【タイトル】
カウボーイ&エイリアン(原題:Cowboys & Aliens)
【概要】
2011年のアメリカ/インド合作映画
上映時間は119分
※ロング・バージョンは136分
【あらすじ】
1873年のニューメキシコ。砂漠で目覚めた男は腹に傷を負い、左手には謎の腕輪が付けられていた。街に出向くと自分がお尋ね者のジェイクであることが分かり逮捕されてしまう。裁判のための護送中にエイリアンからの襲撃を受ける。
【スタッフ】
監督はジョン・ファヴロー
製作総指揮はスティーヴン・スピルバーグ/ロン・ハワード
音楽はハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
撮影はマシュー・リバティーク
【キャスト】
ダニエル・クレイグ(ジェイク・ロネガン)
ハリソン・フォード(ダラーハイド)
オリヴィア・ワイルド(エラ)
サム・ロックウェル(ドク)
アダム・ビーチ(ナット)
ポール・ダノ(パーシー)
キース・キャラダイン(ジョン・タガート)
【感想】
2006年に発表された同名のグラフィックノベルの実写映画化。当初は「アイアンマン(2008)」でタッグを組んでいたロバート・ダウニー・Jrが主演予定だったが降板してダニエル・クレイグが主演することになった。
それほど評価されていない作品のようだが、そこまで悪くはないと感じる。また、西部劇とSFの組み合わせとなるとどうしても色物扱いされがちだが、いたって丁寧で真面目なアプローチをした作品だと思う。
まず、主演したのはダニエル・クレイグである。「007」シリーズでも銃を構える仕草は多数あるが、本作のようにカウボーイハットをかぶってショットガンを構える姿もやはりカッコいい。ダニエル・クレイグと西部劇という組み合わせは非常に合っていると感じるが、2023年時点では本作以外に西部劇への出演はない。
それから、大佐を演じたのはハリソン・フォードである。彼にとって西部劇への出演は「フリスコ・キッド(1979)」以来だが、あちらにしても本作にしても王道の西部劇ではない。また、西部劇となるとハットを被るものだが、「インディ・ジョーンズ」シリーズを気にしてか本作でハリソン・フォードはハットを被っていない。ちなみに、ハリソン・フォードにとってジェームズ・ボンド役を演じた俳優との共演は「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦(1989)」で共演したショーン・コネリー以来となる。
また、事実上のヒロインを演じたのはオリヴィア・ワイルドである。主演したダニエル・クレイグは「007/カジノ・ロワイヤル(2006)」と「ライラの冒険 黄金の羅針盤(2007)」で共演したエヴァ・グリーンを推したようだが、彼女に出演を断られてしまったようだ。このエラ役はオリヴィア・ワイルドが演じて正解だろう。実はエイリアンであったという設定を納得させるだけの神秘的な魅力も兼ね備えていた。
そんな本作は記憶をなくした男が砂漠で目覚め、腕に謎の腕輪をしているところに気付くところから始まる。町に出向くと自分がお尋ね者のジェイクであることが分かり、護送される途中で宇宙船からの襲撃を喰らい、ついに謎の腕輪が武器として機能することが分かる。ジェイクはもともと喧嘩の強い男であるが、そんな男に強力な武器が備わっているのだ。ジェイクはその事実をセリフで語ることはないが、「俺には腕輪がある」という妙な自信が彼を突き動かしていくのが分かる。
そして、このジェイクの行動原理は少しずつ蘇ってくる女性との記憶である。悪党だったジェイクが人のために行動していく流れはちゃんと描かれているような気はしない。捕まって宇宙船に閉じ込められていた人が解放されると記憶が曖昧であり、中でも悪事を散々働いていた大佐の息子パーシーでさえも解放されると善人みたく描かれている。この宇宙船は何なのか。なぜ善人になってしまうのか。その象徴性みたいなものも感じなかった。
敵対する者同士が共通の敵をやっつける流れとしてガンマン、保安官、アパッチ族が共闘する流れや、その流れの中で善に目覚めるのはまだ理解できる。ただ、ジェイクやパーシーが宇宙船に閉じ込められただけで善人みたいになるのはさっぱり分からない。本作のドラマパートの根本部分を何となくで済ませたのは非常にもったいない。
ただ、西部劇を舞台にしたSFアクション映画としてはそれなりに楽しむことができた。一流の役者が勢揃いしており、皮肉屋の主演二人のおかげでニヤッとすることができるような場面も用意されている。やはりそこまで悪くない。
【音声解説】
参加者
├ジョン・ファヴロー(監督)
監督のジョン・ファヴローによる単独の音声解説。参照したりインスパイアを受けた映画として、スピルバーグの「未知との遭遇(1979)」、黒澤明の「七人の侍(1954)」、ジョン・フォードの「駅馬車(1939)」や「捜索者(1956)」、他にもセルジオ・レオーネ監督の話など、とにかくありとあらゆる西部劇などの話をしてくれる。
他には、キャスティング、俳優の演技、実写とCGの違い、音楽の効果、自身の過去作品との比較、予告編に入っていたが削除したシーンの話、ハリソン・フォードが本作の企画に不安を持っていた話など多くを語ってくれる。
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語)
<Amazon Prime Video>
言語
├日本語吹き替え
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
音声特典
├ジョン・ファヴロー(監督)による音声解説
映像特典
├ストーリーを求めて
├スペクタクルな映像づくり
<BD>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
音声特典
├ジョン・ファヴロー(監督)による音声解説
映像特典
├監督との対話
├ダニエル・クレイグ(ジェイク役)
├ハリソン・フォード(ダラーハイド役)
├オリヴィア・ワイルド(エラ役)
├スティーブン・スピルバーグ(製作総指揮)、ロン・ハワード(製作)、ブライアン・グレイザー(製作)
├アレックス・カーツマンとロベルト・オーチー(共同脚本/製作)
├デイモン・リンデロフ(共同脚本)
├『カウボーイ&エイリアン』メイキング
├ストーリーを求めて
├監督を語る
├赦罪(アブソリューション)の町に住む人々
├エイリアンの創造
├スペクタクルな映像づくり