【作品#0668】ゴーストバスターズ/アフターライフ(2021) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

ゴーストバスターズ/アフターライフ(原題:Ghostbusters: Afterlife)

【概要】

2021年のアメリカ/カナダ合作映画
上映時間は124分

【あらすじ】

アパートの家賃の支払い滞納で追い出されたキャリーと息子トレヴァー、娘フィービーは亡くなったイゴン・スペングラー博士の残したオクラホマの田舎にある農家へやって来る。そこでは、原因不明の地震が長年発生しており…。

【スタッフ】

監督はジェイソン・ライトマン
音楽はロブ・シモンセン
撮影はエリック・スティールバーグ

【キャスト】

キャリー・クーン(キャリー)
マッケナ・グレイス(フィービー)
フィン・ウルフハード(トレヴァー)
ポール・ラッド(ゲイリー)
ローガン・キム(ポッドキャスト)
ビル・マーレー(ピーター・ウェンクマン)
ダン・エイクロイド(レイモンド・スタンツ)
アーニー・ハドソン(ウィンストン・ゼドモア)
アニー・ポッツ(ジャニーン・ルメニッツ)
シガニー・ウィーバー(ディナ・バレット)

【感想】

「ゴーストバスターズ2(1989)」以降、シリーズ3作目の企画は模索されていたが実現せずにいると、メインキャストの1人ハロルド・ライミスの死を受けて頓挫することになった。その後、シリーズの続編ではないリブート版「ゴーストバスターズ(2016)」が製作され、本作がシリーズ3作目として製作されることになった。監督はシリーズ2作目までの監督を務めたアイヴァン・ライトマンの息子ジェイソン・ライトマンが務め、そのアイヴァン・ライトマンは本作にも製作兼出演を果たしているが、2022年2月に死去したことで本作が遺作となった。

1980年代の映画のリブートや久しぶりの続編は2010年代に入ってやたらと流行しているが、本作に関しては失敗の部類と言わざるを得ないだろう。

本作は「家族」「仲間」といったテーマを取り扱っている。その中心にいるのが、亡くなったイゴン・スペングラーである(演じたハロルド・ライミスは亡くなっているのでCGでの出演)。彼は家族を捨てた科学者であり、また「ゴーストバスターズ」の仲間と仕事をしている最中に仕事道具を持ったまま行方をくらましたという設定になっている。

そして、なんやかんやあってゴーストに化けて出てきたイゴン・スペングラーは仲間とも娘のキャリーとも和解することが映画の到達地点になっている。シリーズ2作目から本作に至るまでの描かれなかった話をマイナスとして作り、それを解決することが本題になっており、どうもマッチポンプのような印象を受ける。

なので、「家族」とか「仲間」といったテーマも深堀された印象はなく、所詮は1980年代にシリーズを楽しんだファンを喜ばせようという上辺だけなぞったような薄い作品になってしまったのだろう。

オリジナル作品よりもシリーズの方が企画も通りやすいだろうし、売り上げの見込みも立つので製作しやすいのだと思う。だからといってハリウッドは1980年代に囚われすぎではないか。オリジナルキャストを引っ張り出してきて完成したのが本作ではなぁ。シガニー・ウィーバーはリブート版の「ゴーストバスターズ(2016)」でもミッドクレジットでの出演だったが、本当にあれで良かったのかと思う。それに、シリーズ1作目で登場したマシュマロマンも中盤に出番があるのだが、あの場面だけの出演というこちらも取って付けた感全開のシーンだった。

また、ここ最近はカラッと明るいコメディも作りづらいのか本作の始まりも決して明るくない。シリーズ1作目と同様にお金に困って追い出されるのは一緒なんだが、せめてレイ・パーカー・Jrのテーマ曲を冒頭に流せるくらいの雰囲気の作品にした方が良かったと思う。リブート版でもテーマ曲は流してたぞ(あまりに短くぶつ切りだったが)。

そのくせ、シリーズにあったようなテーマは置き去りにされている印象である。旧シリーズではレーガン政権が掲げた「小さな政府」のもと、主人公らの研究所は金に困ってクビになり、自分たちで稼ぐしかなくなってしまう。また、市長はゴースト退治を主人公らに託すことになり、当時の不法移民をゴーストに例えて退治していたわけだ。

本作にも「ゴーストは今もたくさんいるんだ」と言って動き出すのだが、2021年になった今、「そんなことに気付いた」のだとしたら「何を寝ぼけたことを言っているんだ」という話になる。そういったツッコミを避けるためかテーマ性は非常に乏しい。また、比較的民主党寄りのハリウッドにおいて、マイノリティを退治するなんてテーマを掘り下げてしまうと矛盾も生じてしまったことだと思う。本作の企画時点では共和党政権だったので分からなくもないが。

不法移民を退治するというシリーズの出発点を考えると、息子のトレヴァーが有色人種の女の子に恋する設定とか、幽霊に男も女もないという話を盛り込んだところはやや矛盾してしまうだろうし、この時代に作ったからこその「配慮」に見えてしまう。

結局、オリジナルキャストを終結させるために物語を作ってしまった結果、すごく窮屈な作品になってしまったように思う。もし次回作を作るならせめてオリジナルキャストから離れて作るべきだろう。

【関連作品】


ゴーストバスターズ(1984)」…シリーズ1作目
ゴーストバスターズ2(1989)」…シリーズ2作目
ゴーストバスターズ(2016)」…リブート1作目
「ゴーストバスターズ/アフターライフ(2021)」…シリーズ3作目



取り上げた作品の一覧はこちら



【予告編】

 

 

【配信関連】

 

 

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言語

├オリジナル(英語)

 

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言語

├日本語吹き替え


【ソフト関連】

 

<BD+DVD>

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

映像特典

├霊の召喚:製作の舞台裏
├「ゴーストバスターズ」のガジェットたち
├ゴーストたちの特殊効果
├よみがえった〈ECTO-1〉
├イースター・エッグ紹介
├『ゴーストバスターズ』を振り返って
├『ゴーストバスターズ/アフターライフ』の魅力
├未公開シーン

 

<4K Ultra HD+BD>

 

収録内容

├上記BDと同様