2022年2月20日追記:本記事の更新版のエントリーを書きましたので、是非そちらもご覧ください。

 

前回前々回の記事を書くに伴い、学部教育についても調べてみました。残念ながらランキングのまとめサイト等は見当たらなかったため、いくつかの大学のウェブサイトを直接、見てみただけですが、結論としては既に述べた通り、学部教育はどちらかと言えば後回しになっているようです。ビジネススクールではスローンがビジネス・アナリティクスの専攻・副専攻を用意していますが、これがアメリカの代表的サンプルかと言えばそんなことはなさそう(というかスローンって学部もあったんですね。ウォートンには学部がある、という話と比べるとあまり知られていない気も…)。他にも、元々ビジネススクールで学部教育を提供している州立大学等で、いくつか副専攻のプログラムが見つかりました。もともと経営情報システムを専攻している人なら、いくつか単位を追加するだけで割りとスムーズに取れそうな感じ(一部には主専攻もあり)

 

また、非ビジネススクールでも、統計学科等でデータサイエンス副専攻を提供している大学が見られました(こちらも、一部には主専攻もあり)。他にもデータサイエンスの研究所等を持っている大学はありましたが、前回出てきた滋賀大学のように、「データサイエンス学部」を作ってしまったという大学は見当たりませんでした。

 

いずれにせよ、元々他分野の勉強をしてきた学生を大学院で鍛えなおす、というのが基本的な方向性なようです。もちろん、そもそも日本には統計学科に類するものがあまりがない等、アメリカとは違った事情があるわけですが。

 

今回の内容はこれだけですが、言葉の面で少し補足を。アメリカでは「アナリティクス」は割と良く聞く言葉です。「データサイエンス」よりはるかに良く聞く。日本でも「Googleアナリティクス」でお馴染みですが、まさにあんなイメージ。IBMやアクセンチュア等のコンサルのサービスラインも「アナリティクス」と言っていますね(カタカナだと言いにくいので、何かいい言葉があればいいのですが)。

 

もちろん、それと「ビジネス・アナリティクス修士課程」で何をやっているのか、というのはまた違う話なわけですが。

 

(注)業界用語的には「ビジネス・インテリジェンス過去のデータ、業績測定等に重点)」の発展形が「ビジネス・アナリティクス将来予測、施策の策定・評価等に重点」なのだそうです。

 

一方、「データサイエンティスト」の「サイエンティスト」と言えば、文字通り白衣を着て試験管を振っているような研究者のこと(英語圏の企業では、そもそも普通に「チーフ・サイエンティスト」等のポジション名はある)。現場でバリバリ分析をするというよりも、一歩離れたところから研究成果に基づいた知見を述べたり、現場から持ち込まれてくる課題を解決したり、といったイメージです。私の中では。ですので、データ関係でバリバリR&Dをするような一部のテック企業(Googleとか)を除き、普通の事業会社でそんなにたくさん「データサイエンティスト」を雇っている、という感覚はありません。

 

他には、もちろんバリバリとシステムの実装をする「エンジニア」はあります。あと「データサイエンス」を専攻したからと言って、当然ながらみんながみんな「データサイエンティスト」になるわけではありません(と、思います)。例えば「コンピュータサイエンス(計算機科学)」専攻の修了者の多くが実際には「エンジニア」や「アナリスト」の仕事をしているのと同じです。

 

ちなみに、本物の「データサイエンティスト」に必要とされるスキルセットのまとめはこちら。これまでさんざん知ったようなことを書いてきてしまったわけですが、頭がいい人は本当に羨ましいですね…。

 

http://tjo.hatenablog.com/entry/2017/06/25/185426