【作品#0764】エクスペンダブルズ2(2012) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

エクスペンダブルズ2(原題:The Expendables 2)

【概要】

2012年のアメリカ/ドイツ/中国合作映画
上映時間は103分

【あらすじ】

前作でも仕事を依頼したチャーチがバーニー・ロスらに前作の補償を求めて仕事を依頼する。その仕事の最中にメンバーの若手ビリーがヴィランに殺されてしまう。バーニー・ロスらは彼の敵を討つために立ち上がる。

【スタッフ】

監督はサイモン・ウエスト
音楽はブライアン・タイラー
撮影はシェリー・ジョンソン

【キャスト】

シルヴェスター・スタローン(バーニー・ロス)
ジェイソン・ステイサム(リー・クリスマス)
ジャン=クロード・ヴァン・ダム(ジャン・ヴィラン)
ドルフ・ラングレン(ガンナー)
ジェット・リー(イン・ヤン)
リアム・ヘムズワース(ザ・キッド)
ユー・ナン(マギー・チャン)
スコット・アドキンス(ヘクター)
チャック・ノリス(ブッカー)
アーノルド・シュワルツェネッガー(トレンチ)
ブルース・ウィリス(チャーチ)

【感想】

前作を上回る1億ドルの予算がつぎ込まれ、全世界で3億1千万ドルのヒットを記録した。カリフォルニア州知事の任期を終えたアーノルド・シュワルツェネッガーにとって俳優業再開の1作目が本作となった(本作の撮影1週間後に復帰後初主演作「ラスト・スタンド(2013)」の撮影を開始)。

また、ジャッキー・チェンもオファーを受けたが、「ライジング・ドラゴン(2012)」の撮影のために出演を断っている。ニコラス・ケイジやジョン・トラヴォルタ、ドニー・イェンもオファーを受けたがスケジュールの都合で出演を断っている。

まず前作と比べて大きく変わっているところはアクションシーンの質である。なぜこれほど変わったのかはちょっと分からないのだが、前作も本作もスタント・コーディネーターを務めているのは後に「ジョン・ウィック(2014)」で監督デビューを果たすことになるチャド・スタエルスキである。こうなってくると、前作で監督を務めたスタローンに問題があったのか、それともチャド・スタエルスキが進化したのか、はたまた他に何か要因があったのだろうか。

何なら冒頭のアクションシーンからその違いを感じる。前作の冒頭のアクションシーンなんて全く印象に残っていないが、本作の冒頭のアクションシーンは結構良い。俳優それぞれの個性もそれなりに出ているし、チーム感も出せている。ただ、残念というべきかアクションシーンのピークはここだったんじゃないかと思えてくる。前作でそれなりに個性の与えられたジェット・リーが人質になっていた中国の富豪を本国に移送する任務ということで以降の場面に出てこないのだ(他の映画の撮影と競合したらしい)。これが地味に痛かった。

その代わりと言って良いのか、中国人女優ユー・ナン演じるマギー・チャンという女性キャラクターが登場する。ジェット・リーが抜けたアジア枠兼、スタローンの女性相手という感じである。あまり良い人物配置とは思えないが、彼女は動けてアクションもできるのでありだろう。ただ、世界的には無名の中国人女優を起用したからか役名がマギー・チャンはさすがになしだろう。中国資本の入っている映画なので仕方ないかもしれないがこの重要なキャラクターを世界的には無名の中国人女優にするのはやや残念。というかこのシリーズには動ける女性キャストをもっと入れても良いと思うのだが、さすがにスタローンと同年代は厳しいか。ただ、「RED/レッド(2010)」ではブルース・ウィリスとの共演を望んでアクション映画への出演などなかったヘレン・ミレンが出演して銃をぶっ放していたので役柄的にできなくもないはずだ。シガニー・ウィーバーとかジャネット・ゴールドスタインとかミシェル・ヨーとかジーナ・ガーションとかハル・ベリーとかキャリー=アン・モスとかジーナ・デイヴィスとか…。

また、前作にはいなかったはっきりと若者と言えるキャラクターとしてリアム・ヘムズワース演じるビリーが登場する。リアム・ヘムズワースは当初前作に登場する予定だったが脚本変更によりキャラクター自体が削除されてしまったらしく、本作が念願の出演となったわけである。このキャラクターは割と序盤でバーニー・ロスに対して「個々の仕事は合っていないから今月いっぱいで辞める」と言っている。そして、次の任務で斥候の如く先陣を切って進んでいくと本作の悪役であるジャン=クロード・ヴァン・ダム演じるヴィランに捕まり殺されてしまう。せっかく出演の決まったリアム・ヘムズワース演じるキャラクターは序盤であっさり殺されてしまう。チームが行動に出る動機がこのチームで一番若いキャラクターの死であるなんて容認しがたい。このキャラクターの死もがっくり来るものがある。

冒頭のアクションシーンをピークに、本作はジェット・リーを失い、そして新しく登場させた若者ビリーも失った。このマイナスポイントは本作にとって小さくないダメージを残している。たとえ本作にチャック・ノリスが登場しようが、前作カメオ出演だったアーノルド・シュワルツェネッガーやブルース・ウィリスに見せ場がちゃんと用意されていようがそのダメージを消すことはない。というかビリーは死なせる必要があったか。他に物語を用意できなかったか。というかなぜチャック・ノリスが登場すると彼の出演していない「続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(1966)」のテーマ音楽が流れるのか。

この傭兵集団「エクスペンダブルズ」は個人の感情で動いている集団ではないだろう。ただ、前作ではヒロインを救いたいという主人公の気持ちが表れていたし、本作も殺された若者の敵討ちという気持ちが表れている。別にビリーが殺されていようと殺されていなかろうとバーニー・ロスらはヴィランをやっつけるために行動したはずだ。やはりビリーの死に必然性を感じない。

ラストには公開当時66歳のシルヴェスター・スタローンと52歳のジャン=クロード・ヴァン・ダムの一騎打ちが用意されている。かつてのアクションスターを敵のトップに持ってきた以上、「エクスペンダブルズ」のトップと一騎打ちになるのは分かるが、映画全体通して一番盛り上がる箇所にはなっていない。

前作のシンプルな話なのにごちゃごちゃした映画に比べれば映画を一本の筋として見ればそこまでストレスは感じない。ただ本作は何人かのキャラクターの行く末に非常に落胆させられた。前作と本作を比べれば間違いなく本作を選ぶが、本作もたいがい。

【関連作品】


エクスペンダブルズ(2010)」…シリーズ1作目
「エクスペンダブルズ2(2012)」…シリーズ2作目
エクスペンダブルズ3 ワールドミッション(2014)」…シリーズ3作目
「エクスペンダブルズ4 ニューブラッド(2023)」…シリーズ4作目



取り上げた作品の一覧はこちら



【予告編】
 


【配信関連】

<Amazon Prime Video>

言語
├オリジナル(英語)

 

<Amazon Prime Video>
 

言語
├日本語吹き替え


【ソフト関連】

<DVD>

言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
音声特典
├サイモン・ウエスト(監督)による音声解説
映像特典
├未公開シーン集
├NG集
├オリジナルトレーラー


<BD>

収録内容
├上記DVDと同様