★1968年ダイヤペット/プレイアート マツダファミリアロータリークーペRX85 ~ 田中車輛 | ポルシェ356Aカレラ

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★マスク激減
この猛暑もあってか都内でもマスクをしている人が大幅に減ってきた感があります。コンビニやマックなどのレジに居る人もマスクなしの人が大幅に増え、混んだ電車内でもマスクなしの人が増えている感じです。私の場合、マスクは外出時には常にしていますが、35度を超えるような猛暑で湿度も高いとマスクをしていると、ひどく息苦しくなり、実は無意識にマスクを顎まで下げてしまうこともあります。
しかし、コロナ禍以降、去年までは真夏でも大半の人がマスクを付けていてマスクをしない人はマスク警察員から注意されたり、人から避けられたりしたものですが、去年までは夏にマスクをしていても息苦しいと感じた記憶がどうもないのです。ということは、今年の夏は昨年までよりも遥かに暑い夏になっているということなのでしょうか。。
☆☆

★閑話休題
先々週のギャランハードトップ、先週のコスモスポーツに続き、今週もダイヤペットの記事としてマツダロータリー第2弾となったRX85=ファミリアロータリークーペのバリエーションをご紹介します。今回のRX85ではダイヤペットに加えてプレイアートの底なしのバリエーションについてもご紹介したいと思います☆☆☆


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★マツダ ファミリアロータリークーペ
ロータリーエンジン を初めて搭載したコスモスポーツを1967(昭和42)年5月に発売したマツダは、ロータリーエンジンを普及させるべく量産車に搭載することを目標とし、1968(昭和43)年7月13日、モータリゼーションならぬ 「ロータリゼーション(Rotarization)の花開く」 のコピーと共にロータリー大衆化計画の第1弾としてファミリア・ロータリークーペを発売します。前年1967(昭和42)年10月の第14回東京モーターショーにRX85として展示された車両を市販化したもので、1967年11月にモデルチェンジした2代目ファミリアセダンのボディをスポーティーな2ドアクーペボディ化し、コスモスポーツと同じ10A型2ローターユニットを128psから100psにデチューンして搭載していました。148万円と高価で高嶺の花だったコスモスポーツの半額以下の70万円と大衆にも何とか手が届く範囲の価格に抑えての発売でした。

★じゃじゃ馬
805kgの軽く小柄なボディ に2ローター100馬力を搭載したことによるファミリア ロータリークーペの性能は最高速度180km/h・ゼロヨン16.4秒と当時の2000ccクラスのスポーツカーに匹敵したものの、ベースとなったファミリアを若干強化しただけのシャシーが必ずしもエンジン性能に追いついていなかったことから、一部では運転の難しい「じゃじゃ馬」とも評されました(翌1969年にデビューした最高出力115psでFFのホンダ1300程の「じゃじゃ馬」では決してなかったのですが)。しかし、一般庶民にも手が届く価格帯でロータリーエンジン搭載車が市販された意味は大きく、1970年代に入りカペラやサバンナによる更なるロータリゼーション普及の礎となったクルマでした。

【1968年マツダ ファミリア ロータリークーペ (型式M10A) 主要スペック】 
全長3830mm・全幅1480mm・全高1345mm・ホイールベース2260mm・車重805kg・491cc×2ロータリーエンジン・最高出力100ps/7000rpm・最大トルク13.5kgm/3500rpm・乗車定員5名・最高速度180km/h・販売価格70万円


●1968年7月 マツダ ファミリア ロータリークーぺ デビュー時のカタログ/広報誌より




特徴的な丸4連テール


特徴的なT字型ダッシュボード


スペック・図面等。ボディカラーは白・赤・ベージュの3色のみ。



●1969年7月追加車種マツダファミリアロータリークーペEタイプおよびファミリアロータリーSSセダン
デビューから丁度1年後にコストの掛かるT字型ダッシュボードを廃し価格を4万円引き下げたロータリークーペEタイプ(Eはeconomyを示す)とセダンに100psロータリーを搭載したSSがデビューしています。その後、マツダのロータリー戦略は1970年代に入り、カペラ・サバンナとバリエーションを一気に増やすこととなります。


SSセダン




【マツダファミリア ロータリークーペの立体造形物(当時物)】
近年も書店売り国産名車のミニカーがリリースされていますが、当時物については、ダイキャストミニカーは1/40のダイヤペットと1/55程度(全長7cm)のプレイアート、プラモデルは1/20の今井科学(イマイ)~バンダイ・1/21の山田模型(ヤマダ)・1/55程度のフジミがリリースされています。なお、尾高産業(オダカ)からは箱絵だけがロータリークーペで中味は4ドアセダンという珍妙なキットも出ています。


【chapter1】ダイヤペット1/40マツダファミリアロータリークーペのバリエーション
1968(昭和43)年7月13日、東洋工業の公式ノベルティとして、当時、東洋工業から依頼を受けたダイヤペット発売元である米澤玩具がボディを広島の東洋工業に送り実車と同じメッキ塗装をしたと言われるクロームメッキ仕様が実車の新車発表会で配布され(専用箱入りと半球体ドーム型展示台付のものあり)、翌8月にNo.D-173として一般にも発売されています。発売時の価格は580円、後に600円に値上げされています。初期のボディカラーはクリーム・赤・グレイの3色、シートカラーはクリーム・薄水色・赤・黒の4色が組み合わされていたようです(赤ボディに赤シートはなし)。更に床板色が初期は白、早い段階で一般的なグレイに変更されたと思われます。ホイールは初期はホワイトリボンを模したプラ製白リム、後に金属リムに変更されています。箱はダイヤペット初期の被せ箱とその後1980年代に至るまで長く使われた透明ウインド箱の2種があります。
後期はボディカラーに後にオレンジとエンジメタが追加され(シートカラーは黒のみ)、1973(昭和48)年に入り333番としてシールをベタベタ貼っただけの人造人間キカイダー仕様がリリースされた際にはオレンジボディのみが使用されたようです。

ダイヤペット カタログ1969~1970年版の173番ファミリアロータリークーペ


米澤玩具 綜合カタログ1972年版の173番ファミリアロータリークーペ。価格が発売時の580円から600円に僅かながら上げられています。


手許のマツダ ファミリア ロータリークーペ立体造形物(ミニチュアモデル)のコレクション。ダイヤペットについては、残念ながらシート色違いまでは集まっていません。








ダイヤペット(1) 赤 (クリームシート・プラ製白リボンリム・被せ箱)












フル開閉アクション。「ボンネットのあけかた」説明書入り。


10A型ロータリーエンジン(491cc×2)


室内にシートとハンドルのみだったアンチモニー時代とは異なり、実車通りにT字型ダッシュボードが再現されています。


初期の白裏板




ダイヤペット(2) クリーム (黒シート・プラ製白リボンリム・ウインド箱)






ダイヤペット(3) グレイ (黒シート・プラ製白リボンリム・箱無)






ダイヤペット(4) オレンジ (黒シート・メッキリム2ndホイール・ウインド箱)






ダイヤペット(5) エンジメタ (黒シート・メッキリム2ndホイール・箱無)






ダイヤペット(6) クロームメッキ (赤シート・プラ製白リボンリム・特注被せ箱のみ)
東洋工業特注の銀メッキは赤シートのみで裏板に白とグレイの色違いがあることから、それなりの台数が生産されたものと思われます。


専用箱


月刊ミニチュアカー1973年5月号掲載「知られざるダイヤペットミニカー」記事。173番のシルバーメッキは広島の東洋工業にボディを送りメッキを施した後にまた東京に送って貰った旨を米澤玩具でダイヤペットを担当されていた川端昭男氏が記載されています。






2台のクロームメッキ仕様は床板の色が異なります。左の白が1st、右のグレイが2nd。



●コレクター泣かせの333番キカイダー仕様マツダファミリアロータリークーペ(ヤフオク出品画像より:落札価格6万2000円)
この333番の箱は車種名の記載のないモノで中味は173番ファミリアロータリークーペ、196番ギャラン4ドア、225番ハコスカ1800セダンの3種が同じキカイダーのシールをベタベタ貼ってアトランダムに入れられており、月刊ミニチュアカー誌1974年1月号に掲載された「ダイヤペットのすべて(第5回)」にJMAC関西の中本裕氏が333番については「全くマニア泣かせ/コレクター泣かせ」の製品である旨を書かれています。











【chapter2】プレイアート1/55程度マツダファミリアロータリークーペのバリエーション
品番C-48(7148)。1970年代、マスダヤが黒い箱のポケッターシリーズで扱う前のプレイアートは地方の土産物店など玩具業界以外のルートで流通していたため、売っている店を見つけることが一苦労でした。ボディカラー違い、シートカラー違いが膨大であったこともあり、現在マジョレットが食玩ルートでの販売のため特にトヨタ2000GT等の人気車種の入手が難しいこと以上に当時プレイアートを集めることはハードルが高かったように思います。現在手元にプレイアートのファミリアロータリークーペは5色ありますが、まだプレミアムが付く前の1980年代半ば以前に入手したもの。他に赤や緑といったボディ色違いを見掛けていますが、シートカラーについては手元にあるものだけでも水色・ベージュ・黒の3色があり、もし1つのボディカラーに3色ずつシートカラー違いがあるとするとコンプリートに集めることは殆ど不可能と思います。ただ、ファミリアロータリークーペについては同じプレイアートのトヨタ2000GTのように初期ホイールは存在しないと思われますので、ホイール違いまで集める必要はないようです。












裏板には「YAMADA SUPER DISCMATIC ROTARY COUPE」の刻印。


これは何と山田模型(ヤマダ)のプラモデルの表記(以下はヤフオク出品画像)をプレイアートの制作サイドが車名と勘違いして入れたもののようです。


1960年代初頭に萬代屋(現バンダイ)がテクノのダイキャストミニカー813番フェラーリを参考にブリキ素材でモデル化した際、テクノの品番813を車名と勘違いし箱や本体にフェラーリ813と入れたことと状況は似ていますが、プレイアートのファミリアロータリークーペは萬代屋のフェラーリより10年前後新しいため、メーカーがヤマダではなくマツダであるという程度の情報は入っていたのでは?とも思えます。

手許のボディカラー違い5色










【参考1】今井科学1/20マツダ ファミリア ロータリークーペ プラモデル
1969年、小4の頃に作った懐かしのプラモデル。今井品番No.3306。当時定価350円。本体全長約19㎝。箱サイズ:縦20×横29×厚さ6㎝。







【参考2】フジミ1/55程度 マツダ ファミリア ロータリークーペ プラモデル
4台セット250~300円程度で売られていたシリーズ(単品売りもあり?)の1台でこれも小4の頃に作った懐かしのプラモ。本体全長約7㎝。箱サイズ:縦5.7×横9.7×厚さ3.8㎝。







【参考3】アシェットコレクション1/43&1/24 マツダファミリア ロータリークーペ
2018年5月に1/24がリリースされた時にはRX85初の大スケール完成品ということで感動/感涙モノでした。






1/24で再現されたT字型ダッシュボード



【参考4】マツダ ファミリア ロータリークーペの当時物プラモデルのBox Art(画像提供: henry Collection)
上段:左1/21 山田模型(ヤマダ)初版・右 同左 STマーク入り再販、中段:左1/20 イマイ・右イマイ倒産後のバンダイ再販、下段:中味は4ドアの1/24尾高産業(オダカ)



【参考5】1969年夏に筆者が描いたマツダ ファミリア ロータリークーペ の絵
これは筆者が1969年、小4の夏休み作った自動車図鑑の中のファミリア ロータリークーペ。最高出力が何故か最高電力と書かれています(大汗)。




マツダ ファミリア ロータリークーペの初期型国内版 実車カタログについては、2012年9月30日の「自動車カタログ棚からシリーズ」第63回記事をご参照ください。







★オマケ(その1):新刊書籍 「田中車輛の時代ー近畿車輛前史ー」
機芸出版社発行・TMS編集部編。B5判192頁。税込定価4000円。2020年の近畿車輛100周年の折にTMSが編纂した大著「近畿車輛のあゆみ」が関係者のみへの配布で一般には入手が難しいことから、史料を死蔵せず一般ファン向けに作られた良書。メーカー公式の鮮明な未公開画像や未公開図面が山盛りで鉄道車輛のみならずビスタコーチに代表されるバス車両にも頁を割いており、古い鉄道車輛のみならず古いバスに興味がある向きにもお薦めの1冊です。


1962年 近鉄修学旅行用2階建電車あおぞら


バスにも頁が割かれています。




★オマケ(その2): 今日のビートルズ「Bad Boy」 1965
Larry Williamsが1958年にリリースした曲(ヒットチャートにはランクインせず)のビートルズによるカバー。ジョンのボーカルが何とも魅力的です☆☆