりやや安い。ただしこれは毎回交換となる。いわゆるテープ留めタイプとフラットタイプの組み合わせ。いずれも医療機関や介護施設で採用されているおむつで業務用が大箱で通販されていたりもする。それに「アイリスオーヤマ クリーンペットシーツ」。ペットシーツは片辺60cm程度あれば何でも良い。ホームセンターなどで1枚10円程度で入手可能だ。これは排泄量が多い時のみ補助的に使用する。詳しい方法は(実践編)を参照。


リフレ 簡単テープ止めタイプ 横モレ防止 Mサイズ 30枚
http://www.livedo.jp/omutsu/tape.shtml#item1

リフレ フラットタイプNEWシート 30枚
http://www.livedo.jp/omutsu/flat.shtml#item1

クリーンペットシーツ コンパクト ワイドサイズ 
http://www.irisplaza.co.jp/Index.asp?KB=SHOSAI&SID=P314724F

4.介護ベット


実際に在宅介護を始めるためには、まず介護ベットが必須になる。介護保険を利用し、自己負担1割でレンタルできるので、ケアマネと相談し、最寄の介護用品レンタル店とレンタル契約を結ぶ。私はパラマウントベットの楽匠Sというベットを月額自己負担900円で借りている。被介護者が食事をする際などに、上半身を起こす必要が生じる。介護ベットは電動でそれが可能。また、ベットの高さも電動で変更可能だ。オムツ交換や体位変換などをする際、ベットが低いと介護者の腰にたいへんな負担がかかる。介護者の腰の高さより高く設定すると作業がとても楽になる。また、要介護者を車椅子に乗せかえる場合には、膝高まで下げたほうが楽にできる。手動で上半身を起こすベットもあるが、あまりケチらず、電動を選んだほうが良い。転落防止のためベットサイドレールは取り付けたほうが良い。作業をする際に外したりするのは面倒だが、安全には代えられない。レンタル料は月額100円程度。次に布団。敷布団は不要。寝たきり最大の敵は「褥創(床ずれ)」だ。その対策として「電動エアマット」を強く勧める。介護用品レンタル店でレンタル可能で、私は月額700円で借りられる製品を利用している。電動エアマットはマットレスの中に電動で空気を送り込み、さらにマットレスの硬さを部分によって常時変動可能にしている優れものだ。体にかかる圧力も部分によって常に変動することになり、尾てい骨など圧力のかかりやすい部分への圧力も分散し、褥創が出来にくくなる。もちろん万能ではない。エアマットは強度が足りないと事故に繋がる。実は私の使用しているメーカーのエアマットもマット内の空気室の壁が一気に裂け、マットが突然ボール状になり、要介護者がベットから転落する事故を起こしている。現在は対策が講じられているが、選ぶときは介護用品レンタル店と相談し、評価の定まったものにした方が良いかも知れない。「電動エアマット」は要介護者の体重を設定後、あとは常時運用状態で使用することになる。それ自体が敷布団になるので、エアマットに敷布団カバーを付ければそれで良い。敷布団カバーはボックスタイプ(ボックスシーツ)を選ぶと取替えが楽でよい。洗濯が発生するので最低2枚は用意する。冬期は肌触りの暖かいもの、夏期はさわやかなもの、エアマットの効果に影響が出るので、あまり厚手のものは選ばないこと。下半身部分には防水シーツを敷く。モリトの防水シーツは価格がやや高いが、エアマット効果を損なわない厚さ、運用中シワにならない硬さ、洗濯乾燥のしやすさからお勧め。両面つかえるタイプもあるが、汚れた面を敷布団カバーに密着して運用することに抵抗があるので、片面タイプを使用している。長方形の防水シーツを横向きに敷き、サイドをエアマットの下に折り込んで運用する。毛布は何でも良い。電気毛布を使用する場合は掛毛布に薄手の毛布カバーを掛けて使用する。汚れたらカバーを洗濯する。敷毛布タイプはエアマット効果を損なうので使わない。布団は軽いものを選んだ方が介護者が楽だ。お金のある方は羽毛布団でも良いが、介護という性質上、汚してしまうことが多いので、私はホームセンターで一番安く売られている掛布団を使っている。その手の布団は大概片手でベットから外れせるほど軽量。価格は防水シーツと同じ3000円程度か。汚れが激しく目立ってきたら廃棄交換しても良い。


パラマウントベット 楽匠S
http://product.paramount.co.jp/ja/homecare/list.php/210014
パラマウントベット ベッドサイドレール
http://product.paramount.co.jp/ja/homecare/list.php/220009
ケープ エアマスターネクサス
http://www.cape.co.jp/medical/product26.html

モリト 防水シーツ
http://www.morito.co.jp/is-fit/kenko/nursing-care/ORJ-07295.html

3.要介護度


要介護認定の結果、要介護度が要支援1~2、要介護1~5のいずれかの判定が下される。要介護度によって介護保険の支給限度額が変わってくる。詳細は下記のリンクを参照。私の家族の場合は、要介護4で月額306,000円が支給限度額。介護保険で利用している介護サービスは、ベットのレンタル月額9000円、エアマットレンタル月額7000円、訪問入浴月額40000円、デイサービス月額40000円、ケアマネジャー報酬月額13000円など。合わせて10万円程度。要介護1でも賄える額だ。私の場合、家族で出来ることが多いので、この程度で済むが、ホームヘルパーを依頼したりするととたんに支出が増える。1割は自己負担になるので、いたずらにサービスを増やせばよいというものでもない。尚、要介護度は年に1回の更新認定がある。また、急に身体状況が変わった場合は、再申請をすることも可能。審査基準はそのときどきの政治情勢で若干の変動があるようだ。


要介護度について
http://www.city.toda.saitama.jp/9/8716.html

要介護度区分(標準地域)支給限度額
http://www.densetu.or.jp/member/kaigo/kubun.html

介護保険のしくみ
http://www.densetu.or.jp/member/kaigo/index.html

2.ケアマネジャー


介護支援専門員(ケアマネジャー)。略してケアマネ。要介護者にどのような介護サービスを施すかを家族と相談し、介護プランを作成したり、介護全般に関わる相談や事務手続きを公的な資格をもって代行してくれる人。社会福祉協議会や病院関連の居宅介護支援事業所、介護福祉施設に所属していることが多いので、最寄の組織に問い合わせて、担当してくれるケアマネジャーを紹介してもらう。もちろん、知人にケアマネジャーがいたり、主治医が紹介してくれたりしたら、それに従うのが良いだろう。どこに聞いたら良いのかも判らない場合は、要介護申請をした市町村の窓口に行けば、居宅介護支援事業所のリストをくれる。市町村職員は立場上、どこの施設が良いとか悪いかなどは言わないのが常識。だからリストを見て電話をするしかない。ケアマネジャーは軽自動車で動き回っている人が多いが、可能であれば自宅に近い場所にある居宅介護支援事業所のケアマネを選んだ方が行き来が楽。また、ケアマネジャーは担当可能な要介護者の数が決められているので、思うように選べないこともあるかも知れないが、決まらないというケースはまずない。担当が決まると居宅介護支援事業所と「介護支援契約」を結ぶことになる。医療同様、介護の現場は状況によって問題が発生する場合が稀にある。何をお願いするにしても様々な条件が書かれた「契約書」を取り交わして行なうことになる。決まったケアマネジャーがどうしても気に入らない場合は、別の人に変更することも可能。他人のプライバシーのド真ん中に入る仕事だから、いろいろシビアなケースもあるだろうが、依頼する側もケアマネージャーと良好な関係が保てるよう心がけた方が幸せに過ごせるのではないかと思われる。


介護支援専門員 Wikipadia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E6%94%AF%E6%8F%B4%E5%B0%82%E9%96%80%E5%93%A1

1.要介護申請


家族に在宅介護が必要になったら最初にすべきこと、それは「要介護認定申請」。2000年に施行された介護保険法により、ほとんどの日本人は公的あるいは民間の介護保険に加入している。最寄の市町村役所の介護保険課に行き、「要介護認定申請」をする。それほど難しい書類ではないが、主治医が必要になる。入院した病院の医師や、かかりつけの医院の医師に「要介護認定申請」する旨を相談し、医師意見書を書いてもらうことを了承してもらい、その医師の名と所属医療機関名とその住所を「申請書」の当該部分に記入する。意見書そのものは市町村の介護保険課が当該医師に作成を依頼する。さて、「申請書」を提出すると、早速「訪問調査」の日取りを決めねばならない。市町村の介護保険課の職員が実際に要介護者のところに訪れ、認定調査を行なう。時間は概ね1時間以内で済む。後は認定を待つだけだ。公的な認定審査会の判定を経て、およそ1ヶ月程度で審査結果が届く。冒頭で要介護申請を最初に行なうこと、と書いたが、ここまで説明してきたことが何が何やらさっぱり判らない人の場合は、要介護申請をする前にケアマネージャーを探し、指示を仰いだ方が得策だ。ケアマネージャーについては次項。


介護保険 wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E4%BF%9D%E9%99%BA
要介護認定 wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%81%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E8%AA%8D%E5%AE%9A