【作品#0701】TAXi2（2000）

【タイトル】

TAXi2（原題:Taxi2）

【概要】

2000年のフランス映画
上映時間は88分

【あらすじ】

日本の防衛庁長官がマルセイユ警察のマフィア対策の視察に訪れたが、その長官とエミリアンの恋人で警部補のペトラが誘拐されてしまい、エミリアンはダニエルに協力を依頼する。

【スタッフ】

監督はジェラール・クラヴジック
脚本はリュック・ベッソン
音楽はアル・ケミア
撮影はジェラール・ステラン

【キャスト】

サミー・ナセリ（ダニエル）
フレデリック・ディファンタール（エミリアン）
マリオン・コティヤール（リリー）
エマ・シェーベルイ（ペトラ）
ベルナール・ファルシー（ジベール署長）
ジャン＝クリストフ・ブーヴェ（エドモンド・ベルティノー将軍）

【感想】

前作の成功を受けて製作されたシリーズ2作目は前作以上のヒットを記録した。なお、撮影中の事故によりカメラマンが亡くなっている。

前作のダニエルとエミリアンの関係は北アフリカ系の移民と白人刑事という人種間交流を描いた作品でもあるらしい。ダニエルを演じたサミー・ナセリは父親がアルジェリア移民である。また、その流れを汲んでか、本作のダニエルは終始、フランス代表のサッカー選手ジダンのユニフォームを着用している（ジダンも両親がアルジェリア移民である）。

フランスが開発したという新しい車の運転をダニエルは任されることになり、必要もないのにジャケットを着用するように求められ、ジダンのユニフォームの上からジャケットを羽織っている。ところが、そのジャケットも着て早々に破れてしまい、最終的には脱ぐことになる。日本という海外からのお客さんの前で彼のアイデンティティーの1つとも言える北アフリカ系の移民であろう部分は隠すように言われるが、主人公は自らそれを脱ぎ去っているのだ。こんな場面はなくても成立するはずだから、本作のテーマとして入れた場面であると言えよう。ただ、だからと言ってそれが映画全体のテーマとして機能しているとは言い難い。

前作から追加された出番の多い初登場のキャラクターはリリーの父親である将軍であろう。警察嫌いのダニエルからすれば天敵のようなキャラクターだが、持ち前の運転テクニックと話術でこの将軍を良いように利用していく展開と、この将軍が程よくポンコツでありながらもいざという時に役に立つところは絶妙と言えよう。

このキャラクターが登場したことで、前作添え物扱いだったリリーには序盤にそれなりの出番が用意されている。ただ、ダニエルが事件に巻き込まれると恋人同士のダニエルとリリーは合間合間に連絡を取り合うくらいしかできることがなく、リリーは前作同様に映画の本筋から蚊帳の外に放り出されることになる。しかも、前作はラストに彼らが再会できたからまだ良かったものの、本作ではリリーが彼女の母親とパレードでダニエルのタクシーを目撃する形で終わっている。まぁ、リリーが事件に巻き込まれて誘拐されるなんていうくだらない話になるよりかは遥かにマシだが。

その事件に巻き込まれるのは日本から来た防衛庁長官とペトラである。ペトラは優秀な警官で、ジベール署長から絶大なる信頼を得ている。また、前作ではエミリアンがペトラに思いを寄せるもそれが実らないという感じであった。ところが、本作では彼らが結ばれている状態で始まることになる。何がどう転べばペトラがエミリアンとの交際を了承するのか。本作も前作同様にエミリアンの片思いくらいのほうが良かったんじゃないかと思う。もし彼らが交際に至るなら本作のラストで誘拐されたペトラをエミリアンが助ける場面以降じゃないだろうか。

前作のラストカットでも感じたが、あまり歯切れのよい終わらせ方には思えない。病院のベッドで包帯姿のシベール署長も悪くないが、このシーンの前に同じアングルの同じ姿がすでに画面に映っている。シベール署長をオチに使うなら彼の病院でのショットはここで初出しにすべきじゃないかな。別に悪くはないんだが、こんな形になるなら主人公が皮肉の一言でも言えばそれなりのオチになったと思う。

それから、アクションに関しては前作と基本的に同じ感じ。お金がかかっているなと感じたのはパトカーが次々に突っ込んでいくところ（どう見ても「ブルース・ブラザース（1980）」オマージュだが）であろう。それ以外は基本的には前作と同じ路線を踏襲していると言える。

前作から路線を変えずに敵をドイツから日本に変更したくらいで、大きな変更点は特にない。だからこその安定感もあるが、続編だからこそのパワーアップ感は感じられなかった。

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