【作品#0896】ウォーターワールド(1995) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ウォーターワールド(原題:Waterworld)

 

【概要】

 

1995年のアメリカ映画

上映時間は135分

※エクステンデッド版は177分

 

【あらすじ】

 

地球温暖化により地球のほとんどが海になってしまった未来。辛うじて生き延びた人類は世界のどこかに「ドライランド」と呼ばれる陸地があると信じていた。一匹狼のマリナーは貴重品である土を飲み水と交換すべくとあるコミュニティのいる浮遊島にやってきたが、ミュータントであることがバレて捕まり処刑されることが決定する。すると、その浮遊島にディーコン率いる海賊集団「スモーカーズ」が急襲をかけてくる。

 

【スタッフ】

 

監督はケヴィン・レイノルズ

音楽はジェームズ・ニュートン・ハワード

撮影はディーン・セムラー

 

【キャスト】

 

ケヴィン・コスナー(マリナー)

デニス・ホッパー(ディーコン)

ジーン・トリプルホーン(ヘレン)

ティナ・マジョリーノ(エノーラ)

マイケル・ジェッター(グレゴール)

 

【感想】

 

本作の2年後の「タイタニック(1997)」までは映画の製作費として史上最高額(約1億7千万ドルでそのうち2,200万ドルはケヴィン・コスナーの私財)だった本作は全世界で2億6千万ドルと製作費にしては物足らない数字に終わった(のちのビデオ収益で回収できたそう)。ちなみに、サミュエル・L・ジャクソンは「ダイ・ハード3(1995)」に出演するために本作のディーコン役を断っており、他にもディーコン役を断った俳優は多数いる。

 

海版「マッドマックス」と呼ばれるだけあり、脚本のデヴィッド・トゥーヒーは「マッドマックス2(1981)」からの影響を公言しており、撮影監督のディーン・セムラーは「マッドマックス2(1981)」と「マッドマックス/サンダードーム(1985)」の撮影監督である(ちなみに、ケヴィン・コスナー初監督作「ダンス・ウィズ・ウルブズ(1990)」の撮影監督でもある)。

 

上述のように海版「マッドマックス」と言われたらそれまでかもしれないが、やはり舞台が海とあり、本作らしさは感じられる。改造した自作ボートを自在に操り敵から見事に逃げ切るオープニングはジェームズ・ニュートン・ハワードの疾走感溢れるスコアも手伝ってなかなかかっこいい。ただ映画の面白さはここがピークだったように思う(強いて言えばその後の浮遊島のシークエンスまで)。

 

本作に決定的に欠けているのは疾走感。3時間近いエクステンデッド版が製作されている以上、本作は腰を据えた重厚な作品に仕上げたかったのだろう。ただ、目指すべくはジェームズ・ニュートン・ハワードのスコアがしっくり来るくらいのスピード感、疾走感だったと思う。ディーコン率いるスモーカーズ(登場シーンでみんながタバコ吸ってるのはギャグよな⁉)を一時的に退治してからはマリナー、ヘレン、エノーラのドラマパートに移行する。ここからがやや退屈だし物語的にも停滞してしまう。やはりアクションシーンの中、あるいはその前後で彼らの関係をスマートに描くべきだった。

 

というか中途半端な悪として描かれたマリナーが彼女たちに出会ってヒーローになっていくという流れがそもそも微妙。この生きるか死ぬかの世界だから分からなくもないが、最終的にはケヴィン・コスナーの俺様映画になっちゃうからなぁ。ラストはヒロインそっちのけでヒーローだけが大活躍するってやっぱりちょっと古びてる。

 

あとは、「マッドマックス:フュリオサ(2024)」でも指摘したが、背後に生きている人間の数を考えるとあの世界であの人数を食わせるだけの食糧も水もないだろうという風に思えてしまう。この世界がリアルであると思えるような表現や場面は必要だと思う。飲み水を得るためになかなかの金や貴重品が必要だとして描かれているのだから尚更。スモーカーズの巨大な船にいる乗組員がどうやって生きているのかが全く見えてこない。途中でマリナーが巨大な魚を仕留めて食すシーンがあるのだがあれは逆にやり過ぎ。そこは魚類も貴重であり、取り方にコツがいるとかの方が良かったわ。

 

最終的にはマリナーがディーコン率いるスモーカーズをほとんど一人でやっつけるのだが、ここはマリナーが人間と魚類のミュータントであることはほとんど意味がない。海上が舞台の映画なのにクライマックスは船上だし。

 

その後、あっさりと「ドライランド」を発見して、マリナーは「俺に陸地は合わない」としてどう考えても不便な海へ繰り出して映画は終わる。「ドライランド」を発見してそこから立ち去るまでを急ぎすぎ。こうなるくらいなら「ドライランド」が見つかってそこへ向かっているところで終わるとかでも良かったと思うわ。あと、海上しか知らない人間たちが陸地に足を踏み入れたことで得られる安定感は表現してほしかったな。

 

悪評が先行しているが、酷評するほどの映画でもない。また、上述した不満点はもしかしたらエクステンデッド版を見ると解消されるのかもしれないが、本作はこれ以上長くなったら見る気はしないな。

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語)

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├日本語吹き替え

 

【ソフト関連】

 

<BD>

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

映像特典

├予告編

 

<4K Ultra HD+BD>

 

本編

├劇場公開版

├エクステンデッド版

映像特典

├予告編