2020年3月22日追記:本記事の更新版のエントリーを書きましたので、是非そちらもご覧ください。

 

最近流行りのビッグデータ系。爆発的に増えるとされた需要を当て込んだのか(有名なHBRの記事https://hbr.org/2012/10/data-scientist-the-sexiest-job-of-the-21st-centuryを参照)、アメリカでも特にここ23年ほどで、専門職学位のプログラムがいっぱい増えました。修士課程が多いですが、学部の専攻・副専攻を用意している大学もあるようです。他にも従来型の統計学の修士取得者や、数物系のPhDも参入してきてますね(本来そっちが主役という話も…)。

 

この手の専門職学位は、実に様々な分野の学部・大学院(計算機科学、ビジネス、図書館情報学…)が出しています。学習内容は統計学、機械学習、データベース、プログラミング等。ビジネス系のプログラムであれば関連領域(ファイナンス、マーケティング等)も勉強することになります。これらのスキルを漏れなくまとめて習得できる学習環境というのはこれまでなかったので、新しい職種が勃興してくるに伴い、大学側でも新しい課程を用意するというのはとても筋が通ったことなのではないかと思います(目論見どおりに大成功!となるかどうかは別の話なわけですが…)。

 

そこで今回は、まずビジネス系の大学院のプログラムについて調べてみました。ビジネス系の場合、「データサイエンス専攻」ではなく「ビジネス・アナリティクス専攻」と呼ぶことが多いようです。

 

主にビジネス系の大学院が提供している「ビジネス・アナリティクス」専門職修士のリストはこちら。最初にわーっと広告が出てきますが、読み飛ばしていくと後ろの方に学校のランキングが載っています。

 

http://www.mastersindatascience.org/schools/top-masters-in-analytics/

 

ビジネススクールの場合、MBAの専攻(Concentration)で勉強する場合と、別枠の専門プログラム(Master of Science)でやる場合があります。上記の記事にも「MBAの場合、専攻があったとしても意思決定者向けなことが多いから、テクニカルなことをしたければ別枠のプログラムの方に行け」的なことが書いてありますね。フルタイムでMSに行く場合、2年はかからないことが多いようです。

 

ランキングを見ると、トップはスローン、2位はカーネギー・メロン(Tepper又はHeinz College)。後者はITプロフェッショナル等に向けたオンライン・プログラムもあり。シカゴ大学とコロンビア大学(4位、5位)はビジネススクールでなくSchool of Professional Studies(日本で言うと…、学位は出してないと思いますが、慶應の丸の内シティ・キャンパス?)の提供。各校特徴があって、技術的なレベルも様々なようです(スローンは流石に一見ゴツそうですが、中には理系以外の学生も募集対象とする等、そうでもなさそうな学校も)。

 

日本のビジネススクールですと、筑波大学ではそれっぽい勉強ができるらしいです(トップページからはもうリンクされてませんが、www.gssm.otsuka.tsukuba.ac.jp/about/project.html)。アメリカのビジネススクールの場合、もともと経営情報システムや定量分析、オペレーション等の領域に力を入れている大学も多いのですが、日本だと筑波ぐらいなのかな?あとは、滋賀大学がデータサイエンス学部を作ったというので話題になりましたが、ビジネススクール以外のプログラムを取り上げる時に見ていければと思います。

 

まあ、この手のプログラムは結局、アメリカで就職したい外国人だらけになっているケースも多いと思います(こうしたプログラムは、例えビジネススクールで提供されるものであっても理系(STEM)とされ、卒業後のアメリカでの就労に有利、というのも大きいと思います。詳細はこちら)。非ビジネス系の修士課程に行ってる外国人の知り合いは、その課程から地元の有力テック企業への就職ルートができているらしく、そこを目指してすごく頑張ってます。私自身の勝手な思い込みとしては、ビジネス系のプログラムだと技術的には若干弱いことが多くて、バリバリのテック系というよりは現場でコンサルやってるようなイメージなわけですが、実際、どうなんでしょう?

 
2017年10月15日追記:本エントリーの落穂拾いとして、具体的な学生の構成、就職状況等を調べたエントリーを書きましたので、是非そちらもご覧ください。