2024年4月29日(mon)

 


食堂SS本店が、本日4月29日から長期休業に入ったはずだ。再開は未定とされ、そのまま閉店する可能性もある。理由はスタッフの皆さんの高齢化。確かに朝6時から夜の8時まで、週に一日だけの定休日だけでは身体に堪えることだろう。ヘルプの人員を集めようとしても人手不足で難しいと思われる。その上、メニューは何を頼んだらいいのか迷うほど半端でない品数なので、調理する側の負担も大きい。 

 

 

なぜ、そんなにも豊富なメニューを揃えているかというと、食堂SSは本来トラックドライバーのための店だからだ。木曽谷の大動脈である国道19号は、伊那谷を走る中央自動車道を利用しないトラックが今も多く走っている。そのために早朝から店を開け、できるだけ家庭的な味を提供したいと考えてこの品数に達したはずなのだ。そうした思いには頭が下がるが、それがまさに食堂SSの哲学といっても過言ではない。 

以前は辰野町の国道153号にも支店があった。そちらは長野自動車道の開業によって閉店を与儀なくされたが、やはりトラックドライバーが多い店だった。立地も本店と同じく近隣に住宅などなかったので、トラックはエンジンを掛けっ放しで駐車できたはずで、確か、風呂も完備されていたはずだ。現在は、塩尻広丘店が国道19号沿いにあるが、そちらは市街地にあって駐車場もそんなに広くないので、どちらかというと営業マンご用達の店になっているようだ。ただ、品数の豊富さは本店と同じく保たれている。 

 

 

私が食堂SSを意識するようになったのは、愛知県在住のてる坊さんの存在だ。それまでSSは車で訪れる場所だと思っていたが、彼が贄川駅からなら歩いて行けると調べてくれたのだ。その時、初めて飲める場所なのだと認識した。すると俄然世界が広がってくる。それまで目が向かなかった単品メニューが気になるようになり、ご機嫌な時間が過ごせそうだと考えた。てる坊さんと一緒に行く約束をしたが、その日を待てずにひとりで下見に出掛けたこともあった。さらに別の仲間とも訪れた。

 

 

そして、いよいよてる坊さんと訪れることになったものの、なんとその日は地元のお祭りで臨時休業だった不運にも遭遇した。色々と思い出が詰まる食堂SSだったが、昨年11月にようやくてる坊さんと訪問することができ、もう心残りはない。と言いたいところだが閉店してしまうのは惜しい。オーナーは、店を継ぎたい人がいれば、1年くらい広丘店で修行してもらった後に任せてもいいと言っているので、やる気がある人が現れ、ぜひ店を継続してほしいと願う。 

 

 

最後にもう一度、訪れてみようとも考えたが、ネットの情報によると昼は行列ができているらしい。そうなるともはやSSではない。私の中のSSは、単身のトラックドライバーや営業マンが居る少しまったりとした空気が流れる店で、決して忙しなく食事をする場所ではないのだ。そんな時をまた刻んでみたい。