【作品#0650】ジャスティス・リーグ(2017) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

ジャスティス・リーグ(原題:Justice League)

【概要】

2017年のアメリカ映画
上映時間は120分
※ザック・スナイダーカットは242分

【あらすじ】

強大な力を持つ「マザーボックス」を手に入れようとするステッペンウルフの脅威に対し、ブルース・ウェインはダイアナと共に仲間を集めて戦うことを決意する。

【スタッフ】

監督はザック・スナイダー
音楽はダニー・エルフマン
撮影はファビアン・ワグナー

【キャスト】

ベン・アフレック(ブルース・ウェイン/バットマン)
ヘンリー・カヴィル(クラーク・ケント/スーパーマン)
エイミー・アダムス(ロイス・レイン)
ガル・ガドット(ダイアナ・プリンス/ワンダーウーマン)
エズラ・ミラー(バリー・アレン/フラッシュ)
ジェイソン・モモア(アーサー・カリー/アクアマン)
レイ・フィッシャー(ピーター・ストーン/サイボーグ)
ジェレミー・アイアンズ(アルフレッド・ペニーワース)
ダイアン・レイン(マーサ・ケント)
J・K・シモンズ(ジェームズ・ゴードン)
キアラン・ハインズ(ステッペンウルフ)※声の出演
ジョー・モートン(サイラス・ストーン)

【感想】

「DCエクステンデッド・ユニバース」の5作目にあたる本作は全世界での売り上げが6億5千万ドルとシリーズ最低となってしまい、批評家からも好評は得られなかった。また、ワーナー・ブラザースはザック・スナイダーの演出に不満を持ち、ジョス・ウェドンを監督に招聘し、追加撮影の末に完成させた。また、同時期に監督のザック・スナイダーはポスト・プロダクション中に娘を亡くしている。そして、2021年にはザック・スナイダー監督の当初の構想を知ったファンがその完成を望み、劇場公開版から約2倍となる242分の「ザック・スナイダーカット」を完成させている。

「マーベル・シネマティック・ユニバース」が世界を席巻する中、先駆けとなった「DCエクステンデッド・ユニバース」は何としても追いつきたいと考えていたことだろう。そこで本作にはバットマン、スーパーマン、ワンダーウーマンに加え、新たなキャラクターとしてフラッシュ、アクアマン、サイボーグを登場させている。「マン・オブ・スティール(2013)」や「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生(2016)」でもチラッと出演していたが、この3つのキャラクターが本格的に「DCエクステンデッド・ユニバース」内に登場したのは本作が初めてである。

「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生(2016)」でもワンダーウーマンの登場のさせ方は大いに違和感のあるものだった。それはやはり単体の作品を作らずにいきなり「DCエクステンデッド・ユニバース」に登場させたからであろう。後の「ワンダーウーマン(2017)」を見ると、「最初にこっちを作っておけよ」と感じたわけである。そういった反応もあった中で、新キャラクターを3人も一気に登場させてしまった。しかも、彼らに初登場らしいエピソードも付け加える必要があるわけだが、その扱いも雑に感じるし、彼らのエピソードも弱々しい(特にフラッシュが落書きをする場面はあらゆる意味で酷いと感じる)。さらに、映画を見終えると、特にアクアマンの印象はかなり薄い。

更には前作「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生(2016)」で死んでしまったスーパーマンが生き返るのだが、このスーパーマンでさえも印象が薄い。チームを集める上でスーパーマンが生き返るならスーパーマンを生き返らせない理由はないのは分かる。ただ、スーパーマンが生き返ったことが何を意味するのか。スーパーマンがいなければいけないという展開は説明こそしているが、それは後付け以外の何物でもなく基本的にないのだろう。なんかピンチになったらスーパーマンのおかげで助かるという描写になっているが、それは脚本でいくらでも作ることができる。スーパーマンが生き返ったことにあまり意味を感じないところはかなり痛いところである。

さらに、スーパーマンは生き返ったは良いが、サイボーグがスーパーマンを勝手に敵だとみなしてしまい攻撃し、そこからスーパーマンvsバットマンたちという戦いに発展する。こんな流れ必要か。前作「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生(2016)」のラストカットの時点でスーパーマンが生き返ることは織り込み済みだった。そして、本作では彼らが戦うことで、前作と同じことをやってしまっている。一応、前作はバットマンがスーパーマンの事を敵だと思い込んでいたことが原因だったのでそれを反転させているのだとは思うが、だから何だという話である。ここはスーパーマンが本来の力を取り戻すのに時間を要するとかそんな話で良かったはず。

そして、そのスーパーマンは地球の生家に戻って母のマーサやロイス・レインと再会を果たして穏やかな時間を過ごしている。そこである程度満足したスーパーマンはバットマンらが戦う現場に駆け付けるという流れになっている。この流れも必要だろうか。本調子に戻らないスーパーマンの元へマーサやロイスが応援に駆け付けるとかで彼らの交流を描けたと思う。

いざ、スーパーマンがバットマンらが戦う現場に駆け付けると一気に形勢逆転して勝利を収めることになる。上述のようにスーパーマンが必要な理由に明確なものはなく、やはり「一番強いから」というのが理由なのだろう。結局のところ、全員が集まったからこそ意味があるのではなく、スーパーマンが復活したことに意味がある展開になってしまっている。これだったらタイトルは「ジャスティス・リーグ」ではなく、「スーパーマンの復活」とでもしておけば良かったのだ。新たなキャラクターを登場させて、バットマンやワンダーウーマンがリクルートする場面もあまり意味がなかったということになってしまう。

スーパーヒーロー間でのパワーバランスに関しては、「マーベル・シネマティック・ユニバース」と同様に「DCエクステンデッド・ユニバース」にも大きなバラツキがある。やはり所詮は生身の人間であるバットマンはこの「DCエクステンデッド・ユニバース」の中の力関係では圧倒的な最下位である。瞬間移動できる奴や、とんでもないジャンプを出来る奴がいて、さらに目からビームを出せる上に鋼の肉体を手にするスーパーマンがいる。

本作は「DCエクステンデッド・ユニバース」版の「アベンジャーズ」的な位置付けの作品として考えていたのだろうが、どう考えても急ぎ過ぎたのだろう。中長期のプランが伴わず流行に遅れるまいと目先の利益を追求した結果なはずだ。

【ザック・スナイダーカット】

事実上クビになったザック・スナイダーが当初思い描いていたバージョンであり、ザック・スナイダーカットの公開を求める声は本作公開以降、ネットを中心に次々に上がり、2021年にようやく実現した。

完成した「ザック・スナイダーカット」は242分であり、ジョス・ウェドン監督が完成させた120分に比べて約2倍である。さらに、ジョス・ウェドン監督が追加撮影した箇所は使用せずに完成させたため、ただ2倍の上映時間になっているというわけではない。

ここまで来ると自己満足としか言いようがない。上述のように、事実上初登場のキャラクターであるアクアマン、ザ・フラッシュ、サイボーグについて本作で語り始めることになったことに問題がある。なので、たとえ彼らの描写を手厚くしたからといって満足できるものに仕上がるとも思えない。

「ワンダーウーマン」という単体作品での成功ができた以上、「アクアマン」「ザ・フラッシュ」「サイボーグ」で単体の作品を作ってそこで成功してから「ジャスティス・リーグ」として彼らが集まるところから描けばここまでの上映時間にはならなかったわけだ。この基本構造が間違ったままで、本作を作った時点で誰が監督してもうまくいかなかったとは思う。この辺りは「マーベル・シネマティック・ユニバース」に後れを取る「DCエクステンデッド・ユニバース」の製作側の失策だろう。成功している路線に乗っかることは間違っていないのかもしれないが、「マーベル・シネマティック・ユニバース」の後追いだと思われたら元も子もない話だと思う。

案の定、本作の失敗を機に「DCエクステンデッド・ユニバース」は単体作品路線にシフトしていく。中長期のプランや俯瞰で見る力のある人が引っ張っていかないとこういうことになるのだろう。

【関連作品】

 

マン・オブ・スティール(2013)」…リブート/DCエクステンデッド・ユニバース1作目
バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生(2016)」…DCエクステンデッド・ユニバース2作目

スーサイド・スクワッド(2016)」…DCエクステンデッド・ユニバース3作目

ワンダーウーマン(2017)」…DCエクステンデッド・ユニバース4作目
「ジャスティスリーグ(2017)」…DCエクステンデッド・ユニバース5作目

「アクアマン(2018)」…DCエクステンデッド・ユニバース6作目

「シャザム!(2019)」…DCエクステンデッド・ユニバース7作目

「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(2020)」…DCエクステンデッド・ユニバース8作目

「ワンダーウーマン1984(2020)」…DCエクステンデッド・ユニバース9作目

「ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット(2021)」…DCエクステンデッド・ユニバース5作目のディレクターズ・カット

「ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021)」…DCエクステンデッド・ユニバース10作目

「ブラックアダム(2022)」…DCエクステンデッド・ユニバース11作目

「シャザム!神々の怒り(2023)」…DCエクステンデッド・ユニバース12作目

「ザ・フラッシュ(2023)」…DCエクステンデッド・ユニバース13作目

 

 

 

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├シーン解説(セミッシラ/人質救出/スーパーマン/トンネルでの戦い)

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