筋肉痛 | ロンドンつれづれ

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昨晩、シェフィールドから帰ってきた。


今朝起きたら、なんと筋肉痛である・・! 両足のふくらはぎが痛い。



2年前の3月にレッスンをとり始めて、そろそろ2年。いままで、筋肉痛がおきたことなんて、なかった。



やっと、ちゃんと筋肉を使って滑ることがわかったのかな? やっぱり、膝と足首をしっかり曲げて、上下運動とエッジで進む、ということが今まではできていなかったのかな?



そういえば、今回初めてなんとなく、普通のストロークやクロスオーバーがギクシャクしないで出来るようになった気がする。


アップ、ダウン、アップ、ダウンと、併走して声をかけてくれるピーターに、やっとその自然なタイミングがつかめてきた気がする。


そして、無理にエッジを意識しなくとも、プッシュした時の一蹴りの伸びがぐんと良くなった。スケーティングレッグに、しっかり体重が乗って、エッジが倒れており、進行方向に抵抗なく進む感じ。気がつくと、体がずいぶんと沈んで、膝と足首がきちんと曲がっている。この姿勢で片足で保つと、必然的に筋肉は使う。


「フィギュアは、なるべく両足で立たないように。いつでも、どちらか片足で滑るものなんだ」とピーター。そういえば、競技会でも両足で立っていて行う演技は、採点の対象にはならないと聞いたことがある・・。


私は今までは、プッシュ、スクイーズのスクイーズのところで、いったん両足をそろえて氷において膝を伸ばす、と考えていた。それから足を変えてプッシュして・・・。  だから、なんとなく、上下運動がギクシャクして、軌道はジグザグしていた。


そうじゃなくて、スクイーズで足をそろえても、フリーレッグは氷につかない。常に片足走行、そして乗っている足のエッジがアウトからインに切り替わる時にダウンしてそこで、フリーレッグが氷に乗りながら、フラットからアウトにエッジ切り替えつつ、ニーベンド・・・、アップ&ダウン、アップ&ダウン・・・


ああ、始めて流れるようにエッジ切り替えと体の上下、そして体重の移動ができた!そうすると、スピードがすごい。


2年も滑っていて、一番基礎の部分のフォアのストロークがやっと発見できた! 腕は緊張させずに、ウエストの位置に自然において・・・


そのスピード感、滑らかさ、氷の上を飛行しているみたい。 顔は進行方向をしっかり見て、氷の上をみない。 気持ちが良くて、「ああ、スケートって、本当に楽しい!」。腕を大きく広げて、きっと空を飛んでいるのって、こういう気分なんだろうなあ。世の中は、自分にはどうにもできない嫌なことがあふれている。考えていると気持ちがめいって来る・・・でも、スケートをしている時は、そんなことを考えず、ただ「転ばないように!」の一点だけに集中するから、ストレス開放になる・・・。


バックストローク、こちらも理屈は同じ。 無理にエッジを変えようとしないで、自然に自然に、待って、待って。体を開いて、肩と首を緊張させないで、心を開放して。 バックは、後ろ向きにスッテンコロリンと転倒するのが怖くて、どうしても体重を乗せきれることができずに、ついトウがガリガリいってしまう・・。もうちょっとブレードの中央当たりに体重を乗せ、肩を開く・・・そして、アウトエッジが半円を描くまで待って、待って、それから踏みかえる。考えることはそれだけ。



フォアとバックのストロークで、体重の乗せ方、体重移動のしかた、エッジの乗り方、そしてフリーレッグの位置、つま先や膝をつねに意識すること、「美しく」滑ること。


基礎の基礎のすべりの中にも、こんなに注意しなくてはできないことがいっぱい。大人は見よう見まねでなかなか出来ないから、聞いたことは全部メモして、滑るたびに思い出しながら滑らなくてはいけない。 一つに集中していると、他のことがおろそかになる・・・。足に気をつけていると、目は氷の上、頭の向きや肩や手がおろそかに・・・。


同じことが、ターンでもステップでも。「はい、フリーレッグ。ターンのあと、後ろじゃなくて前でしょ。つま先伸ばして。腕はちゃんとチェックして。指先、手首から先、落ちてるよ!しっかり伸ばして!はい、頭は進行方向をしっかり見る!肩をおろして!背筋のばす!」


すべての動作はゆっくりで良い。スピードをだしてやろうとしない。ゆっくり、だけど確実に注意ポイントを全部抑えてやれば、美しく見えるし、正しいエッジにのれる。


トップスケーターは、そのすべてを、瞬時に判断して同時に3つぐらいのステップを組み込んで、ものすごいスピードでコレオグラフィにして2分なり4分なり滑るんだなあ。その緊張と運動量で、あの短い演技の後の激しい呼吸と大量の汗になるんだなあ。


私なんて、普通にストロークでリンクを3週するだけで、汗びっしょりになる。そのうちの半分は緊張の冷や汗だったりするけれども。


楽そうに、軽やかに滑っているように見えて、実はフィギュアスケートは全身の筋肉を使う。つるつるする氷の上にたっているだけでも実はバランスをとるために筋肉をつかっているのだ。それを、全力で疾走したり、転ばないようにしながらターンして方向転換したり、上半身を色々使ったり、ひねったり、跳んだりはねたり、ステップしたり。転んだらものすごく痛いし、大怪我のリスクだってある。


やっぱり、歩いたり走ったりするよりもずーっと緊張感は高いし、1時間も練習すると、私なんかへとへとになっちゃう。


今練習しているのは、片足スネークである。今のところ、バックよりも、フォアのスネークの方が難しくて、怖い。なぜ怖いかというと、あっというまに転倒するからである。 まずインサイドエッジを使ったストロークで始めて、片足にのり、イン、アウト、イン、アウト、イン、アウト、インぐらい繰り返したら踏み変えて別の足で同じことを繰り返す。 この時、膝をうんと使ってエッジの切り替えをし、アップダウンを意識して体重をエッジに乗せることで前にすすませる。これが難しい・・・。腕の使い方もわけがわかんなくなるし、すべてがうまくいって、始めて転ばずに進むのである・・・。

慣れてきたら、イン、アウトの繰り返しの回数を増やし、うんと上手な人は、こがずに片足でリンクを一周できるそうであるが、いったいそんな日は訪れるのであろうか・・・。


おそらく、ふくらはぎの筋肉痛は、この練習のせいだと思うが、今まではイン、アウトの1回すらできなかったんだから、進歩といえよう。でも、これでエッジの使い方とバランスのとり方を覚え、片足でエッジ切り替えのコントロールができるようになれば、体幹も鍛えられて、転倒の回数も減ってくるかも。すべては、練習、練習。


そういえば、ピーターからはこんなことも言われた。スピンの練習中・・・。「スピン、やってみせて」と言われて今回はじめて回ったスピン。なぜだか、とってもうまくいって、8,9回回れたのである。しかも自分でもはじめてぐらい、フリーレッグが遠心力を感じて、「自分でまわしている」のではなく、「自然にまわっちゃった」というほど、回転中はエッジを感じないでガリガリいわずにまっすぐにまわれた。もう、このまま、いつまでも回っていたい感じ。


ピーター、目を丸くして、「凄い!良かったよ!前回からうんと上達したね!エントリーも綺麗だったし、回転軸もまっすぐで安定。イグジットの形もとってもきれいだった!もう一回!」


そして、もう一回やってみても、素晴らしくできたのである!もう、有頂天の私に、「もう一回!フルーク(まぐれ)かもしれないから。」


そして、もう一回やったら、大乱れだったのだ・・・。エントリーの左アウトサイドエッジがフラフラし、回転に入ったら軸は曲がってしまって、2回で足をついてしまった・・・。


その後、2回ほど試したが、駄目だった。うまくやって見せようと焦るから、なおいけない。


「OK, OK. もう止めよう。スピンとジャンプは、100回練習したらうまくなる、というもんじゃないんだ。できなくなったら、もうやめたほうがいい。悪い癖がつくからね。何度やっても、うまくいかないときはある。そんなとき、むきになってやると、自分に腹を立てたりして、いいことはなにもないからね。じゃあ、別のことをやろう」


そう。練習は大事だけれど、やればやるほどいいわけじゃない。


「今日は、ジャンプは決まるけど、スピンはまったく決まらないんだよ・・・」そんな日だってある。


きっと微妙な体の調子や、気分などが影響し、いつもよりちょっと体重のかけ方が右よりだったり左よりだったり。


うまくいく日に、いっぱい何度もやって、成功体験を積み上げたほうがいいんだろう。


きっと子育てもそうなんだろう。うまく出来た時にうんと褒めて、成功体験をさせる。そうして自信をそだててつみあげていく。「できない」と思い込ませたり、気分をくさらせたりすることは、自分にとっても、子供にとっても、良くないにちがいない。


それにしても、スピンは確かに少しずつ良くなってきているのは自分でもわかる。その原因の一つは、このブログにコメントとメッセージでいただいたアドバイス。とにかく、基礎にもどって、左足インサイドエッジのバックで、円を書く練習を・・・という貴重なアドバイスである。そして、足裏のどこが氷をしっかり押すかを意識しろ、というアドバイスである。


これを、しつこく練習しているが、スピンの際、体重をのせるべき位置、親指の付け根当たりのボールを意識してバックインサイドのサークルを練習し続けている結果、スピンが回り始めた時の安定が実感できるようになった。やっぱり、基礎は本当に大事。アドバイスを下さった方たちにお礼をいいたい!ありがとうございました!


あともう少し!! 今年中には、アップライトスピン、10回以上の回転を達成しますぞ!



私にとって、スケートの練習は、ただ技術を向上させることが目的ではない。練習すること自体がかなりのストレス対策になっているのだ。


とにかく、日常頭を悩ませているいろんな複雑なことを考えず、「これをできるようになる」そして「転ばないように滑る」、そういう単純なことだけに集中できる時間・・・。そのうち、音楽に合わせて滑れるようになれば、その気持ちよさは計り知れないだろう。



もう大人なんだし、試合にでるわけじゃない。自分のできる時だけ、そして体調と健康の許す範囲で楽しんで練習する。自分の精神と健康のために。


やっぱり、スケートを始めてよかったなあ。人生の楽しみがうんと増えたような気がする。筋肉痛も、けっこう、快感です・・・。