【タイトル】
サマリタン(原題:Samaritan)
【概要】
2022年のアメリカ映画
上映時間は102分
【あらすじ】
双子のヒーローであるサマリタンとネメシスだったが、悪に堕ちたネメシスがサマリタンと対立し、発電所での戦いでともに死んだと思われていた。それから25年後。少年サムはギャングからリンチされそうなところを向かいのアパートに住む老人に救われる。
【スタッフ】
監督はジュリアス・エイヴァリー
音楽はジェド・カーゼル/ケヴィン・カイナー
撮影はデヴィッド・アンガロ
【キャスト】
シルヴェスター・スタローン(ジョー・スミス/サマリタン/ネメシス)
ジャヴォン・“ワナ”・ウォルトン(サム)
マーティン・スター(アルバート)
モイセス・アリアス(レザ)
ピルウ・アスベック(サイラス)
【感想】
グラフィックノベルを元にしたスーパーヒーロー映画は、シルヴェスター・スタローンがスーパーヒーローを演じるのは「ジャッジ・ドレッド(1995)」以来となった。また、Amazon Prime Videoでの配信のみとなった。ちなみに、本作は「アンブレイカブル(2000)」と「小説家を見つけたら(2000)」からインスピレーションを受けている。
一言で感想をまとめるなら、本作には本当に意外性など全くないというところだ。ヒーローもののお約束は用意されているものの、それ以外に特筆すべき点は少ない。また、テレビのニュース映像を流す場面などはありながらも、ごくごく小さな地域でのお話に終始してしまっており、お話自体もかなりこじんまりとした印象を受けた(これはある程度狙い通りだとは思うが)。
ただ、そんな意外性のないヒーロー映画の主人公を務めたのが、年齢76歳のシルヴェスター・スタローンである。彼もキャリアは浮き沈みが激しく、特に1990年代中盤から2000年代中頃までは完全に落ち目の時期だった。そして思い出すのが上述のヒーロー映画「ジャッジ・ドレッド(1995)」である。ただ、こちらもスタローンの低迷期を象徴する失敗作である。
そして、スタローンは2000年代後半からかつてほどではないものの新たなキャリアを構築しており、このヒーロー映画にも心残りがあったのではないだろうか。そんな彼が演じるのはジョー・スミスという何の変哲もない名前で過ごす老人で、ガラクタを拾ってきては修理してそれを売って生計を立てているのである。
そんな彼がサマリタンであると気付いた少年との交流や、フードを被る姿は、上述のようにブルース・ウィリスが主演した「アンブレイカブル(2000)」を連想させる。老人だから強くなさそうという表現だろうが、演じているのはスタローンである。
まぁそんな感じだがスタローンは全く悪くない。むしろ本作で問題なのは悪役のサイラスである。彼の行動原理がさっぱり分からない。そこまでしてジョーをやっつけなければならない理由は見当たらない。仮にサイラスの目的が大したことではなく、結果的にサマリタンが生きていることがみんなに知られる展開だとしても、本作の描き方だと下らない話に見えてしまう。悪役の側こそもっと物語を丁寧に描くべきだったと感じる。
あまり評価の良くない作品かもしれないが、近年のスタローン作品では悪くない出来で、これならスタローンも満足したのではないかと思う。また、ここ10年くらい世界で人気のマーベルシリーズに飽き飽きしたのなら、本作のようなこじんまりとした比較的プレーン味のヒーロー映画もありかもしれない。
取り上げた作品の一覧はこちら
【予告編】
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
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