2017年10月9日(mon)

 

七倉ダムは、すぐ上流に建設された高瀬ダムと同じロックフィルダム。 高瀬ダムの堤高が176㍍で、黒部ダムに次いで第2位であるため目立ちにくいが、七倉ダムも高さ125㍍とロックフィルダムの中では日本有数の高さを誇っている。(写真/下流側にある広大な敷地からダムを見上げる) 

 

さらに下流側の非常用洪水吐の下には、水たまりができている(写真)。場所から推測すると、やはり洪水吐から放流されたとみてもいいだろう。発電に利用される水は、地下を通って中の沢発電所に送られ、大町ダムの龍神湖に流される。右岸の地下側からも高瀬川に放流されていて龍神湖の水位を調整している。 

 

堤体には、高瀬ダムと同様に道路が通っているが、それは斜めに1本だけの単純な造りとなっている(写真)。そうはいっても、ロックヒルダム本堤に道路が横切っていること自体、驚くべきことで、その大胆な発想に敬服する。 

 

その道路から非常用洪水吐を見上げる。洪水吐はスキージャンプと同じような造りになっていて、角度が急で迫力がある。2門あるゲートの隣には管理事務所がみえる。 

 

その洪水吐に沿って階段が設置されていて、歩いて登ることができる。国土地理院の地図と照らし合わせると、標高差おおよそ80㍍、20度ほど角度を登ることになる。もちろんその途中、休み休みしながら、ゆっくりと登る。 

 

ようやく天端に出る。堤頂長340㍍、幅12㍍。上流側にみえるダム湖は、元々は新高瀬川発電所の下部貯水池で、夜間に揚水として高瀬ダム湖にくみ上げられていたが、今は中の沢発電所にも水を送り42,000kwの電力を生んでいる。 

 

この日本でも最大級の揚水発電は、昭和44年(1969)東京電力によって計画され、高瀬ダム、新高瀬川発電所とともに、七倉ダムも建設された。竣工は昭和54年(1979)である。ちなみに中の沢発電所は翌年に稼働している。 

 


総貯水容量3,250万立方メートルを湛える七倉ダム湖を上流側よりみる。この水たちが、首都圏の電力を生んでいると思うと感慨深い。「電気は山からやって来る」。そう語ったブロ友さんの言葉に導かれて、こうして水力発電所や送電線を追うようになったが、それは正確だったのだと、ひとり頷く。