2022年8月11日(thu)

 

只見ダムは、只見川上流3㎞ほどにある田子倉ダムおよび同発電所の、河川の流量を調節する「逆調整池」としての機能を有している。田子倉発電所は昭和34年(1959)部分運転を開始し、2年後に計画通り38kWを出力しているが、只見ダムが竣工したのは平成元年(1989)。それまでは下流にある滝ダムが逆調整池機能を保っていた。(写真/田子倉ダムの天端から万代橋と只見湖、そして只見ダムを写す) 
 
 

しかし、田子倉ダムと滝ダムの間には只見町の中心地があったため、さらに安全で確実な水位調整が必要となり只見ダムが建設された。田子倉発電所では平成16年(2004)から8年の歳月を掛け40kWまで増設しているが、それを可能にしたのは只見ダムが完成したからだと思われる。(写真/万代橋から只見ダムをみる。只見湖の総貯水容量は450万立法メートル) 

 

只見ダムは阿賀野川水系只見川に建設されたロックフィルダム。発電(Power generation)を目的にJ-POWER電源開発株式会社が管理している。(写真/洪水吐は非常用のローラーゲート3門、発電所の取水口にローラーゲート2門が装備されている) 

 

只見ダムの規模は堤高30㍍、堤頂長582.5㍍、堤体積45万立方メートル。堤高が低い故にロックフィルダムと重力式コンクリートダムが融合した形状が可能になり、中央部に洪水吐を配する設計にしたと思われる。(写真/左岸より洪水吐を望む) 

■ 通常、ロックフィルダムの場合、堤体の中央部に洪水吐があるのは珍しく、確かに訪問したことがある高瀬ダム(長野県)も森吉山ダム(秋田県)も洪水吐は端に設けられていた。

■ 七倉ダム

 

 

田子倉ダムは昭和56年(1981)に着工し、平成元年(1989)竣工している。前田建設工業・森本組・地崎工業のジョイントベンチャーが施工した。(写真/堤体の左岸にダムの碑がある) 
 
 

堤体の下流側の堤体面は緑化されている。堤高はそれほど高くなく、逆に堤頂長が長いのでまるで堤防のようにみえるしアースダムのようにも映る。(写真/左岸から堤体と只見発電所をみる) 

 

非常用洪水吐のある天端より下流側をみると、真下には副ダムが設置されていて、その向こうに減勢工がある。右側の只見発電所から放水された水は、総延長2,200㍍の放水路を流れこの先で伊南川と合流する。さらにその先には滝ダムがある。 

 


ローラーゲートピアを真下から見上げると、その大きさに圧倒されるが、扉高は18.5㍍、重量は82トンもある。ゲートは石川島播磨重工業が施工している。(写真/ゲートの支柱をみる)
 


只見ダム/只見発電所 Vol.2に続く