★1903年(明治36年)6月16日にヘンリー・フォードがアメリカで創業したフォード・モーター（Ford Motor Company）は、米国内にとどまらず早くから販路を世界へと求めた。即ち、イギリス・フォードが1911年(明治44年)、日本フォードが1925年(大正14年)、ドイツ・フォードが1931年(昭和36年)に設立され、古くから現地生産が行われてきた。横浜・子安の日本フォードは第二次世界大戦中に生産が中止されたが、英独両フォードは戦後も生産が続けられた。1967年(昭和42年)6月13日に至りロンドンにヨーロッパ・フォードが設立され、それ以降は販売モデルの一元化が推進された。英独フォードの生産車種の共通化は1968年のフォード・エスコートに始まり、翌1969年1月には2ドアクーペボディのスペシャルティカー「フォード・カプリ」がデビューした。
★フォード・カプリはフォード・マスタング(Mustang：自動車カタログ棚シリーズ83回目でご紹介)の成功をヨーロッパで再現すべくデビューした。
マスタング以上のワイドバリエーションをもち幅広いユーザー層を吸収したカプリは大ヒットとなった。エントリーモデルの1300cc50ps/最高速133kmからトップグレードのRS2600cc150ps/最高速200kmまでと同じボディでありながら3倍もの出力差は、日本版マスタングともいえる初代セリカのバリエーションの比ではなかった。パワフルな高グレードは勿論魅力的だが低出力のエントリーモデルもシンプルかつクリーンで上品な外観はむしろ高グレードモデルより好ましいものだった。
カプリはセダンの派生ではないロングノーズ、ショートデッキ、セミファストバックの専用ボディを持ち、デザインはサイドの独特なプレスラインやU型のクオーターウインドーが特徴的でカプリ独特のアイデンティティを持っていた。
カプリはスポーツイメージを高めるためにRS2600でモータースポーツにワークスとして参戦し、1971年のスパ・フランコルシャン24時間耐久レースに優勝した他、欧州のツーリングカーレースではBMW3.0CSLなどとの激闘を繰り広げた。
【主要スペック】 1970年 英フォード・カプリ1300 (Ford Capri 1300) 最廉価エントリーモデル
全長4260㎜・全幅1645㎜・全高1330㎜・ホイールベース2560㎜・車重920kg・RWD・水冷Ｖ型4気筒OHV1305cc・最高出力50ps/5000rpm・最大トルク9.5mkg/2500rpm・変速機4速MT・前ディスク/後ドラムブレーキ・乗車定員5名・最高速133km/h
●1970年9月発行 英フォード・カプリ 本カタログ （A4判・英文12頁）
右ハンドルの英国仕様
※中頁から
英国仕様はかつての日本車と同じくフェンダーミラーが付く。
●1972年8月発行 独フォード・カプリ 本カタログ （A4判・英文20頁）
左ハンドルの西独仕様
※中頁から
高グレードは丸目4灯
ワークス・カプリ
★オマケ（その１）： 英マッチボックス 1/59スケール 1970年フォード・カプリ3000GT
当時国内定価170円。品番54。ダイキャスト製。ボンネット開閉アクション付。黒ボンネット/ピンクが初版、ワインメタが再販。箱も微妙に異なる。
★オマケ（その２）： 仏ソリド 1/43スケール 1971年フォード・カプリ2600RVレーシング
当時定価： 調査中。品番26。ダイキャスト製。欧州で活躍したフォードワークスのミニカー。経年でデカールがボロボロ。
★オマケ（その３）： 英コーギー 1/43スケール 1970年フォード・カプリ3000GT ロジャー・クラーク バージョン
当時定価： 調査中。品番303。ダイキャスト製。フォードワークスで活躍したロジャー・クラーク バージョンのミニカー。
★オマケ（その４）： 米屋 1/20スケール 1969年フォード・カプリ
当時定価： 調査中。全長22cm。TIN製。日本製ブリキ(TIN)のカプリはイチコー(一宏工業)やアオシン(青眞商店)からも発売されており、新車当時はカプリが日本でも話題のニューモデルだったことが判る。
★オマケ（その５）： フォード・カプリ CM集
後半のカプリのポリスカーに追われるカプリが面白い。
★オマケ（その６）： レーシング・カプリ 画像集