★1964年 フォード マスタング 男と女のポニーカー ~自動車カタログ棚から 083  | ポルシェ356Aカレラ

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★第二次世界大戦後、復員兵の帰還によって出生率が大幅に上昇した時期に生まれたベビーブーマー世代(日本では団塊の世代)をターゲットとして開発された2ドアスポーツカー「フォード・マスタング」(日本では永らくローマ字読みでムスタングと呼ばれることの方が多かった)は、1964年(昭和39年)4月17日より開催されたニューヨーク万国博覧会の初日にデビューした。時あたかも1964年4月4日にビートルズがビルボードの全米ヒットチャートで前人未踏の1位から5位を独占していた頃のことである。

★マスタングは、シンプルかつスポーティーな外観、高性能、低価格、膨大なオプション選択を可能としたフルチョイスシステムに加え、当時のフォード副社長 リー・アイアコッカ(Lee Iacocca; 1924年10月15日 –存命)による綿密な市場調査と巧みなマーケティング戦略によって、T型フォード(1908年~1927年までの20年間生産され自動車をアメリカの大衆のものとした歴史的なクルマ)以来と言われるアメリカ自動車史に残る大ベストセラーカーとなった。
ただし、自動車史研究の第一人者であった五十嵐平達氏の著書にアメリカで大ヒットしたマスタングも日本国内では横田基地などの中でしか見ることはなく殆ど国内販売されなかった旨の記述があり、事実、1960年代に子供だった私はマスタングのミニカーで遊んだ思い出はあっても実車を見たことは一度もなかった。

★初代マスタングは、いわゆるポニーカー(手頃な価格でスポーティーかつスタイリッシュなクルマ)の元祖であり、エンジン等を顧客が選ぶフルチョイスシステムの元祖ともなった。シンプルでありながらインパクトのあるデザインも含め世界の自動車界へ与えた影響の大きさから歴史的に重要なクルマである。シボレー・カマロ、ダッジ・チャージャー、英独フォード・カプリ、オペル・マンタ、日本ではトヨタ・セリカなどマスタングの存在なくして生まれ得なかったクルマは枚挙にいとまがない。現行の6代目マスタングも初代のイメージを踏襲したデザインで売られている。

★初代マスタングは、低コストでの生産を可能とするため小型大衆車「フォード・ファルコン」のコンポーネントを大幅に流用していたものの、フルチョイスシステムによって選択可能なエンジンはスーパースポーツ並みのV8の271psから大衆車ファルコン並みの6気筒101psまで4種類も用意され、見た目は同じでも顧客の選択によってマスタングというクルマは文字通りピンからキリまで存在した。顧客は懐具合と相談しつつオプションを選択する、しかし例え一番下の6気筒エンジンを載せたファルコン並みの値段で買えるマスタング(2455ドル)にしか手が出なくても、逆にその2倍以上のお金を出してもクルマの見た目は同じというところがポイントであったと言える。

車名の由来 マスタング=野性馬の意味。第二次世界大戦中に活躍した米軍戦闘機「P-51マスタング」にもイメージを重ねた。フェンダーに同名のエレクトリック・ギターがあるが発売はフォード・マスタングと同じ1964年。

【主要スペック】1964年 フォード マスタング V8
全長4612㎜・全幅1732mm・全高1298mm・車重1200kg・FR・4728cc水冷V8・最高出力271ps/6000rpm・最大トルク58.2kgm/3400rpm・乗車定員4名・最高速200km/h

●1964年4月発行 1964年フォード マスタング カタログ (29×26cm・英文14頁)
最初のマスタングのボディは、基本となるハードトップとルーフを取り去ったコンバーチブルの2種のみ。半世紀近くを経た現在の6代目マスタングもこの初代のデザインイメージを踏襲している。
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※裏面スペック
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●1964年8月発行 1965年フォード マスタング カタログ (28×23cm・英文12頁)
1965年式よりファストバックの2+2クーペが追加された。マスタングのヒットによりファストバック・ボディも世界中で流行した。リアシートを倒すとトランクと直結する構造。
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●1965年8月発行 1966年フォード マスタング カタログ (28×23cm・英文12頁)
ポルシェ917の登場まで1960年代のル・マンで4連覇したフォードGT40をイメージしたストライプ等の付くGTグレード追加。
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●1966年 仏映画「男と女」 (カラー/モノクロ・102分)
1960年代のマスタングが登場する映画というと、マックイーンがドライブする1968年式マスタングが登場する「ブリット」が有名だが、初期型マスタングとなるとこの映画。クロード・ルルーシュ監督の名作。フランシス・レイのテーマ曲があまりにも有名。主人公のレーシングドライバーがフォードのワークスドライバーという設定で初期型フォード・マスタング・ハードトップでモンテカルロ・ラリーに出場し走行するシーンのほか、主人公がプライベート用にも赤のマスタング・コンバーチブルで登場する。




★オマケ(その1): 1960年代のフォード・マスタング 外国製ミニカー 
左から時計回りに、テクノ(赤いコンバーチブル)・コーギー2台(シルバーと青のファストバック)・ディンキー(白のファストバック)・ガムダクール(赤のハードトップ)、手前の白い小スケール(1/65スケール)はマッチボックス。前輪がステアするギミックの付いたマッチボックスは私が子供の頃の宝物の1台。コーギーはリアウインドの中に何故か犬が座っている。テクノはデンマーク製、ガムダクールはイスラエル製、その他は全てかつてミニカー王国だった英国製。モデルになっているのは全て1966年までの初期型マスタング。
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★オマケ(その2): アサヒ玩具 1/16スケール 1965年フォード マスタング ファストバック
1960年代の花形スポーツカーであった初代マスタングは日本でもTIN TOYを中心に夥しい種類のモデルが発売された。
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★オマケ(その3): 野村トーイ 1/11スケール 1965年フォード マスタング ファストバック
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