【作品#0301】ゴーストバスターズ(2016) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ゴーストバスターズ(原題:Ghostbusters)

 

【Podcast】 

 

Podcastでは、作品の概要、感想などについて話しています。

Apple Podcastsはこちら
Google Podcastsはこちら
Spotifyはこちら
Anchorはこちら
Stand FMはこちら

【概要】

2016年のアメリカ映画
上映時間は116分

※エクステンデッド・エディションは133分

【あらすじ】

コロンビア大学で教員として働くエリンは、かつてアビーと共著で出版した「過去からの幽霊」という本を持ってきた男性から幽霊騒ぎについて相談を受ける。アビーのところへ向かうと、ホルツマンという女性と幽霊に関する研究を行っており、3人でその幽霊騒ぎの現場へ向かうことになる。

【スタッフ】

監督/脚本はポール・フェイグ
製作はアイヴァン・ライトマン
製作総指揮はダン・エイクロイド
音楽はセオドア・シャピロ
撮影はロバート・D・イェーマン

【キャスト】

クリステン・ウィグ(エリン・ギルバート)
メリッサ・マッカーシー(アビー・イェーツ)
ケイト・マッキノン(ジリアン・ホルツマン)
レスリー・ジョーンズ(パティ・トラン)
クリス・ヘムズワース(ケヴィン)
アンディ・ガルシア(ブラッドリー市長)

【感想】

1984年に公開されて大ヒットした人気映画「ゴーストバスターズ」のリブート作品。当初はシリーズ3作目が考えられていたが、主要キャストのハロルド・ライミスが亡くなったことで、女性キャストを主人公にしたリブートが製作されることになった。オリジナル作品の主要キャストが軒並みカメオ出演し、亡くなったハロルド・ライミスは冒頭の大学の部屋の外に銅像の姿で登場している。全世界で2億2千万ドルのヒットを記録したが、予算と宣伝に多額の費用を費やしたことから赤字映画となってしまった。

結果的に、リブート作品としても、ポール・フェイグ監督×メリッサ・マッカーシー作品としても非常に中途半端な作品になってしまったと言える。

本作と言えば、あの誰もが知る同名主題歌である。本作は冒頭、旧家のツアーガイドが本物の幽霊を見て叫ぶところでその主題歌が流れ始めるという、オリジナルの図書館のシーンを思わせる演出がなされる。ところが、この主題歌はちょっと流すとすぐにフェードアウトして次の場面に移行してしまう。ファンなら誰もがテンションの上がるところだが、すぐにフェードアウトするとテンションが下がってしまう。さらにその後、この主題歌のアレンジが流れるのだが、そのアレンジも決して良いとは言えないし、そこでも曲はちょっと流すだけである。また、後述するが、ラストでもこの曲は途切れ途切れになり、結局1度も止めずにフル(最低でも1番くらい)で流すことはない。

主要キャストはオリジナルの男4人から女4人に変更されているが、白人3人黒人1人という組み合わせは同じである。そして本作クリス・ヘムズワースが演じたケヴィンは、オリジナルのアニー・ポッツが演じた受付のジャニーン、リック・モラニスが演じた隣人のルイス、シガニー・ウィーバーが演じたディナ(このキャラクターは本作のレスリー・ジョーンズ演じたパティにも一部引き継がれている)の3人をまとめたようなキャラクターである。

主要キャラは一応描き分けこそされているが、その特徴が生かされる場面も少ないし、キャラの被っている者もいるし、そもそもあまり魅力に感じない。おそらく本作が全方位向け(特に家族向け)に作らざるを得なかっただろうから、ポール・フェイグ監督作でのメリッサ・マッカーシーらしいキャラ作りができなかったのではないかと思われる。「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン(2011)」での彼女のいかれっぷりを期待すると肩透かしを食らう。彼女は登場シーンこそ変な被り物をして、いかにも「ボケ」担当の雰囲気を醸し出しているが(何ならその前のホームページの写真だけでも少し面白い)、以降は基本的に「ツッコミ」担当の如く、メインキャラクターの中でも一番まともな役割である。

そのせいもあってか、ポール・フェイグ監督作で良く登場するダメ男を演じたクリス・ヘムズワースが一番目立っていたし、一番おいしいキャラだった。ゴーストバスターズの4人に比べ、圧倒的にとち狂っており、こうなればメリッサ・マッカーシーも「ツッコミ」に回らなければならないわけだ。ちなみに、音声解説によると、当初ケヴィンは嫌な奴という設定だったのが徐々に変化していったそうだ。このケヴィンのキャラが最初から固まっていれば、わざわざメリッサ・マッカーシーに「ツッコミ」キャラをさせることはなかったのだろうとは思う。女性版ブロマンス(ウーマンスと言うらしいが)の名手ポール・フェイグがその作品で男性キャラが一番目立っているのは何とも皮肉な話だ。

本題とも言えるゴーストの話もそこまで練り込まれた印象はない。ケヴィンに憑依してからの展開もアクションでのインパクトもいまいち。とりあえず開発して試した武器を実戦で使用したというだけ。オリジナルで強烈な印象を残したマシュマロマンも、最初はオリジナル同様に可愛く登場しなければいけないはずなのに、最初から怖い顔をしているというは完全に外している。デカいマシュマロマンが出てきた後に、また同じく白くてデカいゴーストが登場するのも短い間に繰り返しているように見える。しかもラストのアクションはただみんなで戦っているだけ。冒頭からのことを考えれば、エリンとアビーは途中で喧嘩でもすべき。何の衝突もなくただゴーストをやっつける話になっている。それから市長には散々良いように使われたのだから、ぎゃふんと言わせるオチは付けるべきだったと思う。

そして、本作はエンディングがかなり残念である。アーニー・ハドソン演じたパティの叔父さんのセリフで本作のクレジットに突入し、「ここで終わるのか?」と思うと、主要スタッフのクレジットを挟みつつ、主人公らの研究室と屋上の場面が途切れ途切れ挿入される。この何度も途切れる感じが非常にストレスで、クレジットのためだけの映像を間に挟む意図が全く分からない。音声解説のポール・フェイグによると、「ただ字を流すだけのエンドクレジットは面白くない」という理由で本作のような演出をしているそうだ。面白さを意図した演出がストレスになるのも皮肉な話である。しかも、カメオ出演のシガニー・ウィーバーをここまで引っ張る必要もないだろう。オリジナル愛を優先して、彼らのアップに彼らのクレジットというシンプルな演出が妥当だったと思う。

また、オリジナル版のメインキャストは、亡くなったハロルド・ライミスと俳優業から引退したリック・モラニス以外の5人はそれぞれオリジナル版とは別の役で別々に登場する。この登場の仕方もオリジナル愛を感じない。元の3作目の構想のように、オリジナルキャストが年を取って、若い主人公たちに引き継がれていく物語にすべきだったと思う。オリジナルキャストの主演と言えるビル・マーレーこそそれなりの役割を与えられているが、せめてオリジナルキャストは主人公に味方するキャラクターにすべきではないかと思う(ダン・エイクロイドの演じたタクシーの運転手も同様)。

「ゴーストバスターズ」のリブートにしてはオリジナル愛を感じない。ポール・フェイグ監督とコメディのできる女優たちによる作品としても面白みに欠ける。ただ、普段こんなコメディ演技を見せないクリス・ヘムズワースは大きな印象を残し、彼目当てで見る分には良いかもしれない。

【エクステンデッド版】

116分劇場版に17分追加したエクステンデッド版がBlu-rayに収録されており、どちらも鑑賞することができる。見比べてみたが、分かりやすく追加されているのはエリンの恋人(だった?)フィルとの場面くらいだろう。あとは、細かいギャグがかなり追加されている。

また、劇場版で違和感のあった場面がエクステンデッド版で解消されている箇所も1箇所ある。中盤過ぎ、ゴーストバスターズの面々が地図上に線を書き込む場面で、後からケヴィンが目をこすりながら現れるが、エクステンデッド版を見ると、この前のケヴィンの行動が劇場版ではカットされていたので違和感を覚えたのだと納得。ただ、わざわざエクステンデッド版を見る必要はないと感じた。

【音声解説1】

参加者

├ポール・フェイグ(監督/脚本)

├ブレント・ホワイト(編集)

├ジェシー・ヘンダーソン(製作)

├ジェファーソン・セイジ(美術)

├ピーター・G・トラヴァース(視覚効果監修)

├マーク・ホーカー(特殊効果監修)


上記6名による対話形式の音声解説。下記音声解説収録後に各部門の責任者が集まって行われている。基本はポール・フェイグが各担当者に話を振りながら進めている。お酒を飲みながらの楽しい雰囲気は伝わってくるが、結構適当に喋っているように感じる場面もあり、裏話などをしっかり聞きたい人には向かないと思われる。

【音声解説2】

 

参加者

├ポール・フェイグ(監督/脚本)

├ケイティ・ディポルド(脚本)

上記2名による対話形式の音声解説。上記の音声解説1に参加できない脚本家のケイティ・ディポルドのために、ポール・フェイグがわざわざ別日に収録したものである。共同脚本である2人が、映画が製作されていく過程で没になった脚本の話や、当初の脚本から大きく書き換えられた話、俳優によるアドリブが採用された話、カメオ出演したオリジナルキャストとのエピソードなどを聞くことができる。楽しい雰囲気の音声解説であり、本作が好きなら聞いてみても良いと思う。

【関連作品】


ゴーストバスターズ(1984)」…シリーズ1作目
ゴーストバスターズ2(1989)」…シリーズ2作目
「ゴーストバスターズ(2016)」…リブート1作目
ゴーストバスターズ/アフターライフ(2021)」…シリーズ3作目

「ダイ・ハード2(1990)」…1990年のアメリカ映画。レニー・ハーリン監督、ブルース・ウィリス主演のシリーズ2作目。本作の終盤、車の爆破によって真上に吹き飛ばされたスライマーを映すショットは、「ダイ・ハード2」でジョン・マクレーンが飛行機の爆破によって真上に吹き飛ばされるシーンへのオマージュである。



取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

 

 

<Amazon Prime Video>

 

本編

├劇場公開版

言語

├オリジナル(英語)

 

<Amazon Prime Video>

 

本編

├劇場公開版

言語

├日本語吹き替え

 

<Amazon Prime Video>

 

本編

├エクステンデッド・エディション

言語

├オリジナル(英語)

 

<Amazon Prime Video>

 

本編

├エクステンデッド・エディション

言語

├日本語吹き替え

 

 

【ソフト関連】

 

<BD>

 

本編

├劇場公開版

├エクステンデッド・エディション

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

※劇場公開版、エクステンデッド・エディションともに日本語吹き替え収録

音声特典

├ポール・フェイグ(監督/脚本)、ブレント・ホワイト(編集)、ジェシー・ヘンダーソン(製作)、ジェファーソン・セイジ(美術)、ピーター・G・トラヴァース(視覚効果監修)、マーク・ホーカー(特殊効果監修)による音声解説

映像特典

├NGシーン(2種)
├未公開シーン(4種)
├キャストによるアドリブ集(4種)
├スライム・タイム

 

<4K Ultra HD+BD>

 

収録内容

├上記BDと同様