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USのテック系ニュースサイトの創設者が解説する好まれる記事の形態

Techmeme(テックミーム)というIT系のニュースを掲載するサイトをご存知でしょうか。USでテック系のPRに携わっている方が頻繁にチェックするニュースのアグリゲーションサイトと言われています。このTechmemeは、USの様々なIT系の有力ニュースサイトが掲載したニュースの中から注目すべきニュースを選りすぐって掲載しているサイトで、Google Newsのように自動的に拾ってきた注目すべきニュースを、さらに編集部の人間が判断して最終的にTechmemeで掲載するニュースのキュレーションを行っています。

先日、Techmemeで掲載するニュースを選択する基準に関して、Techmemeの創設者であるGabe Rivera がニュースサイトのパブリッシャー向けに解説する記事が掲載されていましたのでご紹介したいと思います。その中でTechmemeでの掲載を得るために「すべきことと、すべきでないこと」について書かれていました。ニュースサイトのパブリッシャー向けに書かれたものですが、USのIT系のメディアでどんな形態の記事が好まれているか把握するヒントになると思います。

まず、すべきことに関しては、

・ 大きなストーリーを発表する。
・ 大きなストーリーは途中経過でも、誰よりも早く報道、要約する。
・ プレスリリースネタやノンエクスクルーシブ(非独占的)なニュースネタを受けた場合は、それらが意味するポイントや何が重要で何が魅力的なのか明確な考察と批判的思考に基づいて書く。
・ 記事のヘッドラインを明確にして、全ての重要な要素(固有名詞、数字、日付など)を含むようにする。
・ 記事のコンテクストを明確にするために、他のニュースサイトの記事であっても惜しみなくリンクを張ったり、情報の出典を引用する。
・ 人々が頭の中で考えていても、なかなか口にだしていないようなことを記事に書く。
・ AppleやGoogleのエグゼクティブが、他のエグゼクティブとシェアするようなストーリーを書く。
・ 業界のカクテルパーティーで話をするようなネタを書く。
・ テックの評論家がリンクせざるを得ないような分析記事を書く。ソートリーダーとなる。
・ 最も伝えたいことを記事の最初の段階で述べる。読者は読む価値があるかどうかを早く判断したい。
・ 関連する画像、動画、数字を含める。

次に、すべきでないことに関しては、

・ 不可解なヘッドラインを書く。ヘッドラインから重要な詳細を省く。
・ 重要なストーリーを記事の後半に書く。
・ ストーリーを有料コンテンツにする。
・ 参照したり、出典として使った他のニュースサイトへのリンクを省く。
・ 事実情報が急速に進展していてもストーリーをアップデートしない。
・ 他よりも10%ほど思慮深い記事を書いて、他のニュースサイトよりも8時間遅く記事を投稿する。
・ 他より少しでも早く粗末な記事を書く。
・ 完全に古いニュースや、すでに読者がよく理解しているネタを、知的にかつ徹底的に書く。
・ 重要なポイントを明確にしないで難解な記事を書く。
・ 事実情報の間違い、スペルの間違い、文法の間違い


これらのポイントは、自分の仕事でもぜひ活かしていきたいと思います。

ちなみに、Techmemeでは、同サイトで頻繁に取り上げるニュースサイトの情報源をランキング形式で紹介するTechmeme Leaderboardというリストを公開しています。USでどのテックメディアが有力か判断する一つの指標としても使えるのでご参照ください。


IT企業のPR





PRを再定義する取り組み

アメリカのPR協会であるPublic Relations Society of America(PRSA)が、現代にふさわしいPR(パブリック・リレーションズ)の再定義を行うために、ウェブサイト上でPRの定義を12月2日まで一般募集しています。The New York Timesの記事によると、PRSAが正式にPRを定義したのは1982年で、それ以来2003年と2007年にPRの再定義に取り組もうとしたそうですが、うやむやに終わってしまって、結局1982年に定義されたものが現在でもそのままになっているとのことでした。

1982年にPRSAが定義したものは、「Public relations helps an organization and its publics adapt mutually to each other.」。訳すと「パブリック・リレーションズは、組織とそのパブリックが相互に適応することを支援する。」となり、正直に言ってパブリック・リレーションズとは何なのか分かりにくい定義になっています。その他にも様々な組織や団体がPRの定義をしていますが、PRとは何なのかというコンセンサスがとれていないのが現状です。

私もPR会社に勤める身として、自分がやっている仕事を友人などに説明するときがありますが、大抵長い説明を必要とし、どのように伝えたら相手に分かりやすく伝わるか、毎回試行錯誤しています。とても皮肉なことですよね。日本ではPR=広告、宣伝というような意味合いが一般的に浸透しているため、それはあくまでも一つの手段にしかすぎないことを説明したり、パブリック・リレーションズという言葉どおり、パブリックとの関係を構築していくコミュニケーション活動であることを様々な角度から説明したりする必要があります。

参考に現時点での日本語のウィキペディアでパブリックリレーションズの定義を見ると、「パブリック・リレーションズ(Public Relations、略称:PR)とは、個人ないし国家や企業その他の組織体で、持続的または、長期的な基礎に立って、自身に対して公的な信頼と理解を獲得しようとする活動のこと」、「パブリック・リレーションズは、各種団体、機関の相互理解に資することによって多元的社会が意思決定を行い、より効果的に機能することに貢献するもの」、「パブリック・リレーションズとは、組織体とその存続を左右するパブリックとの間に、相互に利益をもたらす関係性を構築し、維持をするマネジメント機能である。」など様々な見方があります。PRの本家本元であるアメリカでさえ、PRの定義が明確に定まっていない状況ですので、日本でも様々な見方が生じるのは当然だと思います。

今回、PRSAが取り組んでいるPRの再定義は、PRに携わるプロフェッショナルを始めとして、学者、メディアなど様々な人々からの定義をクラウドソーシング形式で一般募集し、それらの定義の中で最も多く使われる言葉や表現を活用して、12月6日までに3つの定義を草案することになっています。そして、投票を行うことによって最終的に最もふさわしい1つの定義を決定し、12月後半に発表されるとのことです。PRとは何かを説明するのがより明確になればいいですね。


企業広報で考慮しなければいけない4つのメディア領域

私が現在勤めているEdelman社では、企業がこれからの広報で考慮しなければいけないメディアの領域として4つの領域を定義しています。

1つ目が、トラディショナルメディア(Traditional Media)。これは従来から企業の広報が最もフォーカスしているマスメディアです。新聞、雑誌、テレビなどを指します。

2つ目が、「トラデジタル」メディア("Tradigital" Media)です。聞いたことのない言葉だと思いますが、「トラデジタル」とは、「トラディショナル」と「デジタル」を組み合わせた造語で、いわゆる従来のマスメディアが展開しているオンラインメディアや、IT関連やガジェットなど特定のニッチなテーマに基づいた影響力のあるオンラインメディアなどのことを指します。

3つ目が、オウンドメディア(Owned Media)。つまり自社で所有するウェブサイトやモバイルアプリ、ブログなど、自社が編集者となってコンテンツをコントロールできるメディアです。何度かこのブログで紹介しているブランドジャーナリズムの領域です。ちなみにモバイルアプリについては、最近のニュースによると、世界のトップ100ブランドの9割がモバイルアプリを提供しているとのこと。

4つ目が、ソーシャルメディア(Social Media)。いうまでもなく、FacebookやTwitter、YouTube, LinkedInなどです。

図であらわすと以下のようになります。

IT企業のPR


これらの4つの領域はお互いに影響し合っていて、広報活動を展開する際に常にこの4つの領域を考慮する必要があります。例えば、オウンドメディアで自社が発信したコンテンツが、トラデジタルメディアで取り上げられることによって、ソーシャルメディアに拡がり、そのソーシャルメディアでの拡がりに気づいたトラディショナルメディアがニュースとしてとりあげるというような流れもあります。または、トラディショナルメディアで大きくとりあげられたニュースが、トラデジタルメディアやソーシャルメディアに拡がっていく流れもあります。

それぞれの領域で適切にコンテンツを配置して他の領域に働きかけることによって、一つの領域だけだったら限られていた拡散が、これらの4つの領域が相互に作用することによって、これまでにない規模で情報を拡げることができます。

従来の広報では、マスメディアにもっていくネタを最優先していたと思いますが、場合によっては、先にソーシャルメディアにもっていってから最終的にマスメディアを狙うとか、コンテンツ次第でどの領域からコミュニケーションを開始したほうがいいのかということを判断しながらやっていく必要があります。